INTERVIEW
The BONEZ
2018.05.08UPDATE
2018年05月号掲載
Member:JESSE(Vo/Gt) NAKA(Gt) T$UYO$HI(Ba) ZAX(Dr)
Interviewer:TAISHI IWAMI
-The BONEZは、ラップ・メタルのそれではない、それぞれの個性のミクスチャー、インディペンデントとかオルタナティヴという言葉が似合うバンドだと思います。今回はそこが最も腑に落ちました。
ZAX:人って、悲しかったり楽しかったり、なんとも言えない気持ちを抱えてるじゃないですか。そういうのが詰まってると思うんですよね。いわゆる"ジャンルレス"っていうのはそういうことじゃないのかなって思うんです。ラウドでなきゃいけないとか、そういうことじゃない。
-もちろん、音楽的なリファレンスはたくさんあると思いますし、でも、そういう理屈じゃ片付かない、バンドマンとしての根本的な強さだと思うんです。サウンドも、歌詞もそうで、"なんで英語なの?"っていう、よく話されることとは違う次元にある。言葉そのものが持つパワーを存分に感じられます。
NAKA:俺、NINE INCH NAILSの「Hurt」って曲が大好きで、歌詞の意味は知らなかったんですけど、自分を傷つけることを歌ってて、痛みを実感して自分であり続ける、みたいな意味だとあとから知って、振り返ってみるとそういうシチュエーションで聴いてたなって。そういうのって、音楽だから伝わってくる。言葉だけだと感じない音楽の力ですよね。 JESSE:俺は大学も行ってないし、ナチュラルに使える単語は限られてて、性格的にも"今日の太陽まぶしいね"を"今日はさんさんとした太陽だね"とは言わないし、身近な言葉というか、自然に出てきた言葉をそのまま使うようにしてるんです。その中でもさほど難しくない言葉をチョイスすることは意識しつつ。みんなが日本語を聞いている感覚というか、日本語に変換しないでも入ってくる英語の使い方というか。
-例えば、どの部分でしょうか?
JESSE:「Kings work」のメインとして伝えたいところは、"Yes I Work, Work, Work"としか言ってないし、それは"play hard"、楽しむためなんだって。バンッっと入ってくるように。
-シンプルな言葉がメロディやサウンドに乗ったときの、NAKAさんがおっしゃった"音楽の力"が大きく増したように思います。
T$UYO$HI:今回は歌メロをみんなで作ったってことが、前回のアルバムと決定的に違うんです。メロディもそうだし、歌詞もJESSEが書いたことの意味を共有しながら。
-アルバム全体の流れもすごく良かったです。まずは、1曲目の「Until you wake up」の頭のルーム感。ここで掴まれました。
JESSE:部屋のアンビ(アンビエンス)を使って弾き語りを録って、バンドの演奏に入った瞬間、そのアンビがキュッとなくなって爆発するみたいなね。この間、若手のバンドが好きな人と話す機会があって、ルームを知らないんですよ。みんな使わないから。
-部屋の空気感を捉えられるから、"Until you wake up"っていうタイトルにある優しさが感じられます。まず寄り添ってくれたから、安心してその世界に入れました。
JESSE:そうですね。今回のアルバム・タイトルが"WOKE"。もうすでに起きていて、誰かを救えるであろうあなたへ。まだ、起きていない人に、"君が起きるまで歌い続けるよ"って、そこから最後の「See you again」まで繋がってるんですよ。人間味に溢れてる。俺はこんなアルバムを人生で作ったことがない。初体験。
-曲順はかなりこだわられたのではないかと。
NAKA:このご時世、曲順ってあまり意味がないとは思うんですよ。みんな好きな曲を集めてプレイリストを作るし。もうこれは、バンドのメンバーで論議するのが好きっていう。 ZAX:楽しみでしかないよね。 JESSE:もしかしたら、曲順は一番こだわったんじゃない? それを話し合えたのが嬉しかった。最後の最後までみんなで悩んでね。自己満かもしれないけど、届く人には届くと思うし。
-スマホに巨大なライブラリーがあって、ひとつのアルバムがじっくり聴かれにくい、たしかにそういう傾向が強まったのかもしれないですけど、だからこそ際立つアルバムの価値もあると思うんです。
ZAX:もっと言うと、『Astronaut』(2014年リリースのアルバム)から『Beginning』、『To a person that may save someone』、そして今回の『WOKE』と、全部繋がってるんですよ。 JESSE:『Astronaut』は宇宙の外から見て、この地球に希望を持っていいのかっていう疑問。次の『Beginning』は、ジャケが赤ちゃんなんですけど、赤ちゃんがいる限りは希望を持って、その存在に懸けてもいいんじゃないかって。そう思えたときに、"To a person that may save someone"――もしかしたら隣の人を救えるであろうあなたへ、そこからプロフェットじゃないけど、起こされた、"WOKE"された人たちに向けて、っていう。
-なるほど。
JESSE:根拠がないというか、無条件というか、今の俺たちは準備ができてるんですよ。誰かを"救ってやる"って意気込むんじゃなくて、俺たちがただワーワーやってるだけで、救えるかもしれない。俺もダメ人間だし、人を助けるって、そんな上から目線じゃ助けられないですけど、もし大きなお世話なら、"なんだよ"って言わずに"ごめん"って引ける気もするし。なんか不思議なステイトにいるんですよね。 T$UYO$HI:JESSEの言ってること、わかるんです。The BONEZがThe BONEZであることの準備というか、"The BONEZって何?"って聞かれたときに、迷うことなく"食らえ、ドーンッ"ってぶつけられるというか。で、それが好きじゃないならいいよって。今はいろんな情報が簡単に手に入るから、人の趣味もまちまち。最初にも言いましたけど、いちいち合わせることなんてできないし、俺らはこんなんだから仕方ない。開き直りにも近いかもしれないですけど。