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INTERVIEW

Unlucky Morpheus

2024.07.31UPDATE

2024年07月号掲載

Unlucky Morpheus

Member:Fuki(Vo) 紫煉(Gt/Scream) 仁耶(Gt) Jill(Vn) Hiroyuki Ogawa(Ba) FUMIYA(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

めちゃくちゃメタルらしいライヴをやろうじゃないか、というわけです


-さすがです。ひと口にアニソンと言ってもいろいろで、原作やアニメの内容とはあまり関係がない歌詞がついているパターンもありますが、この「世界輪廻」がそれだけ原作にしっかりと沿ったものになっているというのは、あんきものことを知らない作品自体のファンの方々からも、確かな信頼感を得られるに違いありません。ちなみに、この"世界輪廻"という曲タイトルは――

Fuki:"世界輪廻"というのは、原作の中に出てくる重要なキーワードなんです。もちろん、今期のアニメで描かれるのはあるところまでなので、原作の結末やネタバレ的にNGな要素は、入れないようにしながら詞を書いていくようにしました。私は普段からストーリーとして頭の中で描いたものを、詞の中に落とし込んでいくことが多いですし、そういうやり方が得意なタイプでもあるので、今回のように原作の内容を自分のフィルターを通して詞にしていく書き方は、やっていてとても楽しかったです。

-この詞には独特な当て字も多々出てきますよね。

Fuki:実はそれもすべて原作に出てくる言葉たちなんです。ひらがなやカタカナのルビの振り方も含めて原作通りそのまま使っています。ですから、原作やマンガ、そしてアニメのファンの方たちに、"ちゃんと物語のことをわかったうえで書いてるんだな"と感じていただけるような詞になっているんじゃないかと思いますね。

-その詞を実際にレコーディングで歌っていく際、ヴォーカリストとしてのFukiさんはこの「世界輪廻」という楽曲とどのように向き合われたのでしょうか。

Fuki:自分の中の引き出しと、あんきもの中にある引き出しの中の、ポップでキャッチーな部分をすべて使うような感じでしたね。もっとわかりやすく言うと、曲調としてはもっとカッコ良く歌うこともできるんですが、今回はアニソン・リスナーの方々が聴きやすくて気に入りやすそうな歌い方を意識してます。

-Fukiさんの可憐さも感じられるような、伸びやかな歌に聴こえます。

Fuki:気持ち、歌の重心がいつもより高めなんですよ。この歌がテレビから聴こえてきたら、つい気になって見入っちゃうような歌にしたかったんです。

-こうなってくると、今からオンエア日が楽しみですね。テレビ画面に"「世界輪廻」Unlucky Morpheus"のテロップが出る様子を、ぜひリアタイ視聴したいと思います!

紫煉:あぁ、テロップが出るのはたしかにアニソンならではですね(笑)。

仁耶:まぁ、最近はいろんな配信サービスでもいろいろ観られますからね。リアタイじゃなくても、好きなときにそれぞれのスタイルで観てもらってもいいんじゃないでしょうか。

Fuki:さっきからテレビ、テレビとは言ってますけど(笑)、今の時代はスマホやPCでご覧になる方もきっとたくさんいるでしょうね。そういえば、この間行われた先行上映会("『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?』先行上映会")に行かれたお客様からは、"池袋の映画館(グランドシネマサンシャイン 池袋)で最初のティーザー映像を大画面で観たとき、画面右下に小さく「Unlucky Morpheus」というテロップが一瞬出ただけでも感動した!"って言ってる方たちが結構いました。

-"なぜ僕"と「世界輪廻」から、新たにあんきもと出会ってくれる方々がたくさん出てくるといいですよね。

Fuki:あんきもって今年の10月でもう16周年になるんですけど、最初の頃はコミケでCDを手売りしていたような時期もありましたからね。その当時を知っていて、逆に近年のあんきもを知らない人からすると"あのあんきもがアニソンを?"と思うケースもあるだろうし、いわゆるメタル・リスナーではなくて当時の同人活動を知っている人たちに、「世界輪廻」で久しぶりにあんきもの名前を思い出して、"あんきもってまだやってたの?"と言われたいですね(笑)。これは全然ネガティヴな意味じゃなく、私は昔からあんきもを知ってくださる方がいるっていうことがとても嬉しいんですよ。メタル・ファンの人も、そうではない人も、いろんな方たちが今回のことを驚いてくれたり、喜んでくれたりしたらいいなと思ってます。

-ところで、今回のシングルには、カップリングとして「Ready for a new stage」という曲も収録されていますが、こちらはメタル・ファンにこそお薦めしたい1曲になっている印象です。あんきもの王道を感じさせるメロスピ・チューンになっておりますよね。

紫煉:やっぱり、「世界輪廻」のほうがあんきもとしてはちょっと珍しい方向性の曲であり、自分たちとしても新境地に踏み込んだ曲になっているので、それとは逆の方向をカップリングでは提示したかったんです。よく、バンドがメジャー・デビューしたりすると"売れ線に変わっちまった"みたいな言われ方をするじゃないですか(笑)。もし「世界輪廻」を聴いてそういう不安を感じる人がいるんだとしたら、ぜひ「Ready for a new stage」のほうを聴いてもらいたいですね。「世界輪廻」が完全にアニメのために作ったものだとしたら、こっちではあくまでもあんきものために作った、超王道なメロディック・スピード・メタルをブチかます感じになってます。

仁耶:メタル・ファンの人たちは安心していいよってことですね(笑)。あんきもが普通にシングルとして出すなら、この曲が表題曲になってそうな感じもします。

紫煉:昔からあんきものことを知ってて、このシングルで久しぶりに聴くっていう人は、「世界輪廻」に対しては"へー、今こんな音楽やってるんだ"と思うだろうし、そのあと「Ready for a new stage」を聴いたときには"なんだ、変わってないじゃん! あのまま進化してる!!"みたいに感じてくれたら理想かなぁ。

