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LIVE REPORT

LOVEBITES

2021.03.26 @TOKYO DOME CITY HALL

Writer 吉羽 さおり Photo by Takumi Nakajima / SHINGO TAMAI

昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、"ELECTRIC PENTAGRAM TOUR 2020"の中断を余儀なくされたLOVEBITES。そのリベンジ・ツアーと言える、全国4ヶ所を回る"RIDE FOR VENGEANCE TOUR 2021"が3月12日、名古屋からスタートした。当初は1月に行う予定が緊急事態宣言の発令で順延となったが、その間にはファンに燃料投下するように、アンセムだらけのミニ・アルバム『GLORY, GLORY, TO THE WORLD』をリリースして、ライヴへの期待感も高めていった。この原稿はツアー3本目、TOKYO DOME CITY HALLのレポートとなるが、LOVEBITESのツアーTシャツを着込み、感染対策で声を発することはできないものの、開演前からいい緊張感で会場が膨れ上がっているこの感覚は、やはり何ものにも代えがたい。紗幕が掛かったステージに、オープニング映像が流れると場内の興奮度も一気に増す。そして、幕が降りるとともに真っ白な衣装の5人が登場し、爆音の特効というサプライズで「When Destinies Align」がスタートすると、興奮は歓喜へと変わった。

演奏やアンサンブルの迫力もさることながら、バンドがこのツアーへと託した思いは、瀟洒なセットや、一曲一曲徹底してこだわっただろうレーザーや炎などの演出にも表れていた。ステージよりも1段高く設置され、客席後方までプレイが見えるようなharunaのドラム。またドラムの後方には、両サイドから階段で上がれるバルコニーがあってと、立体的なステージになっている。ステージ最前列で、asami(Vo)、miyako(Gt/Key)、midori(Gt)、miho(Ba)が横並びで、テクニカルな演奏で魅せるのも華麗だが、バルコニーへと上がってシアトリカルに魅せるパフォーマンスもまたいい。ツイン・ギターの掛け合いによる、カタルシスたっぷりのLOVEBITESだからこそ映えるステージだ。一進一退のコロナ禍の状況のツアーで、これだけ大掛かりなステージ作りをすることはリスクもあったと思う。一方で特に観客にとってはこれまで通りのライヴの楽しみが味わえないなか、特別なステージを見せたいという5人の気概を感じる。

序盤からスピードを上げてメロディアスでグルーヴィなメタル・サウンドと、パワフルな美声を轟かせると、asamiはMCで"ただいま、東京。やっとここに立つことができました"と挨拶をする。こみ上げる思いがあるのか、声を震わせる場面もあった。しかし、"「RIDE FOR VENGEANCE TOUR 2021」、リベンジするべく最強の曲を用意しました。世界に火をつけろ"と、炎の特効とともに「Set The World On Fire」で会場の温度を上昇させる。曲が進むに連れてアンサンブルの密度が上がり、続く「Shadowmaker」ではmiyako、midoriの両ギタリストがバルコニーに上がり、叙情的なイントロを奏でた。またアニメ"ぶらどらぶ"のオープニング主題歌に起用された、今年リリースされた新曲「Winds Of Transylvania」では、イントロのクラシカルなピアノをmiyakoが奏でる。harunaの重厚なビートとヘヴィなmihoのベースで加速をつけながらも、荘厳な古城や、深い森が見えてくるようなシンフォニックなバンド・アンサンブルを聴かせた。また後半に披露されて、今回のライヴでも一番の歓喜で湧いたのは、最新作『GLORY, GLORY, TO THE WORLD』のリード曲である「Glory To The World」だろう。midori作曲のこの曲は上昇感のあるメロディがアンセミックで、ゴスペル的なキャッチーさや、意気軒昂なムードが最高にライヴ映えする。止まった時間を進めていく今というときにもぴったりだ。そして、ラストには、昨年ツアーが完走できなかったアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』から、「Holy War」を高らかに歌い上げて、そのリベンジを果たした。アンコール含め、全18曲。途中のMCでasamiは、この1年ライヴという存在が突然遠いものになってしまったことに、つらい時間を味わい、心が折れそうになったこともあったと語った。そこで思い起こしたのは、ファン、観客のことだったという。そして"もっと最高の景色を必ず見せる"と力強く宣言したことは、とても頼もしかった。

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