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INTERVIEW

AMAHIRU

2020.11.27UPDATE

2020年12月号掲載

AMAHIRU

メンバー:Frédéric Leclercq(Gt/Ba) SAKI(Gt)

インタビュアー:山本 真由

-ヨーロッパのバンドは特に、メンバーが多国籍なことも多く、レコーディングはリモート作業がメインということもよくある話ですが、SAKIさん、ファイル交換で曲を作ったりすることにはもともと慣れていましたか?

SAKI:それは場合によりますね。ファイルを交換するときもあるけど、一緒にやったほうが楽ということも、もちろんあります。このプロジェクトの場合はFrédも言っていたけど、両方の要素を組み合わせる必要があったから、一緒に作業しているときにたくさん相談し合ったんです。メロディや、リフをどう変えるか、ヴォーカルをちゃんと考えようとか。一緒に曲に取り組んでいたときにFrédがArchieのファイルを送ってくれて、気に入ったから彼をヴォーカルにすることにしたんですけど、それからは彼の声を中心に据えて考えることにしました。彼の声はAMAHIRUの中核をなす声だと考えているから、次回アルバムを作るときは彼にも携わってほしいと思っているんです。

-なるほど。2019年に作業をしていたということは、アルバム制作にあたって、レコーディング作業や、スケジュールなど、COVID-19のパンデミックの影響はあまりなかったということでしょうか。今作のレコーディングは全体的にどのようにして行われたのでしょう? みなさん別々の国にお住まいですが。

SAKI:それぞれ自宅でレコーディングしました。最近はみんな宅録ですね。

-リリース・スケジュール的にはどうでしょう。パンデミックがなければもっと早くリリースするはずだったとか、そういうことはありましたか?

Frédéric:難しい質問だね。パンデミックは実際あったわけだから(笑)。

-たしかに(笑)。ただ、アルバムを作り終わったのは去年だったのですよね? それはレコーディングや、マスタリングなども含めてのことだったんでしょうか。

Frédéric:うん。レコーディングは予定通りやったよ。リリースが今になった理由のひとつは、僕のキャリア・チェンジがあったからなんだ。DRAGONFORCEを脱退してKREATORに行ったのは大きな動きだったしね。あとはビデオを作ったりするときはもう僕やSAKIの手を離れているから、そっちのスケジュールの都合もあったし。僕はビデオの撮影で今年の2月に日本に行ったんだ。

-そうなんですね。実はいつ撮ったのか質問しようと思っていました。

Frédéric:今年の2月だよ。

-ということはコロナ禍の始まる直前ですか。

Frédéric:ちょうど始まった頃だったと思う。と言うのもSAKIとトイレットペーパーの話をしたことを覚えているんだ。

-トイレットペーパー(笑)。

Frédéric:(※日本語で)ハイハイ(笑)。というのも、フランスや、ヨーロッパではトイレットペーパーがなくなるなんて聞いたことがなかったんだ。でも、日本ではトイレットペーパーが不足していた。"僕はセーフだな。ホテルにいるし"なんて言っていたよ。ともあれパンデミックは始まっていたけど、SAKIとは夏にショーをやろうかなんて話をしていた。"いいね。君がフランスに来ればいいんじゃない?"なんて。SAKIが来てくれたら一緒にアコースティック・ライヴをやって、Archieに歌ってもらえるし。その時点ではパンデミックが早く収束することを想定して計画を立てていたんだ。SAKIと話し合っていたときのことも鮮明に覚えているよ。次に僕が日本に行ったらツアー・エージェントとも連絡を取って、ヨーロッパでも......なんて思っていたけど、ロックダウンになってしまって、今に至る......という感じなんだ。

-ライヴ活動とプロモーションが延期されたという感じだったんですね。

Frédéric:そうだね......AMAHIRUのインタビューをいろいろ受けるようになって思うようになったんだけど、こういうときこそAMAHIRUみたいなポジティヴなアルバムが出ることが大事だね。人々にはエンターテイメントが必要だし、ポジティヴなものが必要だ。アルバムが出るタイミングでショーをやれたらいいのにとは考えるけど、今ずっとステイホームで気分が沈んでいる人たちのところにこれを届けられるのは、ある意味いいことだと思う。なんらかの形で1日を明るくしてあげることができるかもしれないからね。だから、リリースもある意味悪いタイミングじゃないと思うよ。

-しかるべき理由があってこの時期になっているような気はしますね。

Frédéric:その通りだよ!

-ミュージック・ビデオの公開はとても話題になりましたし、YouTubeのコメントを見ていると、日本のファンからも海外のファンからも軒並み高評価ですが、実際肌で感じる周囲の反響はどうですか?