FUMIYA:ドラムもこっちは爆裂ですね。好き放題やってますよ。

Ogawa:レコーディングのスケジュール的には相当タイトでしたけど、我々の得意技が詰まってるタイプの曲だったんでなんとかやりきりました。

-「Ready for a new stage」ではヴァイオリン・ソロが聴けるのも嬉しいです。

Jill:曲全体としては王道でストレートなんですけど、私自身はちょっと妖しげなイメージを感じたところもあったので、あのヴァイオリン・ソロでは、ちょっとアラビアンなニュアンスも感じながら弾いていきました。

-ヴァイオリン・ソロの濃厚さに引けを取らないほど、間奏では各パートの見せ場もありますし、これはとても聴き応えのある曲に仕上がっているなと感じます。

紫煉:このシングルから初めてあんきもを聴く人からすると、「Ready for a new stage」は2曲目に聴くあんきもになると思うので、あんきもの特徴の1つであるヴァイオリン・ソロを聴かせるとしたら、間奏で他のパートが正統派のパキッとしたメタルな音を出してるのに対して、ヴァイオリンならではの個性がよく出るような感じにできたらいいなと思ったんですよ。起承転結で言うと転がヴァイオリン・ソロですね。

-それから、この「Ready for a new stage」という曲の詞の内容についてなのですが、先ほどFukiさんはこのシングルのことを、"バンドにとってはこれが1つのターニング・ポイント"と表現していらっしゃいました。それを踏まえますと、ここでいう"new stage"とは、ターニング・ポイント以降の未来のことを意味していそうですよね。

Fuki:そうですね。そういう気持ちで書いたのが「Ready for a new stage」の詞です。なおかつ、2012年に実質的なあんきも初のオリジナル曲として出した「Change of Generation」(2012年リリースの『Parallelism・β』収録曲)とも、この曲は繋がっていて、当時私たちがヘヴィ・メタルの次世代、新世代を担っていくという意思を込めたのがあの曲の詞だったんですが、今もあんきもはライヴ定番曲としてずっとそれを大切にやり続けているんですね。「Ready for a new stage」というのは、あの「Change of Generation」に対する2024年時点のアンサー・ソングなんです。そして、もしあんきもがアニソンをやることに対して心配している人がいたとしても、この曲の歌詞を見ればその必要はないってことがわかるでしょ? ということを歌ってます。私たちはここからも進化していって、みんなの好きなあんきもとして"new stage=次の世界"を見せてあげるからね! っていうメッセージをここには込めてありますね。

-「世界輪廻」も「Ready for a new stage」も、それぞれにカラーは違いますが、共にあんきもとしての意思を託した誇らしい2曲に仕上がったようです。

Fuki:そう感じてもらえたらとっても嬉しいです!

-ライヴでこの新曲たちを聴けるのはいつ頃からになりそうでしょうか。

紫煉:今ワンマン・ツアー("Unlucky Morpheus 15th Anniversary Live Tour「REINCARNATION」")中なんですけど、8月からですかね。3日の金沢くらいから初出ししていくことになると思います。"Unlucky Morpheus 15th Anniversary Live Tour「REINCARNATION」"自体は断続的に11月まで続いていくことになるんで、もともとあんきもが好きな人たちはもちろん、「世界輪廻」からあんきものことを知ったよという人も、ぜひライヴに遊びに来てください。

Fuki:ライヴと言えば、あんきもの誕生日である10月13日の翌日14日には、吉祥寺CLUB SEATAで"暴れん坊限定ライブ"というのをやるんですよ。

-なんともずいぶんと面白いことになりそうなライヴ・タイトルではないですか。

紫煉:昔のあんきもはもうほんとにぐっちゃぐちゃなライヴをよくやってたんですけど、このところはファン層も老若男女が入り交じった感じになってるし、コロナ禍なんかもあったんで、そういうぐっちゃぐちゃなライヴってもうずっとやってなかったんですよ。でも、自分のマインドとしてはいろんな人に観てほしいっていう気持ちとはまた別に、ライヴって暴れてなんぼだと思っているところもあるので、今回はもう明確に"暴れん坊限定ライブ"をやりますと打ち出すことにしました。ここはめちゃくちゃメタルらしいライヴをやろうじゃないか、というわけです。

-粋な心意気ですね。

紫煉:昔、僕はSHIBUYA-AXでCHILDREN OF BODOMのライヴを観たときに、みんながぐっちゃぐちゃになってるあのフロアの様子にすごく衝撃を受けたし、それが深く突き刺さって今に至っているところも大きいんですよ。暴れて、大声出して、ライヴが終わったらTシャツ絞って、ポカリ2本一気飲みしてみたいな。そんなライヴの楽しみ方をみんなが好きだとは思わないけど、メタル好きな人の中にはそれが好きだっていう人たちも絶対に一定数いると思うんで、今回は"暴れん坊限定ライブ"で興味ある人はぜひ体験してみてほしいです。あの楽しさをみんなにも感じてほしいんですよ。

Fuki:ちゃんとチケットの発売ページにもポップ・アップが出るようにしてもらっていて、申し込む前に"この日は暴れるライヴになりますけどいいですか?"って確認を取るようになってます(笑)。

-メタル入門編バンドを自認するUnlucky Morpheusに、率先してメタルを体感することの楽しさを啓蒙していただけるというのは、大変素敵なことだと思います。

紫煉:何も暴れて怪我しろっていうことではないんでね。その日は、みんなで楽しくぐっちゃくちゃになる面白さを思いっきり味わいましょう。