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INTERVIEW

AMAHIRU

2020.11.27UPDATE

2020年12月号掲載

AMAHIRU

Member:Frédéric Leclercq(Gt/Ba) SAKI(Gt)

Interviewer:山本 真由

Mary's BloodとNEMOPHILAのギタリスト SAKIと、DRAGONFORCEの元メンバーで現在はドイツのスラッシュ・メタル・バンド、KREATORで活躍するFrédéric Leclercqが、国境を越えた新プロジェクト、AMAHIRUを結成! ふたりのこれまでの活動とは違う、自由度の高い新しい世界が開けたデビュー・アルバム『Amahiru』を完成させた。EPICAのCoen Janssenや、FEAR FACTORYやRAVENで活動するMike Hellerなど凄腕ミュージシャンたちが参加し、AMARANTHEの女性ヴォーカリスト、Elize Rydがゲスト・ヴォーカルを務めるなど、何かと話題の多い今作。今回は、Frédéricのいるフランスがロックダウン中ということもあり、SAKIも含めZoomでのインタビューを敢行。中心メンバーのふたりに、結成の経緯から詳しく語ってもらった。

-おふたりの出会いは、2015年のDRAGONFORCE香港公演のサポートをMary's Bloodが務めたことがきっかけとのことですが、実際AMAHIRUが動き出したのはいつ頃からなのでしょうか?

Frédéric:プロジェクトにしようとしたのは2018年じゃなかったかな。最初は何気ないやりとりだけしていて、僕が日本に行くたびに会っていたんだ。ミュージシャン同士としてね。記憶が間違っていたら訂正してほしいけど、たしか2018年に一緒にやろうという話になった。お互い日本でも海外でもキャリアを築いているし、マネージメントやレーベルを巻き込んだほうが、いろんなことが早く進むと思ったんだ。そこからあとはお互いキャリアの蓄積があったから早かったね。2018年に一緒にやることに決めて、それから曲を書き始めたんだ。

SAKI:そうですね。Fréd(Frédéric)がほとんど言ってしまいましたけど、アルバムを作ろうってなったのが2018年で、それから去年の3月くらいにFrédが日本に来て。曲を書き始めたのは去年の3月だったよね?

Frédéric:あぁ。2019年の3月。早かったよ。2018年に一緒にやることにして、曲を書き始めて、2019年の3月にはデモの内容が固まったからね。僕が3週間日本に滞在して、その間にSAKIと全部の曲に一緒に取り組んだんだ。そのあと参加している人たち全員とレコーディングを始めた。それが2019年の6月だったかな。

-アルバムのタイトルにもなっている、"AMAHIRU"というバンド名について教えてください。"AMAHIRU"という言葉はFrédéricが夢の中で見たバンド名で造語だそうですが、この言葉を今回のプロジェクトのバンド名にしようと思ったのはなぜでしょうか?

Frédéric:SAKIとバンド名を考えていていろんな案を出していたんだけど、あまりに不思議な夢でね。目覚めたらその名前が頭にあって......話せば長くなるんだけどさ(笑)。目覚めたらその名前が頭にあったからSAKIに"これって日本語で何か意味がある単語?"と聞いたら"いいえ。でも悪い意味でもないわ"と言ってくれたんだ。夢の中ではこの名前を使うようにと強く勧められていたからストーリーもあるし、響きもクールだし、ユニークだし、日本語っぽく聞こえるし、意味がないというのもいいかなと思ってとっておいたんだ。(※両手でメロイック・サインを作る)ダークで邪悪な名前を付けるよりもいい(笑)。

SAKI:(笑)

Frédéric:クールで響きも心地いい名前だしね。

-AMAHIRUの"AMA"は"天"にも通じますし、ポジティヴなイメージもありますね。

Frédéric:いいね。僕たちの音楽自体もポジティヴだと思うし、理にかなっていると思うよ。

-SAKIさんは、もともと幅広い活動をされていますが、Mary's BloodやNEMOPHILAのバンド・メンバーからは、今回のAMAHIRUについてはどのような反応がありましたか?

