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INTERVIEW

Leetspeak monsters

2025.10.15UPDATE

Leetspeak monsters

Member:D13(Vo/Rap) Yo'shmeer(Gt/Cho) Euskyss(Ba) DieWolf(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

怪しく、エモく、そして華麗。墓場の街 グレイヴタウン出身のモンスター4人組であるLeetspeak monstersがこのたび9thマキシ・シングルとして発表する『Smoke』は、エレクトロ・スウィングのフレーヴァーを纏った表題曲がまずは聴き手を魅了する。だがしかし、それ以外の楽曲たちもそれぞれに異なるテイストにて我々を次々と楽しませてくれるのだ。それこそ人間離れした手腕で奏でられる音たち、歌詞たちはどれも逸品。めくるめく幽世へようこそ。

-墓場の街 グレイヴタウン出身のモンスター4人組であるLeetspeak monstersにとって、ハロウィンは特別な季節になります。このシーズンには新音源が発表されることも恒例となっておりますが、このたびの9thマキシ・シングル『Smoke』における表題曲はスウィング・ジャズのフレーヴァーを纏った小粋な逸品に仕上がったようですね。まずは、この曲の生い立ちがどのようなものだったのかを教えてください。

Euskyss:それが、当初は2曲目に入れた「Reborn」のほうをリード曲にしようと考えて作り出していたんですよ。というのも、今年はヴォーカルのドメちゃん(D13)が春に喉の手術をすることになって、一時期ライヴができなくなっていたことがあったんですね。それで、ドメちゃんから"療養期間のフラストレーションをぶち壊すような曲が欲しい"っていうことを頼まれまして、勢いのある激しめな曲として作ったのが「Reborn」だったわけなんです。ただ、ロック感の強い曲っていう意味ではこれまでにも「Gothic」(2019年リリースの2ndフル・アルバム『Monster's TheaterⅡ』収録曲)や「Graveyard」(2022年リリースの7thマキシ・シングル表題曲)をそれぞれリード曲として作ったことがあるので。改めてそこを考慮すると、今回のリード曲はまた違う方向性のものを出したほうがいいんじゃないか? となり、ほかに何曲かあったデモの中から「Smoke」をリード・チューンに切り替えて制作していくことになりました。

-なるほど。今更の振り返り的なお話にはなってしまいますが、ここで少しD13さんに手術の件について伺ってもよろしいでしょうか。声帯嚢胞を発表されたのは今年4月のことで、早くも7月からはライヴ現場に復帰されているのですけれど、ヴォーカリストにとってはフィジカル面以上にメンタル面でも大変だったのではないかと推察いたします。春から夏にかけての療養を経て、何か意識やスタンスに変化が見られるところはありましたか?

D13:やっぱり、メンタルの面に関しては自分でも一番気になってたんです。だから、療養中はなるべく余計なことは考えないようにしてました。喉を休めることだけに集中しようと思って過ごしたせいか、その点ではわりとメンタル的には大丈夫でしたね。そして、今思うと手術前のほうが喉のケアとか管理に気を遣うことがとても多かったですし、そうやっていても声が出にくい状態になっていたので、手術をしてそれらのストレスがなくなったことが自分としてはすごく良かったです。

-それは何よりですね。ちなみに、ポリープ等も含めてこれまでに何人かのヴォーカリストに喉の手術経験についてのお話を伺ったことがあるのですが、術後はそれまでの不調がなくなる反面で、場合によっては喉の使い方を術前とは変える必要が出てくるケースもあるそうです。D13さんの場合は人間離れしたモンスターでいらっしゃいますけれども(笑)、実際にライヴができるようになるまでコンディションを戻していくにあたり、大事だったのはどのようなことだったのでしょう。

D13:もともと僕はヘヴィ・スモーカーだったんですけど、手術を経ての最も大きな変化は煙草をやめたことですね。今回の表題曲が"Smoke"であるにもかかわらず(笑)。まぁ、そこはちょっと残念だなと。あとは歌い方も復帰後にあれこれ試していて、喉にあまり負担をかけることなく、より自分に合った歌い方というのを今もいろいろチャレンジしながら探し続けてるところです。

-では、ここからはいよいよ「Smoke」についての具体的なお話を伺ってまいりましょう。この曲にはスウィング・ジャズの要素が濃厚に漂っている印象ですが、サウンドの方向性をそちらに傾けることになったきっかけはどのようなものでしたか。

Euskyss:「Smoke」のアレンジについては、エレクトロ・スウィングっていう、昔のジャズをサンプリングした上で、そこにハウスとかヒップホップを融合させたジャンルを意識してるんです。

-ということは、当然この曲では各パートも演奏面で"スウィング"していくことが必須となったのではないかと思います。DieWolfさんの場合、ドラミングの際に重視されたのはどのようなことでしたか?

