INTERVIEW
Unlucky Morpheus
2025.11.26UPDATE
2025年12月号掲載
Member:Fuki(Vo) 紫煉(Gt/Scream) 仁耶(Gt) Jill(Vn) Hiroyuki Ogawa(Ba) FUMIYA(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
あんきもはメタル・バンドではありますけど、メタルだけやるバンドではない
-いわゆる書き下ろしの新曲としては、3曲目「Convergent Rays」がこのアルバムの序盤で大活躍してくれることになりますが。
紫煉:今回の新曲たちの中だったら、まずはこれが一番テンション上がるだろうなと思ったし、アルバムとしての展開としてもこれでしょうっていうことでここに入れましたね。
-「Convergent Rays」についても、皆様からのコメントをいただきたいです。
FUMIYA:特に変わったことはやってません。「Top of the "M"」(2020年リリースのオリジナル・フル・アルバム『Unfinished』収録曲)とかと変わらないテンションでやったんで、別に何も考えちゃいないし通常営業な曲ですね。
紫煉:ふーみん(FUMIYA)的には「Top of the "M"」だったんだね(笑)。
FUMIYA:うん、曲調とかの面で俺はそう感じてた。そこまでドコドコもしてないし。
紫煉:その感想はちょっと意外だったかも。
Ogawa:「瀧夜叉姫」(2020年リリースのシングル『瀧夜叉姫』表題曲)にもちょっと近い?
FUMIYA:あれのほうがちょっと重い。もうちょっとドロドロするんだよなぁ。
Jill:食い気味なところが「Top of the "M"」に近いってこと?
FUMIYA:そうそう。そこがちょっと近いっていうか。
紫煉:なんか、人によって類似曲が違うみたいで面白いね(笑)。
-「Convergent Rays」にはヴァイオリン・ソロが入っておりますが、Jillさんが留意されたのはどのようなことだったでしょうか。
Jill:これは自分で書いたものではなく、紫煉さんに書いてもらったものなんですが、私もこれは通常営業で弾いた感じですかね(笑)。今さっき話題に出た類似曲の「Top of the "M"」もリズムが食い気味な曲で、小節をまたぐときに前の小節の終わりから次の音がすでに始まるみたいな、いわゆるシンコペーションと呼ばれるパターンを使った曲になっていて、実は個人的にそこは若干ウィーク・ポイントだったんですね。だから、「Top of the "M"」のときは結構レコーディングで苦労したんですけど、同じ食い気味な曲でも今回の「Convergent Rays」はスムーズに録ることができたんです。ここまでバンドの外で修業したり、いろんなお仕事をするなかで学ばせていただいて、食いのリズム(=シンコペーション)を自分の中で鍛えたところもありつつだったので、今回はようやく1つのマイルストーンにたどり着けたというか、"満足できるところまで到達したぞ!"と感じました。
-さすがJillさん。では、Ogawaさんは?
Ogawa:まぁ、僕もこれは通常営業ですね。サビのところのベースラインは自分で考えたというか、プリプロの段階でこのフレーズを提案したんですけど、たまたまInstagramで見たゴスペルの後ろで弾きまくる黒人ベーシストのプレイがすごくて、もはや歌の邪魔してんじゃねえか? っていうくらいだったんですよ。メチャクチャそれがカッコ良かったんで、それに触発されて自分もやってみようと思って挑戦したものの、結果としては自分としての通常営業になりました(笑)。
-だいぶ動きの激しいフレージングではありますけれどもね。
Ogawa:バンドのアンサンブルとして考えたらあんまり良くないことなのかもしれないですけど、みんなのやってることはちょっと無視してもいいかなくらいの気持ちで弾いたところはあります。だけど、それでもバンドの音と交じったら結局なんともない通常営業になってたんですよね。やっぱり、思いつきだけだと突き抜けたことってそうそうできるもんじゃないんだなっていう学びがありました。でも、曲としてはすごく良いものになったと思います。
-個人の主張をバンド・アンサンブルの中でどう活かすか、というのはなかなかに奥深い命題なのでしょうね。他方、仁耶さんは「Convergent Rays」をどのようなスタンスで弾いていくことになられたのでしょうか。