SAKI:実はあまりこのプロジェクトについては話していなくて。でも、ファイルで曲を送ったらみんな気に入ってくれました。特にNEMOPHILAのmayu(Vo)はNICKELBACKとかが好きで、彼らに似たヴァイブを感じると言ってくれて。Archie(AMAHIRUのArchie Wilson/Vo)の声が似ているからかな。みんな気に入ってくれたと思う。

-新しいプロジェクトを応援してくれているのですね。良かったですね。

SAKI:ええ。

-今話に出てきたArchie WilsonはFrédéricが発掘したと資料にありましたが、パワフルで存在感のある歌唱は、ダイナミックでドラマチックなAMAHIRUの音楽性に非常にマッチしていると感じました。彼はどのような経歴のヴォーカリストなのでしょうか?

Frédéric:Archieとは共通の友人を通じて出会ったんだ。自分のバンドを持っていたのは知っていたけど、特に有名なバンドというわけではなかったから、バンドの音を通じてではなくて、友人を通じて知り合いになったんだよ。イギリスではカバー・バンドもやっていた。カバー・バンドはイギリスでは人気があるからね。日本ではどうなんだろう。フランスではカバー・バンドに気を留める人はあまりいないけど。ともあれArchieとはそんな感じに出会って、いくつかこれまで歌ったものを送ってもらったらすごく声がパワフルで......。僕が日本でSAKIとアルバムについて話し合っていたとき、突然彼の名前が頭の中にポッと出てきたんだ。"Oh my god! Archieという男がいるな"と。そのときSAKIと曲を作っている途中だったから、"彼に頼んでみようか"と相談したら"そうしましょう"という話になって、Archieにいくつかメッセージを送ったんだ。翌日には「Bringing Me Down」のデモに自分のヴォーカルを入れたものを送り返してくれた。SAKIと顔を見合わせて"Wow! (※日本語で)スゴイ! 彼で決まりだ"と言い合ったよ。そんないきさつで加わってくれたんだ。このバンドにとって正しい選択だったと思っているよ。Archieの声は全体の雰囲気を自然なものにしてくれるし、このバンドをあるときはグルーヴィに、あるときはアグレッシヴにしてくれる。あらゆる歌い方ができるからね。声の調子を変えることができるから、いちいちヴォーカルを替えなくて済む。すごく多彩なんだ。僕たちにはArchieがいてラッキーだよ。(※日本語で)ウレシイ。

-声に壮大なパワーがあるところも音楽性に合っている気がします。

Frédéric:そうなんだよ。そこがクールだよね。SAKIとヴォーカル探しについて話し合っていたときも、"ウー(唸るような低音)"みたいなのだけじゃなくて、高音部もちゃんと出せる人がいいねなんて言っていたんだ。Archieは全部できるから、パーフェクトな選択だよね。

-他のメンバーはいかがでしょう? 今回は、豪華なサポート・メンバーにも注目が集まっています。オランダのシンフォニック・メタル・バンド、EPICAのCoen Janssen(Key)、そしてFEAR FACTORYやRAVENで活動しているMike Heller(Dr)と、世界的に活躍するアーティストが揃いましたが、彼らの参加はどのように決まったのでしょうか?

Frédéric:Coenとは以前一緒にやったことがあってね。SAKIと追加メンバーについて話し合っていたときにCoenの名前を出したんだ。簡単な選択だったよ。知らない人にいきなりコンタクトするというわけじゃなかったからね。僕とSAKIもそうだけど、パーソナルにも通じ合える相手というのが大切だった。ただ上手いからといって、会ったこともないドラマーでもいいってわけじゃないんだ。ちゃんと通じ合っていないとね。だから、SAKIも僕が"クールなやつらだよ"(※両親指を立てる)と言ったら信頼してくれたし、すべてがとてもスムーズに運んだよ。

-CoenとはDRAGONFORCE時代に一緒に仕事をしていたんでしたっけ。

Frédéric:そう、2019年にDRAGONFORCEと仕事をしていたね。ただ、AMAHIRUについて連絡したのはその前だったか、時期が重なっていたかもしれない。僕がDRAGONFORCEを脱退したのが2019年の6月だったか、正式に発表があったのが8月だったか、そのあたりなんだけど、僕がSAKIと曲を作っていたのはその年の3月だったからね。たしか僕は両方のプロジェクトを同時進行でやっていたんだ。AMAHIRUのことでメッセージを送り合っていたときに、DRAGONFORCEのことを聞かれたのを覚えているよ。

-SAKIさん的には人選に不満はなかったのですね。

SAKI:ええ。一緒にやりたい人候補のリストを送ってくれていたし、もともとEPICAもFEAR FACTORYも大好きだったし、Archieのこともいいと思ったから、反対は一切しなかったですね。

-もともと彼らのファンだったのですね。

SAKI:そうなんです。

-となると彼らと一緒に仕事をしたのは夢が叶ったような感じでしたか?

