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INTERVIEW

Survive Said The Prophet

2021.01.19UPDATE

2021年01月号掲載

Survive Said The Prophet

Member:Yosh(Vo) Show(Dr) Ivan(Gt)

Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)

-今回のベスト・アルバムはそういう意味では成長に繋がってると思うんです。もちろんKrisがいることで成長しないわけではないと思うんですけど、このベストの制作によって独り立ちする時期が早まった可能性はありますか。

Yosh:そうですね。

Ivan:本当にタイミング良くだと思うんですよね。僕らも10年目だし。コロナが過ぎてもレベルアップしてないのは納得いかないじゃないですか。そこをみんなしっかり応えてきたアルバムだと思うんだよね。

Yosh:結局、答え合わせってライヴだったりするんだよね。だからその答え合わせをずっとできないぶん、こうやって暗闇でやってて、光が見えた瞬間めちゃくちゃみんな感情的だったというか。そこが正解だったのかなって思うんですよ。地下3階くらいのライヴハウスでライヴをしてる感覚というか。またやれたというか、これからもやれるんだなっていう感覚が見えましたね。

Ivan:こういった状況に置かれると、やっぱりいろいろ考えだすじゃん。自分ができること、できないこと。5人で並んで音出そうってなった瞬間に、考えすぎてるかもしれないな、考えすぎて結局頭の中でループしてる自分がいるなってところから解放されるというか、普通に今日も友達といられて一緒に音出せていいなって思う瞬間はあったね。ライヴやってて。

Show:ライヴに今まで頼りすぎてたというか。なので今回コロナでできなくなって、たしかにIvanが言うように考えすぎてる部分もあったんですよね。そこで、ライヴで発散させてもらうというか。そのときに必要なことをやるのが一番いいかな。麻酔じゃないけど、ライヴに頼って、その場しのぎで楽しい気持ちを繋げるんじゃなくて、ひとつひとつ見直したあとにライヴでちゃんと楽しいことを誠心誠意やるってのが一番いい。

Yosh:"来て良かったって思ってくれないんじゃないか"っていう恐れから全部解放されたのは気持ち良かったですね。"Inside Your Head Tour -this might be the last-"っていうタイトルでツアーを回って、本当にそう思ってたし、"ヤバい、もう二度とライヴできないかもしれない"みたいな。アルマゲドンの1日前の感覚というか、特に初日はそんな感覚があって。幕の奥のお客さんはどう思ってるんだろうって出て行ってみたら同じことを思ってたっていう。音楽って必要なんだなと。スピーカーから出てきて、空気を動かす音ってすごい魔法なんだなって思いますね。

Ivan:Showが言うみたいにさ、ずっとやっていると麻痺しちゃうじゃん。一本一本に対しての大事さを忘れてしまうときもある。年に100本ライヴしたらさ、当たり前すぎてありがたみが薄れちゃうと思うんだよね。

Show:ありがたいって頭の中では思ってても、それがずっと続くと味がしなくなるというか。

-自分が大好きなものでも毎日食べてたらそのうち飽きてきますし、それをどんどん好きになっていくってなかなか難しいですよね。

Show:だからまぁ、バランスなのかな。わびさびだね(笑)。

-うまく作品タイトルに繋げましたね(笑)。そういった意味でも今作はバンド内の潤滑油になりつつも、次のツアーに向けての作品でもある、10周年の機でもありつつ、コロナ禍だからこそのバンドにとっての成長にも繋がる作品だと聞いてて感じました。ここからはDISC2の"To Be Defined"に話を移らせてもらいます。"To Be Defined"の選曲は"To Redefine"の対極、定義される側としてファン投票5曲とクルー選曲5曲が収録とのことですが、ファン、そしてクルーから選ばれた10曲を見ていかがでしたか?

