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LIVE REPORT

SABLE HILLS

2024.03.16 @LIQUIDROOM ebisu

Writer : 吉羽 さおり Photographer:Leo Kosaka、伊藤翔太郎

ドイツのレーベル"Arising Empire"と契約しニュー・アルバム『Odyssey』をリリースすることとなったSABLE HILLS。リリースを前にした3月16日、ゲストにCrossfaithを迎え"SABLE HILLS Odyssey Pre-Debut Show"を開催した。

まずステージに登場したのは、今年2月、サポート・メンバー Daiki(Gt/ex-HER NAME IN BLOOD)が正式加入し新体制となったCrossfaith。Daikiは以前SABLE HILLSでもプレイしていたこともあり縁があるバンドだが、ツーマンでのライヴは初となる。「Monolith」で幕開けたステージは頭から熱気に満ちて、Koie(Vo)が"メタル聴きたいやつ、叫べ!"、"今日はメタルな曲を持ってきている、暴れる準備はできているか"と声を上げ、アグレッシヴな曲を連投する。

最新曲「ZERO」や、SABLE HILLSからTAKUYA(Vo)とRict(Gt)を迎え入れて「Countdown To Hell」ではトリプル・ギターの圧とふたりのヴォーカルの叫びでフロアを熱する。SABLE HILLSのリリースを祝す一方、"俺たちのあとに出るのはどれだけハードルが高いか、思い知らせてやろう"(Koie)と国内外で魅せてきたタフな背中を見せていたのが頼もしい。何よりセットリストは初期の曲が多くを占め、メンバー自身もフロアへとダイブしながらライヴそのものを楽しんでいる姿が最高だ。

Crossfaithが作り上げた熱気のなか、手拍子やコールに迎えられて登場したSABLE HILLS。"待たせたなLIQUIDROOM(ebisu)"というTAKUYAの声でスタートしたのは、年始にシングルとしてリリースしたアルバムのタイトル曲「Odyssey」。重厚なリフとドラム・ビートの応酬にパワフルなシャウトが重なってスピードを上げていく曲であり、また長い冒険や旅を意味するタイトル通りに、壮大で高揚感に溢れた曲だ。"Odyssey Pre-Debut Show"に相応しい始まりからは、怒濤の如くさらにヘヴィに攻め込んでいく。「On My Own」でじっくり確実にフロアを熱し、「Bad King」では拳を振り上げる観客が歌い、そしてヘッドバングする。曲間ではフロアから終始"SABLE HILLS"コールが起こっている。このLIQUIDROOMはSABLE HILLS主催としては過去最大規模の会場となるが、着実に熱狂的なファンを増やしているのがわかる。

TAKUYAはそのフロアに向け、"中学生の頃は今日という日が来るとは思っていなかった"と、中学時代にヤベぇメタル・バンドがいると、「blue」(※当時の表記)が収録されたCD『Blueprint of reconstruction』(2008年)を手にしたことを語った。これまでもDARKEST HOURやUNEARTHといった影響や刺激受けたことを口にするバンドと共演してきたSABLE HILLSだが、Crossfaithもまたそのひとつ。憧れと同ステージで戦っていくのはまさにメタル少年のオデッセイだろう。そしてここで、CrossfaithからDaikiを迎えてプレイしたのは「Crisis」。ギターの見せ場ではステージのフロントで華麗なプレイで魅せ、フロアを大いに沸かせていった。

中盤では、「Odyssey」同様に年始にリリースとなっている「No Turning Back」(音源ではUNEARTHのヴォーカル Trevor Phippsをフィーチャー)、や「A New Chapter」といった新曲を披露。観客から大きな声が上がり、うねりを帯びていくフロアの様子からは、アルバムへの高い期待感が感じられる。曲としての鋭さ、一発で観客を掴んでいく精度の高さに、短期間でエネルギッシュに進化を遂げているバンドの今が映っているようだ。また今回のライヴでは、Rictが作曲/編曲を手掛けたTVアニメ"邪神ちゃんドロップキック【世紀末編】"オープニング・テーマ「Apocalypse Day」を歌う、鈴木愛奈がゲストで登場。SABLE HILLSによる重厚な演奏で、メタル・ファンの前で堂々たる「Apocalypse Day」を披露した。

後半には、改めてオデッセイというこの旅の中で様々な出会いをしている喜び、同じ音楽、メタルやSABLE HILLSが好きでこうして集まり、人と人が繋がっていく喜びを語り、さらにみんなで一緒に年を重ねていこうとTAKUYAがMCをした。ラストは「The Eternal」で爽快に疾走し、ヘヴィなビートの余韻を観客の身体に残して、本編を締めくくった。

止まない"SABLE HILLS"コールに迎えられてアンコールに立った5人。「Embers」や「The Chosen One」などが演奏されシンガロングを巻き起こしていったが、次なるライヴではアルバム『Odyssey』がリリースとなり、またセットリストにも新たなエッセンスが加わっていくことにもなる。進化するバンドの今、それが投影された来たるアルバムへのいい予感を感じた"SABLE HILLS Odyssey Pre-Debut Show"となった。

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