Frédéric:日本からもポジティヴなコメントをいっぱい貰っているよ。たまにSAKIに通訳してもらうんだ。僕たちがやっていることが嬉しいサプライズだったみたいで、概ねポジティヴなコメントだね。まぁひとり、ふたりくらいは"こんなの......(※顔をしかめる)"とか言っているのもいて、ちょっと気になったけど。Archieがスクリーンショットを送ってきて、"気に入らないんだってさ"なんて言っていたのを覚えているよ。(※日本語で)"スゴイスゴイスゴイスゴイ......"(※上からコメントを指さして確認するふり)って書いてあるのに、そのたったひとつのネガティヴなコメントが気にかかるんだ。

SAKI:Archieへのコメントだったんだよね。

Frédéric:それで、Archieはすごくパーソナルに捉えてしまったんだよね......(※SAKIに向かって)君が言ってよ。

SAKI:(笑)

Frédéric:僕が読んだ悪いレビューはひとつだけだったね。昨夜見てさ。へこんだよ。でも、こう思い直したんだ。全員を喜ばせることはできないんだから、大半がハッピーならいいじゃないかと。音楽にはつきものだよね。10人いたら9人はすごくいい評価をしてくれるけど、ひとりだけ酷評してくるやつがいると、そっちにばかり気が行ってしまうんだ。でも、僕が読んだ中ではそれ以外はポジティヴだったね。SAKI、君が読んだのはどうだったかわからないけど......。

SAKI:私もネガティヴなコメントは見たけど(笑)......でも、ノーマルなことだから。悪いことを言いたい人はどこにでもいるし。ともかく、あのビデオを東京で撮れたのは良かった。とても楽しかった。

-このビデオを撮るためにArchieも来日したのですね?

SAKI:そうなんです。

-どちらのビデオもパワフルでいいですね。「Hours」にはおふたりで東京の街を闊歩するシーンもありますし。

SAKI:(照笑)

-今作『Amahiru』はお二方のどのプロジェクトとも違いますね。全体的に日本の伝統文化に対するリスペクトが見て取れます。"Ninja No Tamashii"や"Samurai"といったタイトルの楽曲もあり、和楽器を用いた楽曲もあって、尺八のレジェンド(三橋貴風)まで参加していますね。一方で骨太なHR/HMサウンドへのこだわりも感じます。非常にユニークで気分の上がる、元気の出る曲たちだと思いますが、アルバム制作において楽曲の方向性やコンセプトはどのようにして共有したのですか? また今作において一貫したテーマのようなものはありますか?

Frédéric:自然な流れでこうなったような気がするね。SAKIに"何か方向性が間違ってる気がする"と言われた覚えもないし、僕が彼女に"いや、これは違うんじゃないか"と指摘した記憶もないし。すべてにおいて、すこぶるスムーズに流れた気がする。(※日本語で)キフーサン(貴風さん)にはSAKIを通じて参加してもらったんだ。クールだよね。僕だけだったら彼のような人には手が届かなかっただろうから。僕たちが考えたのは......SAKIは日本人で僕はフランス人だという事実を音楽作りの要素として生かしたいと。フランスというか、ヨーロッパ人かな。フランスなんて言ったらアコーディオンを入れないといけなくなる(笑)(※アコーディオンを弾くまねをする)。

一同:(笑)

Frédéric:次回は入れようかな(笑)。

SAKI:次はそうしよう(笑)。

-じゃあ、次回はもっとフランス風にということで(笑)。

Frédéric:アートワークも刀の代わりにバゲットをフィーチャーして(笑)。

SAKI:エッフェル塔も載せなくちゃ(笑)。

Frédéric:よし、決まりだ(笑)......それはともかく(笑)、そういう要素を生かしたいと思ったんだ。SAKIは日本人だし、僕自身日本のカルチャーに魅了されているから、日本的なものを探求したいというのもあった。それから......僕たちのやっている他のプロジェクトとは違うけど、ところどころそれらの影響も見え隠れはしている。

-ええ、わかります。

Frédéric:でも、他ではできないことをやってみたいというのもあったんだ。DRAGONFORCEで曲を書くのは素晴らしい経験だったけど、やっぱりDRAGONFORCEという名前から期待されるものってあるからね。Mary's Bloodもきっとそうだと思う。名前が知られているから、ファンが期待するタイプの音楽があるんだ。でも、AMAHIRUには好きなことをやれる完全な自由があった。2枚目はまたちょっと事情が違うかもしれないね。一緒に決めたルールみたいなものがあるとして、それに沿って作るのも、それをぶっ壊してアコーディオンで実験してみる(笑)のも僕たち次第だし。

SAKI:そうだよね(笑)。どっちもアリだと思う。

Frédéric:自由な中でふたりとも同じ方向に向かっていたから良かったよ。

-このインタビューみたいに、カジュアルな感じで自然に方向性が決まっていったんですね。

Frédéric:そうだね。何時間もじっと座ったままで頭を抱えて"どうする?"なんて悩んでいたわけではなかったよ。