DieWolf:私はもともとそっち畑なので、ある意味とても自然体で叩けました。こういう跳ねた感じのリズム・パターンは大得意だし、細かいニュアンスを捉えるのも上手いほうだと思うんで、特に意識したことはなく自分そのままみたいな感じでやってます(笑)。

-ロック一筋なタイプのドラマーとは違う、DieWolfさんの長所が最大限に活かされているわけですね。

Euskyss:ワンワン(DieWolf)はどんなジャンルにも対応してくれるドラマーなので、僕としてもアレンジを曲ごとにいろんな方向にすることができて非常にありがたいんですよ。

-たしかに。いつものことではありつつも、今作は従来以上に4曲それぞれが全く異なるリズム・パターンを持っているので、DieWolfさんの器用さが反映されている印象です。

DieWolf:ほんとですか? 実際そうなってたらいいんですけどね(笑)。

-コンポーザーであると同時にベーシストでもあるEuskyssさんからすると、リード・チューン「Smoke」をプレイしていく上ではどのようなことを大切にされましたか。

Euskyss:ベースについては頭の拍をちゃんと出してあげるのと、ドラムのスウィングに対して上手く乗っかりながらグルーヴを一緒に作り出していくのが大事でした。ドラムが気持ち良くスウィングしてくれれば、あとはもう乗っかるだけなんで楽といえば楽ではあるんですよ(笑)。だから、ライヴで今後この曲をやっていくことに関しても全く心配はしてません。

-一方、ギタリストであるYo'shmeerさんは、「Smoke」の中に漂うスウィング感を、自分のプレイでどのように引き立てていこうと考えられたのですか。

Yo'shmeer:今回の「Smoke」では、自分が持てるだけのカッティング技術で攻めていきました。ただ、僕からするとタイム感とかの面で思っていた以上に難しいことでもあったので、現状ではショーでやっていくときにどこまでできるかな? っていう不安がちょっとあったりします。ツアー前に改めてもっと練習しなきゃな、と思ってるんですよ。

DieWolf:え。でも、よっさん(Yo'shmeer)、カッティング前よりめちゃめちゃ上手になったと思いますよ!

D13:うん、俺もそう思う。

DieWolf:これはほかの曲のことになりますけど、最近はライヴでカッティングを聴いてて"おぉー!"ってなることがよくあるし、 別に上から目線で言うとかじゃなくて(笑)、絶対すげぇ上手になってます。

D13:なんなら、今一番の武器がカッティングなんじゃない? って思うくらいですよ。

Yo'shmeer:苦手でしたからね、カッティング。なんとか克服したいなっていう気持ちはあったから、ドメさんが手術してる間に半分ヤケクソで練習したところはあります。

D13:あー、そういうことだったんだ(笑)。

Yo'shmeer:今回、王子(Euskyss)から来た「Smoke」のデモがまさにカッティングを活かせそうな曲だったっていうのもいいきっかけでした。たぶんこれは試練の1つなんだろうし、ここで頑張って挑戦してみよう! っていうモードになれたんですよ。

-素晴らしい。そうした成果が存分に発揮されたことにより、「Smoke」のサウンドは豊潤で香り高いLeetspeak monsters流エレクトロ・スウィングに仕上がることとなりました。ヴォーカリストであるD13さんからすると、たとえ禁煙されている身だとしても、この音を背景に歌われていく際には、タイトルや詞世界の通りにバーで煙草をくゆらせながら、という光景を思い描かれていたのかもしれませんね。

D13:いやほんと、この曲は"煙草を吸ってた頃のほうが雰囲気は出やすかっただろうなぁ......"と思いながら歌ってました(苦笑)。

-かつてのD13さんはバーで"Smoke"しながらひとときを過ごすこともあったのですか?

D13:よくやってたわけではないですけど、なくはなかったです。あと、アニメの"笑ゥせぇるすまん"が好きなんですよ。あれに出てくる"BAR魔の巣"だったかな? この曲はそういうイメージで書いたっていう話がEuskyssからちょっと出てたんで、今回レコーディングしていくときにはそのイメージを少し思い浮かべてたところもありました。歌もできる限りストーリーを語っていく、みたいな雰囲気を出していくようにしましたね。

-"BAR魔の巣"というと、主人公の喪黒福造と毎回のごとくわけありな客がやりとりをしている横で、無口なマスターが延々とグラスを磨いているお店でしたっけ。

Euskyss:それです、それです。詞を自分が書いていくときにもそのテイストはちょっと意識してましたし、今回MVの監督さんや演者さんたちに話をするときにも、分かりやすいかなと思って"笑ゥせぇるすまん"の話はしたんですよ。

-MVと言えば、今回の「Smoke」はショート・ムービーのごとき仕上がりですよね。バーを舞台とした映像からはオールドテイストも感じられ、とても見応えがあります。皆さんがそれぞれに演技をされていて、D13さんがダンスをされているシーンもありますし、せっかくですので皆さんから見どころを教えていただけますと幸いです。

DieWolf:どこだろう? 人形と向き合うみたいなシーンは、酔っ払いがウザ絡みするみたいなイメージで撮りましたけど。バーだからお酒がいっぱいあったんで、飲みたいなっていう誘惑に負けないように撮影を頑張ったところが一番の見どころですかねぇ。

-シューティング後にお疲れ様の一杯は楽しめました?

DieWolf:それが飲めなかったんですよ。お店の営業開始時間前ギリギリまで撮影してたんで。珍しくハートランドっていうビールが瓶じゃなくてサーバーで置いてあるお店だったんで、それをかっくらえなかったのが個人的には心残りです(笑)。

Yo'shmeer:僕としては詞の内容も意識しつつ、今回は"生気のない感じ"を出していくようにしました。もっと正しく言うなら、生きてない人の雰囲気を醸し出したかったんです。だから僕、ギターの演奏シーンもあんまり動いてないんですよ。それでもできあがってきた映像を見たら、もっと屍っぽさがあっても良かったなと思ったくらいです。

Euskyss:MVに関してはバーで撮りたかったっていうのはありましたけど、個人シーンとかでの見どころっていうのは僕は特に思い付かないですね。