Ivan:俺らが10曲選んでもそうなるよねって思う部分もありましたね。

Yosh:わりとそのままだと思う。その中でも俺がびっくりしたのは「HI | LO」がNo.1だったことかな。ダブルA面のシングルとはいえ、片方のA面がアニメのタイアップだったんで、変な言い方にはなっちゃうんですけど、光と影のようだったから、当時僕の中では後味が良くなかったんですが、そこから解放されたのがこのベスト・アルバムというか。全然それで良かったんだって。むしろそのポジションにいたからこそ感謝できるっていう。長い旅を区切ってくれたというか。"あ、良かったんだ"というようなひと言をメンバーから貰うみたいな。

-アルバムには入ってない曲ですもんね。ライヴではかなりの鉄板ですが。

Show:やっぱりみんなライヴには来てるから、ライヴで盛り上がってる曲って印象に残ってると思うんですよね。特に「HI | LO」って盛り上げやすい曲になったというか。僕たちもセットリストの中で重要なところに置いてたから、印象強いんだろうなって。でも1位はさすがに意外でしたけどね。

-「HI | LO」って完成したときはサバプロっぽくないなと思ったんじゃないかと想像しますが、実際のところいかがですか?

Yosh:んーー、難しいな。見方によるんですよ。最終的には"(サバプロらしく)なった"って結論にはなるんです。当時は成長途中だったんで、何がサバプロっていう概念があの頃はなかったんで、あの曲のおかげで"サバプロとは"っていう概念が見つかったっていう。自分に納得してなかったのかもしれないですね、今振り返ると。あの頃はたぶん違う言い方をしてると思います。"変えた"とか、ムラオカさんの言い方がパッと出てきたと思うんですけど、あの頃は成長段階で、自分たちバンドだけじゃなくて、レーベル、事務所且つその他の意見がすごく強くなってきていて、自分が悩んで試しているなかでプロデューサーも入ってきて。時間がないなか、探り探りでしたね。

Show:一番アレンジに時間かかったんじゃない? それでもボツにならなかったっていう。やっぱりなんかあったんでしょうね。本当に10パターンくらい作って。

-じゃあ、かなり難産だったんですね。

Show:かもしれないですね。デモとしてはYoshですけど。どう表現するかはライヴやりながら変えていったしね。

Yosh:答えがわかってたのに、そこを向きたくない。"EDM"っていうのがキーワードとして出てくるんですよ。もうそのワードが嫌すぎて、でも僕らとしてはわかってたんですよ。"EDMをロックにする"ってテーマはしっかりあったんですけど、わかりやすくこうするとかも嫌だったし、それを言われると"チッ"みたいな(笑)。もうちょっといいアイディア出てこないのかよ、みたいな。自分でもアイディアを出しながらしっくりこなくて。成長ですよね、まさに。どこが答えかわからないから全部試しているタイミングで、それがサバプロになったっていう。

-"To Redefine"は選んだメンバー本人が編曲してますが、"To Be Defined"はライヴで演奏していくなかで成長を遂げた程度のアレンジになっていますね。

Show:ちょっと調味料を入れてますね、Yoshは。僕らも知らなくて、ミックスでできあがったものを聴いたらグレードアップしてる。

-近々のライヴよりさらにってことですか?

Show:そうですね。もとのライヴでやってたものより、さらにワンランク上がっている気がします。

-すごいですね。もとになる曲がまずあって、ライヴで進化させて、さらに今回のベストのタイミングでもうひとつ上の段階に進化して。

Yosh:結局レコーディングが全部終わったとしても、コーラス録りとか後づけのものが必ず出てくるんですよね。さっきShowが言ってくれたように調味料を足すとか、変えてるようで変えてない、変えてないようで変えてる。昔から聴いてくれてるファンの人たちは気づくんじゃないかな。

-"To Be Defined"は調味料の匙加減、微妙な違いを探る楽しみが、"To Redefine"はもっと手前の素材の調理方法を楽しむという感じがします。

Show:いろんなサバプロをひとつの作品で知れるのは、映像も音もそうですけど、今まで見えなかったところがはっきり見えてると思うので。それを各々で噛み砕いて、僕らの音楽と付き合っていただけたらなと。

