INTERVIEW
CHASED
2025.04.11UPDATE
Member:KZK(Vo) HiRo(Ba) Issei(Gt) ICHIYASU(Gt)
Interviewer:菅谷 透
大阪を拠点に各地で精力的なライヴ活動を行うCHASEDが、6thミニ・アルバム『weal and woe』を完成させ、5月よりツアーをスタートさせる。現体制初の新作で"幸せと災い"、"成功と困難"を意味するタイトルの本作は、真骨頂であるストレートなラウドロック・ナンバーを保ちつつ、さらに自由度を高めたアレンジが随所に光っている。不振の時期が続いていたというバンドの現状を打破し、新たな道を切り開くポジティヴなエネルギーが込められた作品だ。新作について、メンバー全員に語ってもらった。
-前回のインタビューが4年近く前(※2021年7月号掲載)ということで、その間に様々な出来事があったと思いますが、特に印象に残っているトピックはありますか?
KZK:コロナ禍とかいろいろあって、ようやくシーンも動き出した時期だったと思いますけど、僕等の場合はコロナ禍が始まってから3ヶ月くらいですぐに活動再開したんですよ。幸いノー・クレームでツアーも終えられて。僕等はコロナの打撃をあまり感じなかったバンドで、いつも通りひたすらライヴをしまくったという印象しかなくて。だから、一番デカいトピックは今回のリリースかもしれないです(笑)。
Issei:あと前回からの変化と言ったら、ICHIYASUが加入したんですよ。
ICHIYASU:前回の取材のときは、僕はこのバンドのスタッフをやらせてもらってて。
KZK:そうやわ! じゃあ、スタッフがギタリストになったのもデカいトピックですね(笑)。
-その頃にバンド名も、"Chased by Ghost of HYDEPARK"から"CHASED"に変更しましたね。
KZK:あ、そうか! 忘れてるわ(笑)。
一同:(笑)
ICHIYASU:たしか、僕がスタッフからギタリストになるのと同時のタイミングでバンド名を改名していて。"僕がギタリストになりました"、"名前もCHASEDになりました"っていうのを打ち出したのが2022年だった気がします。
KZK:たしかに。"A.V.E.S.T(Zephyren Presents A.V.E.S.T project vol.16)"が終わって、渋谷の王将でその話が決まりましたね。"削ろかー!"って(笑)。
-(笑)2021年に(下北沢)LIVEHOLICの周年イベント("LIVEHOLIC 6th Anniversary series~Dstryr~")に出演していただいたときも、MCで"バンド名が長い"という話をされていたのを思い出しました。
KZK:長かったですね(笑)。今はストレスフリーになっています。むっちゃ前なんですけど、変化という意味ではこれが一番大きいかもしれないですね。
-2023~2024年には、過去の楽曲を現体制でレコーディングしたミニ・アルバム『NEO:alpha』(2023年11月)、『NEO:omega』(2023年12月)、『NEO:delta』(2024年1月)を発表しています。再録しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
KZK:ICHIYASUが入ったタイミングで、前のギタリストだったリーダーのTaisukeがいろいろ重なってエンジニアに回ることになって。今はうちの音源制作をしてくれているんですけど、自分たちで全部が制作できるようになったんです。それに現メンバーで"僕等の名刺です"って言える作品がなくて。ライヴでも同じ曲をやって、サブスクも更新してもらえない日々が続いてストレスが溜まっていたので、それやったらライヴでやりそうな曲をピックアップして、今のメンバーでもう1回作ってみようと。そしたら、ごっつい量になっちゃったっていう感じです(笑)。
-最初は3部作の予定ではなかったんですね。
KZK:僕のイメージでは1枚、8曲から10曲だったんですけど、気付いたらミニ・アルバムが3つになっていて。ドラムも"打ち込みでやろう"って言ってたのにTaisukeが"録りたい"と言い出して、わざわざ岡山まで行ってスタジオを借りて泊まり込みで録ったんです。結構大掛かりな制作になっちゃいましたね。今のメンバーの"名刺"が必要だったのが大きいかもしれないです。
-過去の曲を現在の体制で録音していく上で、"こんなふうにしよう"というイメージや、アレンジしていくなかでの発見はありましたか?
KZK:その頃の僕等は年間でも比較的多いライヴをこなしてるバンドやったので、時間が経つとライヴ・アレンジがどんどん増えていったから、それを音源化するのが一番のメインでした。それとメンバーの思いつきで、アレンジとか歌い回しとかを変えていて。あとはやっぱり初期の頃の曲なので、歌詞の日本語や英語がチグハグだったのもあって、思い切って英詞やったのを日本詞にばっさり変えちゃうとか、そういうアレンジはしましたね。
Issei:ミニ・アルバムの既存曲は、僕が加入する前の曲が多くて。ライヴで自分なりにアレンジしていたフレーズがいっぱいあったので、それにアップデートしていく感じで弾いてました。
HiRo:ベースはそんなに変えてないですね。ソロをライヴでやってるバージョンに変えたぐらいで。ライヴを再現するじゃないですけど、音数とかは近い感じで録りました。
ICHIYASU:僕はスタッフでずっとステージを見てた、というところからギタリストでレコーディングするって流れになって。細かいところではあるんですけど、使ってたギターも6弦から7弦に変わったとかコードの構成とか、そういう変化はありましたね。あと、レコーディングのときはIsseiに結構負担を掛けてしまった部分もあったんですけど――僕がタクシーに跳ねられまして。
一同:(笑)
-そうだったんですか!?
