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INTERVIEW

SABLE HILLS

2022.06.02UPDATE

2022年06月号掲載

SABLE HILLS

Member:TAKUYA(Vo) Rict(Gt) UEDA(Ba) Keita(Dr)

Interviewer:荒金 良介

東京発のSABLE HILLSが2ndアルバム『DUALITY』をついに完成させた! 彼らはTAKUYAとRictの兄弟を中心に2015年に結成され、メキメキと頭角を現している最重要バンドと言っていい。メタル愛を胸に、メロデス、ハードコアを通過した屈強なメタルコア・サウンドは、ますます凶暴化に拍車がかかっている。今作はライヴ映えする楽曲にフォーカスを絞り、攻撃力をよりいっそう高めた渾身作である。今年、世界最大のメタル・フェス"Wacken Open Air"にも出演するメンバー4人に話を訊いた。

-バンドは2015年に結成ですけど、みなさんが通ってきたメタルというと?

TAKUYA:最初がMETALLICAで、メタルにのめり込むきっかけはSLAYERですね。音楽性だけでなく、サタニックなアートワークやマーチも他のバンドにはないカルトを感じ、そのきっかけがSLAYERだったんです。

-ちなみにどのアルバムですか?

TAKUYA:『Reign In Blood』の「Angel Of Death」にやられました。最初はMETALLICAの『St. Anger』を親に渡されて、"うるさい音楽が好きならこれを聴け!"と言われたんですよ。それからスラッシュ四天王(METALLICA、SLAYER、MEGADETH、ANTHRAX)を聴いて、その中でもSLAYERが一番ヤベぇなと。それと並行してSLIPKNOT、RAGE AGAINST THE MACHINE、LINKIN PARKも聴いてましたね。

-お父さんはメタル好きなんですか?

TAKUYA:メタル好きというか、音楽全体が好きで。ウチの親はアパレル・ブランドをやっていて、カルチャー的なものをよく知っているから、押さえるところは押さえていたんですよ。

-『St. Anger』はファンの間でも賛否のあった作品ですが、聴いてどう思いました?

TAKUYA:こんな暴力的な音楽がこの世にあるんだなと。マキシマム ザ ホルモンといった日本のハードなバンドも聴いていたけど、まったく違った衝撃を受けました。

-Rictさんは?

Rict:ヴォーカルとは兄弟なので聴いてきたものは似ているんですけど、兄の世代でSLIPKNOTやマキシマム ザ ホルモンが流行っていたので、そこから入りました。それからスラッシュ四天王、初期のメタルコア......今の音楽的な価値観のベースにもなっているんですけどALL THAT REMAINS、KILLSWITCH ENGAGE、AS I LAY DYINGも聴いてました。

Keita:Rictさんより世代は下ですけど、SLIPKNOTの「People = Shit」の映像を観て、Joey Jordison(Dr)のプレイに衝撃を受けました。関連動画でMESHUGGAH、PERIPHERYとかDjentと言われる音楽も聴きつつ、先ほど名前が出たメタルコアも聴いてましたね。

UEDA:高校の先輩がALL THAT REMAINSのコピー・バンドをやっていて、これはなんですか? と聞いて教えてもらいました。あと、BRING ME THE HORIZONとか。

-あぁ、デスコア時代ですか?

UEDA:はい、『Count Your Blessings』を聴いてました。あと、Crossfaithがライヴハウスメインでライヴをやっている時期に、地元のライヴハウスに来てくれて、そこで日本のメタルコアに初めて触れました。モッシュというものを初めて目撃して、なんだこれは! って衝撃を受けました。

-SABLE HILLSの音楽性としては初期メタルコアの影響が大きい?

Rict:そうですね。あと、メロデスや、ハードコアの影響も強いです。ブレイクダウンのアプローチはハードコアから来てたり。バンドで言うとTERROR、MADBALL、SICK OF IT ALLとか。メロデスはIN FLAMES、SOILWORK、ARCH ENEMY、CHILDREN OF BODOMあたりです。

TAKUYA:SICK OF IT ALLは特に兄弟でバンドをやっているじゃないですか。兄がヴォーカル、弟がギターで、そこにも運命を感じたので(笑)ほかのバンドよりも好きになりました。

Rict:MUNICIPAL WASTEも好きですね。

-最高ですね! メタルコア、メロデス、NYハードコア、この3つのジャンルに何かしら共通点を感じます?

