INTERVIEW
The BONEZ
2016.03.23UPDATE
2016年04月号掲載
Member:JESSE(Vo/Gt) T$UYO$HI(Ba)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
-確かに、普通のラウドロック・バンドだったら、Track.1に「To a person~」は持ってこないですよね。
T$UYO$HI:俺たちはそもそもラウドロック・バンドだとは思ってないんです。俺はその1曲目が自分たちらしいと思って書いたし。JESSEは言葉を書く、歌を歌うっていう立場だからちょっと違うのかもしれないけれど、俺としては、今回充実感的なものでひとつ、感情とか気持ちというものを音楽として形にできたっていうことがすごくあって。それは、ただ"カッコいい曲ができました"っていうのとは少し違うんですよ。"人生楽しいな、希望だぜ"っていうんじゃなくて、俺たちは失うものとかそういうことを経た後に希望へ向かってる。そういう4人が出してる音っていうか。だから、今作は希望の音というよりは、希望に向かっている音、な気がしますね。
-一般的にロック・バンドがフル・アルバムの曲順を考えると、"1曲目はガツンとヘヴィな曲を入れて、2曲目にはミドル・テンポで~"とか考えるじゃないですか。そういうふうに作られていないから、このアルバムは根底から違う気がしたんですよ。
JESSE:今回のアルバムの曲順の決め方が、4人ひとりずつiTunesのプレイリストを作ってそれを送り合うって方法で。それが、結構バラバラだけど、合ってるとこは合ってるっていう感じで。ちょっとずつ違ったところを、全体の統計をとって作っていって。
-ある意味、民主主義ですね。
JESSE:多数決で決まる部分もありつつ、でも全員バラバラなときもあって。それは並べてみて、話し合って。俺はこの頭の3曲だけはどうしても崩せなかったんだけど......。
-でもこうして見ると、皆さんそんなに大きな違いはないんですね。
JESSE:だけど、俺はラストは「Waking up」じゃないって思ってたんだけど、結果的に最後になってホントによかったと思う。最終的にはきっとどんな曲順になっても、"これは唯一無二の曲順になったな"って言ってたとは思うけど(笑)。できればシャッフルでは聴いて欲しくないけど、シャッフルで聴いても、いいなと思う曲順はいっぱいあるかもしれない。俺たちですら、それぞれの案が出たんだから。
-やっぱり、今作は「Revolution」、「Paper crane」から「Louder」っていう、ラウドでアッパーな曲から始まっていくんじゃなく、「To a person~」でスッと入って、そのあとにラウドな曲が続いていく流れが、生活に馴染む、自然と入ってくるって話に結び付くのではと思いました。
T$UYO$HI:実は「To a person~」は、そもそも1曲目を作る前提で作ったんですよ。それも最後に1曲目を作ろうと。
JESSE:最初は「Revolution」が頭だったからね。
T$UYO$HI:もちろんライヴも想定はして作ってるんですが、やっぱり1番最初にドーンってバンドが多いじゃないですか。でもそうじゃないことをしたかった......というか、飾らないままっていうとおかしいかもしれないけど、気合入れてヨーイ、ドンじゃなくて、着飾らなずにスッと始まっていくような感じを出したくて。何ていうか、俺たちは白いTシャツで勝負できるんですよ、それも、今の4人だからできることなんだけど、等身大というか。やっぱり若いバンドの勢いってすごいと思うし、そこで勝負しても勝てないとは思うけど、そうじゃない俺たちにできるカッコよさって何かなって思ったときに、こういう形になったんですよね。
-ちなみに、2曲目のフィーチャリングでHiro Fujitaさんが。これはどういうきっかけで?
JESSE:彼は、俺の中学校の1コ上の友達で。Hiroは中学校時代、リーダー的存在ですごく影響力があって、華があっていいやつで。みんなでクリスマス・パーティーでくだらない話で盛り上がったりとか、俺のおふくろの誕生日に水族館にデートに連れて行ってくれたりしてたんだけど、それが、ホントふとしたときに急に転んだり、持ってたものを落とすようになって、病院に行ったらALS(筋萎縮性側索硬化症)って診断されて。そこから車椅子に乗るようになって人工呼吸器を装着して言葉も出ない。食べ物も水も入れられない。脳はピンピンしてるのに、最終的には瞬きもできなくなって、自分の体の中に閉じ込められるわけ。そういう仲間を見て、何かしたいって気持ちになるんだよね。でもそこで、自分にできることは何もないってことにぶち当たって。Hiroだけじゃなく世の中にはもっといろんな病気の患者さんがいて。臨床試験待ちで合法になっていない新薬もたくさんあって、だからって俺はその人たちのために肩組んで"Save the children"とか言う気には、Hiroを見ててならなかったんだよね。そういう人たちが"なんで俺なんだ、なんで今なんだ、なんでこの歳で......"って言葉を、どうやって出してるのかなって。俺はメッセージを伝えるヴォーカルだし、メッセージがあるから歌ってるわけだし。そこで、『To a person that may save someone』、つまり "君は人を救える人であるかもしれない"っていうアルバムで、Track.2に「Revolution」がある。Hiroは人工呼吸器を付けてるから、目でタイプしたものを機械が代弁してくれるんだけど、そのHiroがTED(Technology Entertainment Design:学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の専門家がプレゼンテーションを行なう)でプレゼンテーションをしたときの言葉をそのまま入れただけなんだけど、こういうやつらが叫んでるっていうのを聴いてもらいたくて。