ICHIYASU:それで弾けなかった部分もあったんですが(笑)、基本的には大幅な変更はなかったですね。――タクシーの話は僕の中でのトピックかもしれないです。
-(笑)そしてこのたびニュー・ミニ・アルバム『weal and woe』が完成しました。サブスクではもう配信されていますが、反応はありましたか?
KZK:ミニ・アルバムをリリースしてツアー回って、というようなデカめの動きは3~4年ぶりなので、既存のお客さんは"お前等やっと出したか"って反応をしてくれてますね。今回はメインのコンポーザーをHiRoが4曲、Taisukeが2曲、リリックとメロディを僕とHiRoとTaisukeの3人で一気に作るという初めての方法で制作したんですけど、今までのCHASEDがありつつも、そもそもの楽曲ジャンルまでがほとんど新しいものになっているので、比較的喜んでもらえてるんじゃないかなと。
-たしかにアルバムを聴いて、自由度がかなり高まっているなと思いまして。アグレッシヴな要素もあれば、あのメロディックな部分はよりとことんメロディックになっているのも感じたんですが、制作時に意識していたんでしょうか?
KZK:そうですね。デモを出した当初は結構凝り固まってたというか、"俺らはラウドロックで、もっと重たいやつらに勝たなあかん"みたいな気持ちがバンド全体であって。それがプレッシャーになって、シャウトを多めにしたり重たいサウンドで無理したりして、シーンになんとかして食らいついてく2~3年をずっと送ってたんです。でも実際評価してもらえるのは、メタルやラウドみたいなジャンル以外の歌モノの部分とかが多かったので、今回はそこにしっかり集中しようと。それからコンポーザーやギター陣のバックボーンにある洋楽のポップ・パンク、エモやアンビエントとか、いろんなジャンルをふんだんに入れて、自分に素直に作ってみようかって気持ちもあったので、自由に作らせてもらったかなと思います。
HiRo:今まで"CHASEDは歌がメイン"みたいなイメージが僕自身にもあって。でも、今回は"楽器がもうちょっと前に出てもいいんじゃない?"っていう感じで、オケは楽器で魅せられる感じに作っていきましたね。ドラムもそうだし。
Issei:特に「CRY」とか「H0PE」は今までより楽器ライクな感じとか、ギター先行な作り方をしましたね。
-たしかにガッツリ弾いている感じが今回はありますよね。
HiRo:(Isseiを指して)難しいことしてるもんな。
KZK:作ってるとき"ライヴでできんのかな"って心配してて(笑)。この前新曲を(ライヴで)初めてやったとき、ちょっとミスったんかオナラみたいな音出してて、"今の音何?"ってイヤモニ外して一回確認しました(笑)。難しさのレベルが上がったというか、ちゃんと練習せなサブいことになるミニ・アルバムですね(笑)。
-これまでは楽曲をまずライヴで演奏してみて、そこからブラッシュアップしていく制作方法だったそうですが、今回は楽曲から作ったものもいくつかあるんですよね。
KZK:僕がまだ若かったのもあると思うんですけど、初めてライヴでやったときの物足りなさ、納得いかなさが嫌で。だったらライヴでもっと鍛えて、どんどんお客さんの前で精度を上げて納得いく作品にしたいっていうのが強くて、ここ数年はそういう作り方をしていたんです。でも今回はライヴ本数もしっかり減らして――もうライヴ・バンドって言えなくなるぐらいにして、制作に打ち込みました。初めて制作に入ったメンバーがいたのもあって、時間を設けさせてもらいましたね。
HiRo:MVを出した「CRY」と、「H0PE」はライヴで先にやってるんですよ。
KZK:「H0PE」はむちゃくちゃ前から演奏してるんですよね。Azamiのツアー([Azami "LETTERS" RELEASE TOUR 2024])を回ったときとかにちょっとやってたりしてて。でも当時はびっくりするぐらいお客さんとの噛み合いが良くなくて、横浜B.B.STREETでやったときはライヴ終わりに気絶しそうなレベルで、"どうしよう"ってなって(笑)、ちょっとトラウマになって封印したんですけど、"やって良くない?"とミニ・アルバムに入れました。「CRY」はシングルとしても出してるし、「H0PE」も楽曲ができあがったのも早かったので、ちょっとライヴでもやってもいいんじゃないかなって。「VerMili0n」はストックとしてあったんですけど、ライヴはまだそこまで演奏できてないですね。
-1回ライヴで演奏してみたけど、イマイチだったな......とストック送りになる曲もあるんでしょうか。
HiRo:結構ありました。「CRY」も「H0PE」も、ライヴからアレンジを発展させていきましたね。