SAKI:そうですね。それからElize(AMARANTHE のElize Ryd/Vo)については......私はAMARANTHEのファンだから。(Frédéricに向かって)前に話したよね?

Frédéric:もちろん覚えているよ。

SAKI:FrédにElizeを誘いたいという話をしていたんです。そしたら"DOWNLOAD FESTIVAL"に行ってくれたんだよね、日本の。

-去年の"DOWNLOAD JAPAN 2019"に?

SAKI:去年の"DOWNLOAD(DOWNLOAD JAPAN 2019)"にAMARANTHEが来てて、そこにFrédが行って彼女に会ってくれたんです。そこで"こういうプロジェクトやってるよ"って話してくれたみたいで。

Frédéric:そう。SAKI、君はその日Mary's Bloodのショーがあったんだよね。

SAKI:そう。だから、私は行けなかったんです。

Frédéric:本当はElizeとSAKIを引き合わせられれば、もっとクールだったけど。まぁ、次回だね(笑)。僕もAMARANTHEのショーは観られなかったんだ。現地に到着するのが遅れてしまってね。でもElizeとは知り合って長いから、挨拶には行ったんだ。そして、"こういうプロジェクトをやっているよ"と話をした。実は、先日もElizeとメールでやりとりをしたんだ。"「Lucky Star」という曲をリリースしたから、何か自分のところで宣伝してくれ"ってお願いしたよ。彼女は"あの曲のポジティヴなところが大好き"って言ってくれた。

-去年SAKIさんと一緒に曲作りをしたということですが、AMAHIRUの楽曲はヘヴィ・メタルを軸としながらも、"和"のエッセンスがあり、独特の世界観がありますね。作業はどのように分担しているのですか?

Frédéric:初めは別々に曲を書き始めた気がするな。そのあたりはわざわざ一緒にやる必要もないなと思ってね。今はアイディアをmp3で交換することもできるし、離れていても作業が楽だから。でも、その頃SAKIはたしか、Mary's Bloodのアルバムも作っていたんだよね?

SAKI:ええ。

Frédéric:だから、みんなすごく忙しかったんだ。SAKIがそっちを作っていたのも覚えているし、僕もDRAGONFORCEがあったから、とても忙しくてね。それでお互いアイディアを送り合っていたんだけど、一緒にやっていることにきちっとフォーカスするために時間を取って、各曲に両方のテイストを入れたほうがいいと思うようになった。例えば、「Vanguard」はほとんどSAKIが最初から最後まで書いた曲だけど、そこに僕がほんの少しだけ手を入れた。僕が多く書いた曲にはSAKIが同じことをしてくれた。僕たち両方が同じ曲に関与して、どの曲にもSAKIの色と僕の色が両方入ることが大事だと思ったんだ。和の要素はもちろんSAKIからも来ていて......そりゃそうだよね。あとは僕が日本に音楽的に惹かれた面を出すようにしたんだけど、僕にとってラッキーだったのは、僕の日本に対する認識が"正しい"かどうかSAKIがチェックしてくれたことだった。例えば、何か名前を思いついたときに"うーん、それはちょっとニュアンスが違うかも"とか指摘してくれたんだ。ネイティヴの日本人が判断してくれるなんて素晴らしいことだよ。アルバムからも感じとってもらえると思うけど、僕たちは別々に作業を始めた時点から"これはSAKIの曲だな"、"これはFrédの曲だな"と個性が際立っていたんだ。でも、最終的にはどれも同じ方向に向かっている。それがいいよね。グルーヴもあればアグレッシヴな曲もある。あ、邪悪な雰囲気の曲のほとんどはSAKIが書いたんだけどね(笑)。

SAKI:(笑)