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INTERVIEW

UNEARTH × SABLE HILLS 日米メタルコア 座談会

2023.02.10UPDATE

2023年02月号掲載

UNEARTH × SABLE HILLS 日米メタルコア 座談会

2015年以来8年ぶりとなる来日公演("UNEARTH JAPAN TOUR 2023 with SABLE HILLS")が決定し、SABLE HILLSと共にジャパン・ツアーを行った米ボストン発のメタルコア・バンド、UNEARTH。公演自体は東京での公演2発とレアなものになってしまったが、そこでは新曲「The Wretched; The Ruinous」が披露され、そのライヴではMVのための映像も撮影されるなど、ファンにとってプレミアムな時間にもなった。ツアーに帯同した新世代のメタルコア・バンド、SABLE HILLSにとってUNEARTHは、以前からその影響を口にしていたバンドであり、リスペクトする存在とステージで邂逅するという最高のチャンスとなった。偉大なバンドから受けたインスピレーションを音楽で、アグレッシヴなステージで返すのはもちろん、音楽という共通言語で世代を超えて親交を深めたツアーとなったのは間違いない。公演2日目、代官山UNITの楽屋で両バンドを捕まえて、今回のツアーやメタルコア談義を通して互いの今を語ってもらった。

UNEARTH:Trevor Phipps(Vo) Peter Layman(Support Gt)
SABLE HILLS:TAKUYA(Vo) Rict(Gt)
Interviewer:吉羽 さおり Photographer:生田 大起 Translator:Mitch

-すでにUNEARTHとSABLE HILLSの間にいい空気感ができあがっている感じがしますが、まずは昨日(1月16日)の初日のライヴを終えての感触はどうですか。

Trevor:SABLE HILLSとは日本に到着してからずっと一緒に楽しんでいて、しかもこのあと(1月30日)も台湾の公演も一緒にやるしね。すごくいいバンドで、みんな人柄もいいから、いい時間を過ごせてるよ。ライヴももちろん素晴らしかったしね。とてもエネルギッシュで、観客と一体となった空間を生み出していて、自分もすごく楽しめた。

Peter:ライヴは本当にエネルギッシュで、真のプロフェッショナルっていう感じだったよね。

Rict:僕らにとってUNEARTHはずっと昔から聴いてきたバンドだったので、この2日間を一緒に過ごして、こうして一緒にツアーをしていることは光栄だし、ものすごく楽しんでますね。全部歌えるくらいだし。「My Will Be Done」(2008年リリースの4thアルバム『The March』収録曲)とかにしても。

TAKUYA:本当にキッズのときからずっとUNEARTHを聴いて育っているんですよ。

Trevor:いいね。

TAKUYA:俺にとって「My Will Be Done」とか「The Great Dividers」(2004年リリースの2ndアルバム『The Oncoming Storm』収録曲)は、もはや国歌みたいなものというか、歴史の教科書のひとつ目で学ぶものってくらいの存在だったんです。俺にとって伝説みたいな男たちと、こうして普通にハング・アウトして──一緒にディナーを食べてチルして、ツアーをしているのは感慨深いですね。SABLE HILLSとしては、昨年のヨーロッパ・ツアーから始まっているいい流れがあるんですけど、向こうでのいい経験が今回日本でもそのまま経験できている感覚で、それは自分にとって誇りだなと思います。

-今回UNEARTHと一緒にツアーを回ると決まったときは率直にどう思ったんですか。

TAKUYA:完全に俺らしかやれるバンドはいないなと。個人的にも思うし、客観的に見ても俺らが適任だなっていうのは思いましたね。

Trevor:完璧だよね。もっとたくさん一緒にショーをしたいくらいで。

-SABLE HILLSとしては、それだけUNEARTHというバンドを追いかけてきて、また大いに影響を受けていると思いますが、UNEARTHのおふたりから見て、彼らの音楽から自分たちの音楽的な遺伝子を感じられるなというのはありますか。

Trevor:そうだね。彼らは彼らなりのユニークなサウンドを築き上げてきているけれども、攻撃性の部分、メタルコアにおけるアグレッシヴさは、自分たちUNEARTHの芯となるもの、アイデンティティでもあるから、そういう部分での共通点は感じるかな。シーンの中でも今はよりポップなメロディを奏でるようなバンドもいるけれど、SABLE HILLSには攻撃性もヘヴィネスもある。彼らは真のメタルコア・バンドだと思うよ。

Rict:そう言ってもらえるのはすごく嬉しいですね。

Trevor:音を聴いた感触を正直に述べたまでだけどね。

-10代、キッズの頃にUNEARTHを聴いたとき、何が一番衝撃でした?

TAKUYA:やっぱりリフですかね。

Rict:ハードコア・パンクのパッションもあるし、メタルのヘヴィネスでメロディックな面もあって。それがまさにさっきTrevorが言っていたような真のメタルコアっていうところですね。だから好きだし。

-自分で曲を作る際に大事にするのもそういう部分ですか。

Rict:アグレッション、攻撃性ですかね。僕が曲を書いているんですけど、聴いたときに一発で本能のままに頭を振って、テンションが上がるような曲じゃないとまず採用しないっていう。

Trevor:まずは自分が気に入らなかったらダメだっていうことだよね。

-UNEARTHもSABLE HILLSも今、新作への期待値が上がっているところだと思いますが、UNEARTHはニュー・アルバムをリリースされることがアナウンスされましたね。制作はどのような感じで、アルバムはどんな作品になるのでしょう。感触を教えてもらえますか。

Trevor:実はもうレコーディングは終わっていて──

TAKUYA&Rict:楽しみ。

Trevor:新曲はライヴでやっているし、今日も披露するしね。最初のシングル「The Wretched; The Ruinous」は今回の来日で、東京で映像も撮っているんだ。ニュー・アルバムはすごく攻撃的なものになっていて、基本的にはこれまでの作品も踏襲しながら、より磨き上げたものになっていると思うんだけど、それだけでなく、これまではやらなかったようなことも入れていこうということで、特にギターが新たな要素にトライしていて、今までにないものを引き出せたアルバムになっていると思う。

TAKUYA:今回、どういうものをテーマにしているんですか。

Trevor:全体のテーマとしては環境問題というのが大きくあって、それぞれの曲にポイントとして入っている感じかな。今何かアクションを起こさないと、結果として例えば2019年末から起きたオーストラリアでの森林火災とか、世界で起きている災害に繋がっていってしまう。今回はよりコンセプト・アルバムとして、重いテーマを扱っている作品にはなるかもしれない。

-そのテーマが生まれる引き金となったのは?

Trevor:昔から、リリースしてきたアルバムにはそうしたテーマの曲がひとつ、ふたつ収録されていたんだけど、さっきも言ったようなオーストラリアの森林火災や様々な災害の多くが、人間が環境の問題を見過ごしてきたことで起きているところもあって、それも100年先に起こるようなことが凄まじい早さで現在の社会問題として起きている。これはまさに今訴える必要があるテーマで、昔からバンドとして扱っていたテーマの積み重ねが、一気にニュー・アルバムに出ているという感じかな。僕は5歳と9歳の子供がいるんだけど、今起きていることは自分の責任だけでは済まされないものだし、子供が自分の歳になる頃により大きな悲劇になっているかもしれない。幸運なことに今こうしてマイクを通して表現する場が与えられているから、メッセージをより広いオーディエンスに向けて歌うことが自分にできることなのかな。もうこの世にはラヴ・ソングは十分にあるしね(笑)。