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LIVE REPORT

Crossfaith

2015.09.23 @Zepp Tokyo

Writer 山口 智男

あれは2010年のことだったろうか、2011年のことだったろうか。"モダンクロスオーバー"と銘打った記事で、CrossfaithのKenta Koie(Vo)と当時、LOSTのドラマーだったTAGの対談を行い、その司会を務めさせてもらったのだった。新たな局面を迎えた日本のスクリーモ/メタルコアの勢いを伝えるというテーマの下、スクリーモ/メタルコアの可能性についていろいろ語ってもらったその対談で特に面白いと思ったのは、KoieがLADY GAGAとJustin Timberlakeが好きだと言っていたこと......ではなく、彼らが他の誰にもできない表現を追求しながら大衆にアピールできる音楽を目指していると自覚していることだった。
 


それから4年。本稿の主人公、Crossfaithはあれよあれよという間にビッグな存在になっていき、今回のワンマン・ツアーもわざわざイギリスから、あのKerrang!誌のカメラマンが取材に駆けつけるほどのバンドになっていた。そして、エレクトロニックなサウンドを大胆に取り入れた彼らの音楽性も単にスクリーモ/メタルコアのひと言では表現できないものに進化。国内のシーンで結果を残しながら、着実に海外進出も進めてきたCrossfaithの快進撃をちょっと離れたところから眺めていた筆者は、4thアルバム『XENO』を引っ提げて、東名阪のZeppを回った今回のツアー(順序は大阪、名古屋、東京)が彼らにとって国内で行う初めてのワンマン・ツアーだと言われるまで気づかなかった。
だって、そうじゃないか? 国内の大規模フェスティバルのみならず、"Soundwave Festival"や"Reading And Leeds Festivals"といった世界に名だたるロック・フェスに出演したり、ヨーロッパおよびイギリスでツアーも行ってきたりした彼らのことだ。ワンマン・ツアーだって、当然、経験していると普通思うではないか。しかし、このタイミングで実現したことで、Crossfaith初の国内ワンマン・ツアーがよりドラマティックなものになったんだから結果的にはよかったのだと思う。そんなライヴだった。
 
客電が消え、9月16日にリリースした最新アルバム『XENO』のオープニングを飾る「System X」が流れ、レーザー・ビームが暗闇を切り裂く中、ステージに現れたメンバーを満員の観客が手拍子で迎え、ライヴはスタート。KoieとTeru(Program/Vision)が激しいスクリームの応酬を繰り広げながら「Xeno」、「Raise Your Voice」と最新アルバムからの曲を畳み掛け、"暴れろ!!""行けんのか!?""俺と一緒に歌えるヤツどれだけいますか!?"と、これでもかと煽るKoieとバンドの熱演に観客たちはジャンプ、シンガロング、モッシュで応え、あっという間に会場内は熱気に包まれた。
 
"ここに来るまで9年かかった"とKoieが語ってから演奏した1stアルバム『The Artificial theory For The Dramatic Beauty』収録のメタルコア色濃い「Blue」以降は、バンドの歩みを振り返るように新旧のレパートリーを織り交ぜ、ハードコア、ダンス・ナンバー、テクノまで音楽性の幅広さをアピールしつつ、エレクトロなダンス・ミュージックのライヴを意識しているのか、レーザー・ビーム、スモークといった視覚に訴えかける演出も楽しませた。
 
そして、シンフォニックなSEが流れ、ステージ後方のスクリーンに雨の中、屹立するKazuki(Gt)の姿が映し出される。息を呑む観客。すると、Kazukiがステージに現れ、それまでサポートを務めていたTamaと交代。客席から歓声が沸き起こる中、Koie、Hiro(Ba)、Tatsuya(Dr)、Teru、そして病気療養から復帰したKazukiの5人で後半戦がスタートした。Kazukiの復帰と国内初のワンマン・ツアーが同じタイミングになったのは偶然だったとは言え、"このツアーからスタートします。Crossfaithはもう一回始まります。(この)5人のCrossfaithは最強です!"と改めて宣言したことで、この日のライヴはバンドにとってもファンにとっても記憶に残る感慨深いものになったに違いない。
 
"最後は俺たちらしく終わらせてもらっていいですか?"と本編ラストの「Countdown To Hell」でKoieがウォール・オブ・デスを求め、ダメ押しで盛り上げたあと、アンコールではTamaを再び迎え、6人で「Leviathan」を披露。モッシュを誘いながらダメ押しのダメ押しで盛り上げると、"(この日のライヴは)通過点に過ぎない。正直、ゴールはわからないけど、みんなが応援してくれる限り先に進める。どんどん大きくなる"とファンと新たな誓いを結んだ。Koieが言った通り、これまでの活躍、そしてこれからの飛躍を思えば、この日のライヴは通過点のひとつにすぎないのかもしれない。しかし、その通過点は単にひと言、"通過点"と言ってしまうには、とても大きなものになったのだった。

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