仁耶:あえて言うと、僕も通常営業でしたね(笑)。で、この曲の場合は各プレイヤーが"そう思ってた"っていうことが実は大事なんだと思うんですよ。別に思い入れがそんな深くないとか全然そういうことではなくて、今まであんきもとしてみんなで積み重ねてきたことをいつも通りに出せた結果がこれなんじゃないかなと。
-実力そのものが発揮されているということなのですね。
仁耶:個人的なことで言えば、リフとかBメロでは結構ヘヴィなプレイをしてますけど、サビは疾走感があって食いのリズムを多用した、まさに前に前にという推進力のあるプレイをしているので、その重さと疾走感のバランスというのは他の曲よりも意識したところはありますね。でも、基本的には通常営業っていう感じなんです。これはみんなの発言に合わせてあえて言いました(笑)。
-あんきもの通常営業は、第三者からみれば尋常ではない営業ぶりですのでね(笑)。
Fuki:かれこれ17年とか18年あんきもをやってきて、何を通常営業と呼ぶのか? というのはリスナーの方によってもいろいろ捉え方はあると思うんですけどね。最近のあんきもは「世界輪廻」でアニメ・タイアップ(TVアニメ"なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?"オープニング・テーマ)をしたあたりから、Fukiというヴォーカリストの歌がポピュラリティのあるものになってきたところがありますし、MVを作るようなリード・チューンなんかも、あんまり野太くヘヴィに"ハード・ロック・シンガーだぞ!"みたいなことは前面に出さない歌い方がしっくりくるケースが、ここ数年わりと多くなってきてるんですよ。「Convergent Rays」もその流れを汲んでいるところがあって、曲に合わせて歌ったら明るいトーンになりましたということなんです。それこそ「Top of the "M"」や「"M" Revolution」(2021年リリースのデジタル・シングル)、あとは「アマリリス」(2023年リリースのアルバム『evolution』収録曲)みたいなサブスクで再生数の多い曲って、私の歌い方はどれも明るいものが多いですし、この曲もMVになることを前提にしてレコーディングしていたので、よりたくさんの人たちに聴いてもらうために、明るくはっきりした滑舌で歌うことを意識しちゃったところがありました。
-そこは"意識しちゃった"なのですか?
Fuki:結果的にそうなったというか。もっとカッコ良く歌ったり、オラオラで歌うこともできるんですよ。だけど、ベストを尽くしたらこうなりましたっていうことですね。
紫煉:「Convergent Rays」はもともと"(KADOKAWA)サクラナイツ"(麻雀Mリーグ)のテーマ・ソングとして作ったものなんですけど、原形としては昔ヴィジュアル系をやってたときに作った曲の骨組みを改造して使ってる部分もちょっとだけあったりします。あと、これは当初からMVを作るつもりでもいたし、アルバムのリード・チューン=あんきもらしい=通常営業な感じというのも意識していたところで、曲調的に「世界輪廻」や「SAKURA chevalier」よりはもう少しヘヴィ・メタル寄りにしたんです。リフだけ聴くと、多分ほぼメタルだと思うんで。そのへんは自分の中でいろんなものを上手く混ぜてバランスをとっていった感じですね。
-歌詞の中で勝利や挫折が描かれているのは、"サクラナイツ"のテーマ・ソングだからなのですね。合点がいきました。
紫煉:"サクラナイツ"は去年のシーズンでレギュラー敗退があったりとか、ほかにもいろんな出来事があったりしたんですけど、そういう失敗とかも含めて全ての経験を糧にしてやっていこう、っていうことをこの詞では書いてるんです。 まぁ、それを"サクラナイツ"にだけ向けて書くとなんか偉そうな感じになっちゃうけど(笑)、これは自分の人生観とも重なる詞なんですよ。実際、俺も何か壁にぶち当たったりしたらその経験を次に活かして、さらに前に進んでいこうとするだろうなっていうことを書いてます。
-かと思うと、「Savior After God」は紫煉さんが最初におっしゃっていた"幅を拡げてみよう"の部分が顕著に出ていると感じます。これはダンス・チューンですよね?
紫煉:ですね。5年くらい前からストックしてあった曲ではあるんですけど、作ったときは何で使おうとかは全く決めてなくて、思いついたからデモだけ作ったっていう状態で終わってたんですね。で、今回アルバムを作り出したときに"このタイミングだとあのアイディアが使えるな"ということで再構築したのがこの曲なんです。『Gate of Heaven』に入れるなら、このくらい振り切っちゃってもアリかな? と思ったというか。
-アリですね。踊れるあんきも、とてもいいです!
