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INTERVIEW

QUADRATUM From Unlucky Morpheus

2021.01.27UPDATE

2021年02月号掲載

QUADRATUM From Unlucky Morpheus

Member:仁耶(Gt) 小川 洋行(Ba) FUMIYA(Dr) Jill(Vn)

Interviewer:荒金 良介

-仁耶さんはもっと弾きたいと思いませんでした?

仁耶:う~ん、もっと弾きたかったと言えたらいいんだろうけど......ギターのカバーはやりつくされているし。オリジナルが最高なので、違うアプローチをする必要があるなと思いました。僕がアレンジの土台は作ったんですけど、このメンバー4人のバージョンを表現したかったので。それもあんきもでしかやれないことですからね。

-内容的には原曲に忠実にカバーしてますよね。

仁耶:曲の構成もほとんど変えてないですからね。原曲にリスペクトを払いつつ、あんきものこの編成だからできたバージョンです。

-Jillさんは相当大変だったんじゃないですか?

Jill:はい。レコーディングもすごく苦労しました。特に「Far Beyond The Sun」は技術的に大変でしたね。とにかく音数が多いし、速いので......ギターで弾いたらどれぐらい難しいかわからないけど、完コピしましたから。表現の面だと、「For the Love of God」が難しかったです。ギターならではの表現がたくさんありまして、これをヴァイオリンでどう表現すればいいのかなと。

小川:ギターでもできないからね(笑)。Steve Vaiはアームの使い方も独特で表現も難しいから。

Jill:この曲は1音に情報が詰め込まれていて、無造作に音を出しているようで、めちゃくちゃ表情が豊かなんですよ。ヴァイオリンは音の表情を込めるときにビブラートや強弱をつけるんですね。これはヴァイオリン的なアプローチだと、ニュアンスが変わるだろうから、どうやって表現しようかなと考えたんです。この曲はレコーディングに臨む前の1週間、ほぼ24時間ずっとこの曲を聴き続けて生活してました。

-えっ! そんなにストイックな生活を?

Jill:寝ているときもご飯を食べるときも聴いて、細胞に沁み込ませようとしてたんです。
小川:俺が一番お気に入りの曲ですね。ヴァイオリンはすごいなと思いました。

仁耶:この曲には参加してなくて。シタールは打ち込みなので、僕は弾いてないんですよ。最初、アレンジの段階で自分がどれだけ入ろうかなと考えたんですけど、この曲はギターでカバーすることが難しくて。自分が入る余地はないなと。

-今作の中で特に「The Dance of Eternity」は原曲もすごいですけど、このカバーはかなり練習が必要だったんじゃないですか?

FUMIYA:俺はDREAM THEATERで初めてカバーした曲で、身体に入っちゃってたから、そうでもなかったです。小川君が一番大変だったんじゃないかという。

小川:Jillさんは昔カバーしたことがあって、仁耶はコピーしたことがあるみたいで、僕はまったくの白紙だったので本当に嫌でした。

Jill:嫌でした(笑)。

仁耶:「For the Love of God」が1週間断食して座禅する大変さだとするなら、この曲は超難解な数式を解きまくるような難しさで。

小川:Yngwie Malmsteen、IMPELLITTERIは速さと技術、Steve Vaiはニュアンス、DREAM THEATERはもう暗記力なんですよ。

-あぁ、なるほど!

小川:繰り返しが一切なくて。繰り返しかなと思ったら、ちょっと変えているんですよ。弾きにくいフレーズもたくさんあるけど、記憶力ですよね。そういう意味では他の曲とは違いました。

仁耶:"「Overture 1928」(DREAM THEATER)という優しめのインストにしませんか?"と日和った発言をしたら、紫煉さんにダメと言われましたからね。でも、やって良かったです。高校生の頃に最初の3分までコピーして、途中で挫折したんですよ。リベンジできました。

Jill:私は基本的にキーボードのパートを弾きました。

小川:レコーディングはマジで大変でした。DREAM THEATERは変拍子でも、不規則な変拍子ですからね。普通より3倍の時間がかかりました。同じフレーズを何十回も弾きましたね。

仁耶:アルバム名に"Workshop"と付いているけど、本当にそんな感じです。修行、勉強って感じでした。

-このアルバム名はどこから付けたんですか?

小川:俺も紫煉もMIという音楽学校で出会ったんですけど、そこに曲をカバーする授業があって。その名前が"Live Playing Workshop"で、そこから来ているんですよね。

-今回はレコーディングを通して、相当スキル・アップできたんじゃないですか。

小川:だといいんですけどねぇ。

仁耶:かなりのショック療法ですけど。

-カバーして勉強になった点というと?

FUMIYA:ドラムに関してはコピーしてきたけど、それは音源バージョンなんですよ。今回はリスペクトを最大限に込めたくて。時期によってドラマーが違うバンドもいますからね。ここはこの人のバージョン、ここは自分の色を入れようとか、いろいろ工夫しました。当時のメタル・ファンの方も聴くだろうから、細かいところでニヤッとしてもらえたらいいなと。

-FUMIYAさんはほんとにマニアックですねぇ。

FUMIYA:紫煉さんと僕が一番メタルに詳しいので、それを遺憾なく発揮しようと思いました。とにかくレジェンド級の人たちばかりなので、身が引き締まりましたね。そこに自分らしい金モノやタムを入れたりして。

-他のみなさんはどうですか?

Jill:「Far Beyond The Sun」は高速ギタリストがやるスウィープ奏法をコピーしたんですけど、初めてでしたからね。で、あんきもの新曲をレコーディングしていたら、エンジニアさんに"今回のJillさんのソロはギタリストっぽいですね"と言われました。あと、私の指はこんなに速く動くんだなって(笑)。IMPELLITTERIとか、毎日BPMを上げて練習してたけど、クラシックではそんなに速い曲はないから、やればできるんだなと。

仁耶:「The Dance of Eternity」を弾くことで、自分の基礎的なテクニックの勉強になりました。あと、全体を通して制作を進めるなかで、あんきもの作品作りとはまた違う視点で見れたんですよ。今回は原曲があったので、そこでどんなアプローチをするべきなのかを考えたから、今後のあんきもにもそれは生きるんじゃないかと思います。

小川:DREAM THEATERは自分が絶対に弾かないフレーズという意味で、勉強にはなったんですけど......コピーはたくさんしてきたけど、今回はレコーディングという1作業が入ることで、"今まで手を抜いていたな!"と感じました。それと時代、時代でリバーブが多い曲だなとか...‥‥それをどう現代に落とし込めばいいかは勉強になりましたね。

-今作はあんきものファンがどう受け取るのか、楽しみじゃないですか。

小川:そうですね。愛情のないカバーもあるじゃないですか。俺はあまり通ってないからこそ、そこも気をつけましたね。

Jill:私も通ってないからこそ、原曲をめちゃくちゃ聴いたし、カバーするうえではニュアンスを大事にして、1音も間違えずにコピーしたから。

仁耶:あんきものファンには原曲にも触れてほしいですね。

小川:ギタリストの卵とか、これから頑張ろうと思っている人にも聴いてもらいたいですね。往年のメタル・ファンが聴いて、あんきもの入口になったり、その逆もありですから。