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INTERVIEW

PassCode

2021.11.09UPDATE

2021年11月号掲載

PassCode

Member:南 菜生 高嶋 楓 大上 陽奈子 有馬 えみり

Interviewer:吉羽 さおり

-9月にはベスト・アルバム『PassCode THE BEST -LINK-』もリリースされたので、夢菜さん自身が活動の中で変化してきたことやPassCodeの進化も感じられますしね。えみりさんは、今までシャウトを研究して培ってきたからこそ、ここはこうしたらかっこいいというのも肌感覚でわかる感じも?

有馬:そうですね。シャウトにも、ここで地声を混ぜるのがポピュラーなやり方とか、ここはアタックを後ろに持ってくるのがいいとか、ここは1拍目にアタックを持ってくるとか、そういうセオリー的なものがあるので。それを守りつつ、平地さんの提案を聞きながらで。平地さんはえみりがいいシャウトをすると顔が赤くなるので。顔色を窺いつつ、やってます(笑)。

大上:たしかに、わかりやすい。

南:想像したものに近づいたことが興奮するんだと思うんですけどね。

-これだっていう、ピタッとはまる瞬間があるんでしょうね(笑)。

南:この曲はもともと"FLAVOR OF YOU"という仮タイトルで。陽奈子が歌っているところも、"FLAVOR OF YOU"と歌っていたんです。ガンダムのタイアップになったので(アーケードカードゲーム"機動戦士ガンダム アーセナルベース"主題歌)、そこに合わせてYOUをBLUEに変えて、えみりの入ったタイミングでメンバーも細かい録り直しをしたんですけど。頭からえみりの攻め攻めのシャウトのあとに、空気の薄いところで歌っているような、ピンと張り詰めたきれいなメロディがあるサビのパートに移るというのが、すごく対照的で。それこそお互いを引き立てあっている感じがPassCodeっぽいというか。

大上:すごくPassCodeぽい。「Freely」も攻めていてPassCode感はあるんですけど、どちらかというと「FLAVOR OF BLUE」のほうがより濃くPassCode感があるなっていう。シャウトとサビのパートの対比のあとに、急にお経っぽいフレーズがきたりとか。

-このお経のパートがPassCodeの自己紹介的な歌詞になっていますが、このポップな歌詞のタッチってあまりなかったようなものですよね。

大上:ちょっとインディーズ時代の感じがありますね。

南:インディーズ時代に『ALL is VANITY』(2014年)というアルバムを出しているんですけど、そこに収録されていたものをブラッシュアップして、さらに6年とメジャーでやってきたその経験値を詰め込んだみたいな感じは強いですね。楓、このお経気に入ってんのやろ?

高嶋:気に入ってますね。『ALL is VANITY』の「激動プログレッシブ」のときは、お経というより"お経っぽい"感じで歌っていたんですけど。今回は、ガチガチに声震わせて、成り切って歌ったので。ただ仮歌の時点では、もうちょっと歌っぽかったんです。でもレコーディングのときに平地さんが、"もっとお経っぽくいける"ってずっと言ってて。大丈夫かな? ってくらい声震わせて歌ったんですけど(笑)。結果、完成してみればすごく良かったよね。

-このパートがあることで、この曲ならではの濃いムードも生まれていますしね。

南:レコーディング前は、このパートほんまにいるんかなっていうのが毎回あるんです。平地さんの曲作りは引き算じゃなく、入れたいもの全部入れちゃおうっていうスタイルやから、ここはいるのか? っていうときもたまにあるんですけど。完成してライヴでやってみると、そこが肝になっていたりすることが多いので。平地さんの感覚を信じるのが正解なんだろうなって思いますね。

-「FLAVOR OF BLUE」もすでにライヴで披露しているんですか。

南:「FLAVOR OF BLUE」は、10月末からのライヴではやろうと思っています。私は、えみりのシャウト直後のAメロやサビを歌っているんですけど。シャウトがバキバキにはまったところで、こっちのテンションも上がってて。サビで落ち着く雰囲気があるのに、結構熱く歌ってしまう感じがあって(笑)。この前収録で歌ったんですけど、あ、やっちゃったっていうのがありました。

-それもライヴならではですしね(笑)。

南:そうですね。4人いる意味があるといいなと私は思っていて。バンドをやっている人からしたら、ヴォーカルがこんなにいるのかって言われることもありますけど。でもそうじゃなくて、4人でやっているからこその魅力がPassCodeにはあると感じていて。だからこそ、互いが引き立てあってできたらいいなって思いますね。

-ライヴでどんどん変わっていくというのはこれまでのPassCodeの歴史でも証明しているので、新体制となって、ひとつの刺激が加わったことで、また新たな変化をしていくのかなっていうのはすごく楽しみではあります。

南:たくさんの人にライヴを観てもらいたいですね。まだ始まったばかりですけど、えみりが堂々としすぎていて(笑)。

高嶋:初々しさみたいなものはないかな(笑)。

南:もう半年くらいツアー回ったんじゃないかなってなってます。楽しそうにやってるのをみると、神経が太いのか、いったいなんなのかわからないけど。

大上:ほんまにライヴ初日は、この子、強いなってめっちゃ感心しました(笑)。メンバーの中で一番、素っていうか。

-それくらいステージは好きな場所でもあるんですか。

有馬:うーん、自分のシャウトに対してしか信頼がないから、人の意見とかをあまり求めないんですよ(笑)。だから、どこでシャウトしていても一緒の気分でいけるみたいな感じで。

南:だから、うまいかどうかだけ聞いてくるよな。さっきのところうまい? 良かった? って。平地さんとかにも、普段私たちは"ダメだったところはどこですか"って聞いて、そこを次のライヴで修正していくという感じなんですけど。えみりはどちらかというと、"今のところ、良かったですよね?"なので(笑)。感じ方も喋ることも私たちからすると、えみりは陽の感じがあるので聞いていてハッピーになるんですよね。

大上:初日終わった直後も、平地さんに"えみりのシャウトうまかったですかー"って聞いてて。この子すごいな! って。

高嶋:無邪気。

南:それこそ最初に言った、"好き"っていうことがいろんなことを超える武器になるんだろうなっていう。好きでずっとやってきたから自信があって、そういうふうになれているんだなって思うと、私たちの勘というのは間違いじゃなかった気はします。

-来年2月の初の武道館公演も、いよいよ迫ってきた感じがありますね。えみりさんは、加入間もなく武道館を迎えるというのはどういう心境ですか。

有馬:昨日思ったんですけど──

南:最新やな。

有馬:7月まで毎日バイトしてたんですよ。だから、毎日バイトしてた半年後に武道館に立つ女、たぶん史上初なんで。かっこいい、みたいな。

南:こんな感じです(笑)。