紫煉:正直、こういうのを出すのはちょっと不安な部分もあるんですよ。だって、あんきもで一番何を聴きたいか? って言ったら、きっとみんな暗くて美しい感じの激しいものだろうから。それがトレードマークになってるバンドだとも思うんで、明るい曲に関しては常に"これ、気に入ってくれるかなぁ"っていう気持ちも付きまとうんです。でも、たまにはこういう曲も目新しくて面白いと思うんですよね。まぁ、いい曲ではあるんでみんなよかったら聴いてみて! って感じです(笑)。
FUMIYA:僕なんかは昔からテクノとかトランス大好き人間なので、こういう四つ打ちは叩いてても気持ち良かったですね。実はこういうの得意分野です(笑)。あんきもはメタル・バンドではありますけど、メタルだけやるバンドではないっていうことが、こういう曲からはよく分かるんじゃないかと思いますね。僕らのルーツの中にある1つが曲になってるっていうことで、ぜひ聴いてみてほしいです。
Ogawa:あんきもでは初めて、ソロ以外のAメロでスラップを弾くっていうチャレンジングなことをこの曲ではしてます。全体としても意外性のある曲ではあるんですけど、完成形としてはこれもあんきもだなって感じる曲になってると思いますね。
Jill:ふーみんと同じく、私の中にもクラブ・ミュージックというのはルーツとしてたしかにあるものなので、この曲は演奏していくことがとても楽しかったし嬉しかったです。暗くて美しくて激しいあんきもが王道だとして、やっぱりそれ以外のことができるバンドだというところもあんきもの強みだとわたしも思っているので、今回のアルバムではこの「Savior After God」も含めてそういうあんきものいろいろな表情を感じていただけたらな、と思っています。
仁耶:メタルとダンス・ミュージックの融合、ロックと四つ打ちの融合みたいなこと自体はこれまでもあんきもでやってきてますけど、タイトさやソリッドさをキープしながら、その上で"打ち込みには負けんぞ!"という人間ならではの旨味もプラスしていくことを重要視して弾いていきました。個人的には『Unfinished』のときの「Make your choice」を超えられたな、という実感があります。
紫煉:これ、こっそり8弦ギターを入れてあるんですよ。低さの演出というか、ちょっとだけ重心を下げるために。
仁耶:キャッチーなダンス・チューンなんだけど、丸太を弾くみたいな感じで入れた8弦の音がある種の異常さを醸し出してて面白いと思います(笑)。













![[Official MV] Unlucky Morpheus「Convergent Rays」](https://i.ytimg.com/vi/S4sjdgG8aIs/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「SAKURA chevalier」](https://i.ytimg.com/vi/0yd4GsVT3GI/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「世界輪廻 (Sekai-Rinne) 」](https://i.ytimg.com/vi/FmCRJKZGDvM/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unholy Orpheus「Undeveloped Land」](https://i.ytimg.com/vi/78-9oDvG0Ms/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「U.F.O. - U Feel Overjoyed! - (Unlucky Morpheus Cover Ver.)」](https://i.ytimg.com/vi/64jyNQzidaU/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「アマリリス」](https://i.ytimg.com/vi/RQpz80bu-rA/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「Welcome to Valhalla」](https://i.ytimg.com/vi/gwJZefZr0nI/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「The Black Death Mansion Murders」](https://i.ytimg.com/vi/UyxM03zOC1M/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「"M" Anthem」](https://i.ytimg.com/vi/WoUzaVI0paY/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「"M" Revolution」](https://i.ytimg.com/vi/Xza4IGEqTIs/hqdefault.jpg)




![[Official MV] Unlucky Morpheus「Top of the "M"」](https://i.ytimg.com/vi/g7idmlQY0mw/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「Carry on singing to the sky」](https://i.ytimg.com/vi/UlpAWv1PQ8w/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「Unending Sorceress」](https://i.ytimg.com/vi/PCv3s0T4bx0/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「瀧夜叉姫」](https://i.ytimg.com/vi/YXsCQ0rGK_g/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「籠の鳥」[シーエ・3DMV]](https://i.ytimg.com/vi/k1JmrU3DT54/hqdefault.jpg)
![【2D】[Official MV] Unlucky Morpheus「KIZASI」](https://i.ytimg.com/vi/pu2QqwEvpSk/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「Knight of Sword」](https://i.ytimg.com/vi/TiQdl2toBtg/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「CADAVER」「REVADAC」](https://i.ytimg.com/vi/gxN3L2jrrEI/hqdefault.jpg)
![[Official MV] Unlucky Morpheus「Black Pentagram」](https://i.ytimg.com/vi/V8i_QhOgsKw/hqdefault.jpg)