Rict:パッションっすね!

TAKUYA:俺も同じことを言おうとしてた(笑)。

Rict:自分たちの曲もそうだけど、熱量のある音楽が好きで。最近流行っているものはクールなものが多くて。メタルコア、メロデス、ハードコアは熱量マシマシなところが好きですね。

TAKUYA:いろんなパッションがあると思うんですよ。メタルだと、テクニックにもパッションを感じるし、ドラムのタム回しもそうですからね。そこがヘヴィ・ミュージックの好きなところです。

Keita:現行USハードコアが好きでORTHODOX、SANCTION、KNOCKED LOOSEとか、ああいうモッシーでヘヴィでダウン・チューニングなハードコアは好きですね。

-KNOCKED LOOSE、VENOM PRISON、CODE ORANGEとかは海外でも人気がありますね。

Rict:VENOM PRISON、いいですよね。

-かっこいいですよね。SABLE HILLSの熱量マシマシ感はそのへんの影響なんですね。

Rict:出ちゃうんですよね。

TAKUYA:そこしか売りがないから。

-バンドHPでは"若者にはメタルを、年長者にはメタルコアを証明するサウンド"と謳っています。この言葉に込めた意味は?

Rict:メタルじゃない音楽もメタルに扱われていたりして......。

TAKUYA:最近のBRING ME THE HORIZONとか。

Rict:メタルコアが多様化していて、近年のBRING ME THE HORIZON、ARCHITECTSもそうですけど、いわゆるメタル的なバイブスとは離れてしまっている気がして。自分たちのバックグラウンドにはメタルがあるし、聴いた瞬間にこれがメタルだと思える音楽じゃなきゃいけない、という思いがあるんです。だから、年長者にもこのバンドはメタルだと思わせながら、若い人はメタルコアを聴いているかもしれないけど、これもメタルなんだよという認識を持ってくれたらいいなと考えています。

TAKUYA:SABLE HILLSを好きになった若い人たちはすでにメタラーなんですよ。

-メタルというジャンルの入り口になれるバンドでありたいと。ただ、メタルコア・バンドはどれも同じ型にハマっていて、似ているサウンドばかりという批判の声も一部であります。そういう意見についてはどう思います?

Rict:ケース・バイ・ケースですけど、メタルは様式美な音楽で型にハマっている良さもあるから。バックグラウンドが感じられるバンドはすごくいいと思っています。ただ自分たちに関しては、オリジナリティを入れるようにしていて。僕らはメロディが和っぽいというか、日本人が聴いたら、日本っぽいと思うものが入っていると思います。そういうメロディとメタルコアをハイブリッドさせてるバンドはあまりいないし、それもオリジナリティのひとつかなと。僕の場合はゲーム・ミュージックから影響を受けていて、平成世代のゲーム音楽は8ビットとか、音数が限られているから、メロディがしっかりしてるんですよ。一発で聴いて覚えられるメロディは大事にしてます。

-なるほど。

TAKUYA:海外の最先端のメタルコアと比べると、泥臭いパッションを持ってライヴしているとはよく聞きます。そこが日本のバンドならではの持ち味だと。テクニックは特に劣ってるとも優れているとも思わないけど、それとはまた違うものを感じてもらえるかなと思います。ただ、海外のバンドにもヘドバンの回数だけは負ける気がしないっすね。

一同:ははははは(笑)。

-CANNIBAL CORPSEばりにヘドバンかますと。

TAKUYA:あっ、CANNIBAL CORPSE以外でお願いします(笑)。

-Keitaさんから見たSABLE HILLSらしさとは?

Keita:テクニックに関しては、ギターのリフ、リード・ギターのメロディにドラムのフィルインをユニゾンさせる。それはめちゃくちゃ意識してます。

Rict:ニッチすぎる(笑)。

Keita:影響的にはAUGUST BURNS RED、TEXAS IN JULYのドラマーは、様式美のメタルコアのドラミングに色を取り入れているんですよ。それには影響を受けていますね。

UEDA:さっきのメタルコアの話に通じるけど、SABLE HILLSほどちゃんとメタルコアしているバンドは知らなくて。モッシュ・パートはハードコアを普段聴いてる人でもアガれる作りになっているし。リフで疾走しているパートは、メタラーのおじさんでもアガっちゃうと思うから。僕は、SABLE HILLSはどこを切り取ってもかっこいいところが良さだと思ってます。