-ベスト・アルバム制作に当たってのファン投票は、他のアーティストでも見ますが、クルー投票は珍しいですね。

Yosh:クルーと一緒にやっていくなかで彼らもアーティストだということに気づいて。そのアーティストへのリスペクトの僕らなりの表現方法だと思うんです。よくライヴで"こういうことしたい"ってアイディアをガンガン出すんですけど、それを実際に僕たちが全部片っ端からやっているかって言ったらそういう話じゃないんですよね。音楽を愛してもらってる人への感謝はオーディエンスもそうですけど、それを実現したいっていうクルーたちのアイディアもサバプロになっていったんで。だから"あなたたちもサバプロなんですよ"っていう責任を背負ってもらう。PAとかいつも近くで見て全部聴いてるから、"どの曲が好きなの?"ってアーティスト角度で聞くのも単純に楽しいじゃないですか。10周年を通してクルーもサバプロの1メンバーだってことを学びましたね。

Show:サバプロはすごく特殊なんですよね。周りにいるクルーの扱いというか。普通音響や照明って何人かいる中でスケジュールが空いてるスタッフにそれぞれやってもらうみたいな。でもうちは完全にひとり固定なんですよね。だから他のバンドより絆は深い。お互い感謝しあっていこうという意味ではこういう形が生まれて正解なのかな。

Ivan:みんなでバンドだからね。お客さんも含めてみんなで作ってるひとつのバンドだから。ライヴ会場で俺らもエネルギー出してるけど、お客さんも出してるし、クルーも出してるわけで結局1個のものになってるから。だからファンもクルーも含めてみんなプロジェクトの一部だよってことが再認識できたよね。

Yosh:みんなでのベストにしたいっていう。共有できたなって思うし、全然誰も置いていく気はないし。

-クルーの選曲は想定してた感じですか?

Show:気遣ってくれてたと思う(笑)。

一同:(爆笑)

Show:ファン投票とメンバー投票で選ばれないで、"これは入れとかなきゃまずいだろ"って入れてくれたものもあるでしょうけどね。あとは単純に好きで。クルーたちが思いを語ってくれた動画がSABA CULTというメンバーズ・サイトに上がっているんですが、そこで"そんなふうに思ってくれてたんだ"って知れて面白いですね。

-拝見しましたが、とても興味深かったです。さて、この作品をリリースして9都市のワンマン・ツアー"Redefine Tour 2021"開催が決定しましたが(※取材は2020年12月/新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、5公演が中止)、コロナもあって見えない部分もあると思うんですけど、どんなツアーにしていきたいですか?

Yosh:さっき話した、過去、現在、未来という中で、ツアーは未来の枠に入ると思うんですけど、未来に希望を与えるようなツアーにしたいし、僕らはそういう環境を作れるアーティストだと思ってるんで。音楽でレボリューションを起こしたいですよね。

Ivan:一本一本すごく大事にしていきたいなって考えてます。あと今回は椅子席や配信という新しいことを試しているので、俺らもお客さんもクルーもそうだと思うんですけど、新しい形に一緒に進んでいけたらいいなと。

Show:Ivanが言うように、やっぱりこの現状で前みたいなライヴの形ができるかどうかっていうのがまだわからないじゃないですか。それに対して悲観的になりすぎず、新しい形でまた何か生まれることを信じてやっていくことが大事だと思ってます。今回のツアーはその一歩かな。そういう意味でも気を引き締めて、今までと違うベクトルでもいろいろ考えてやっていかなきゃいけないなと思ってます。

-ありがとうございます。では最後の質問です。ちょっと気が早いかもしれないんですけど、10周年以降のその先のヴィジョンは見えてきていますか?

Yosh:見えすぎてますね。このベストをやってからそれがはっきりしました。まだまだクリエイティヴになりたいって気持ちがメンバーにあるのは間違いないので、この先僕らが計画していることに注目しててほしいなって思います。ただアルバムを出すとか新しい洋服を出すとか、そういう話だけじゃなくなってくるんで。みんなが大事にしてくれるようなコミュニティがはっきり目に見えて出せるはずなので、サバプロの未来に期待してほしいです。