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INTERVIEW

AMAHIRU

2020.11.27UPDATE

2020年12月号掲載

AMAHIRU

Member:Frédéric Leclercq(Gt/Ba) SAKI(Gt)

Interviewer:山本 真由

-SAKIさんとしては、アルバム全体を通じてのテーマみたいなものはありますか?

SAKI:Frédが今まで言ったような感じですかね。せっかく日本人とフランス人が一緒にやるからってことです。

-「Lucky Star」ではElize Rydがゲスト参加していますね。先ほど、彼女に"DOWNLOAD"で会って参加してもらうことになったとお話しいただきましたが、彼女を選んだ理由は? この楽曲は初めから男女混声を想定して作曲したものなのでしょうか?

Frédéric:自分でも言っていたけど、SAKIはAMARANTHEの大ファンで、以前からそう言っていたんだ。"DOWNLOAD"に行った翌日"AMARANTHEに会ったよ~"と自慢メールを送ったら(笑)、SAKIが"いいなぁ、私も行きたかった"と言ってた。そうやってやりとりしているうちに"彼女に参加してもらおうよ"という話になったんだ。それで彼女にやってもらいたい曲を考えたんだけど、初めから男女混声を想定した曲はひとつもなかった。まだ初期の段階だったしね。あれは3月......(※日本語で)チョットマッテ......3月21日だ。"DOWNLOAD"のポスターが部屋に貼ってあるんだよ。21日だったからまだ制作プロセスの初期で、SAKIと"どの曲だったらElizeの声に合うかな?"と検討したんだ。「Lucky Star」はとてもメロディックだからということで候補になった。Elizeにワンコーラスだけ歌ってもらうんじゃなくて、たくさん歌ってほしかったしね。

-実際結構歌っていますよね。

Frédéric:そう、ヴァースを歌ってコーラスを歌って、(Archieと)一緒に歌うコーラスもあって。いい選択をしたと思っているよ。

-ArchieはElizeを起用することに関して何か言っていましたか? 彼の歌う量が減るわけですが(笑)。

Frédéric:いや、何も言っていなかったよ(笑)。

-でも、Elizeの参加にはハッピーだったんですね。

Frédéric:そうだね。SAKIはもちろん、彼も大いに喜んでいたよ。でも、僕が書いたのはたしかひとつ目のヴァースで、Archieが書いたのはふたつ目のヴァースだったんだよね。彼は自分が書かなかったヴァースを歌うことになったから、そこだけ"あれ、なんか変だな"なんて言っていたけど(笑)。

SAKI:この曲にしようって言ったのは彼だったと思う。「Lucky Star」か「Hours」がElizeに合うっていうのは、彼が言っていたんです。

Frédéric:そうだったね! SAKIがいてくれて良かったよ。僕は歳をくってきたから、記憶がゆるくなってきているね(笑)。

-(笑)個人的には、音階に和風な響きがありつつ、ヘヴィでファストな「Samurai」がクールでハマりました。ギター・ソロも様々に展開していく面白さがありますが、この楽曲はどのように制作されたのでしょうか?

SAKI:去年の3月に一緒に作業していたときに、どこを誰が演奏するか分担したんです。

Frédéric:僕がふたつやったから君は3つね、とかそういうわけじゃなかったけどね(笑)。

SAKI:(笑)

Frédéric:実際は"この部分どう思う? 気に入った? 君がやってみる?"みたいな感じで決めたね。「Samurai」はあのセッション中に作った曲のひとつだったんだ。曲がいくつか完成したあとで"こんなリフがあるんだけど"、"いいね。私はこういうのを思いついた"みたいに弾いて見せ合って、それを組み合わせた。ソロは......僕がひとつ目のをやってSAKIがふたつ目のを弾いたのかな? たしかそうだったと思う。極めて自然な流れだったよ。"ここについてどう思う?"、"こういうアイディアがあるんだ"、"じゃあこっちをやって、私はこっちをやるね"みたいな感じでね。

-おふたりの掛け合いが実際の斬り合いみたいな感じでした。アグレッシヴで。

Frédéric:アグレッシヴだったね(笑)。良かったと思うよ。僕たちふたりともテクニカルな意味でもギターが好きだから。

-「Samurai」は一例ですが、今作は素晴らしいギタリストがふたりいることもあって、多彩で存在感のあるギター・プレイが魅力です。他のバンドではできないような遊びも盛り込まれているように感じました。レコーディングは楽しかったでしょうね。

Frédéric:そうだね。パーフェクトにしたいあまり根詰めすぎてしまってあまり楽しくないときもあったけど(笑)、大半は楽しかったよ。ギターのレコーディングをするのは好きだけど、本当に楽しかったのは......彼女がここにいるから言うわけじゃないけど、SAKIと一緒に曲に取り組んでいたときだね。夜遅くまで出かけてしまって翌日疲れた状態で臨むこともあったけど。そうやってできたのが「Waves」だったんだ。ふたりとも疲れていたから、ゆったりした曲ができた。

-なるほど。

Frédéric:いいアルバムを作れた、いい思い出だね。ああいう曲は、単にファイルでアイディアを送り合っているだけじゃできなかったよ。そういうのが一番楽しかったね。レコーディングそのものはもちろん良かったけど、時にはフラストレーションになることもあるから。アイディアをうまく形にできなくてイライラして、何度も弾き直すんだけど、やっぱりうまくいかなくて、そうこうしているうちに時間がなくなってきて。僕はプロデュースも担当していたから、全員のファイルが送られてきていたんだ。Archieのヴォーカルもチェックしないといけなかった。Archie、Mike、もちろんSAKIもCoenもだけど、全員がプロフェッショナルで良かったよ。ファイルをチェックして"困ったな、どうしよう"なんて頭を抱える必要がなかったからね。特定のパートに理想の音がきっちり出ているかどうかをチェックするという感じだったよ。全体的には楽しい作業だったね。

-SAKIさんとしては、今作の演奏やアレンジで楽しかったところはどういうところですか? あとは制作時の面白エピソードとか、もしありましたら。

SAKI:面白エピソード......さっきも少し話に出た「Waves」っていう曲なんですけど、ほんと毎日スタジオにこもって10時間作業してて、その日はオフでゆっくり飲もうってことになったんです。Frédとか、友達みんな集めて飲んでて。ものすごい量飲んで、二日酔いだったんですよ。それで二日酔いでスタジオに来て......その日はヘヴィなものを聴いたり、やったりする気がなかったんです。それで、スローで静かな感じのものを作ろうって話になって。

-それでああいうレイドバックな曲ができたんですね。

SAKI:そうですね。

-アルバムの中ではいいアクセントになりましたね。

SAKI:そうですね(笑)。

-日本盤には、ボーナス・トラックとして「Shine」が収録されています。こちらは、アルバムのラストにもピッタリの壮大なパワー・バラード的楽曲ですが、輸入盤には「Zombi」という楽曲が収録されるようですね。一瞬THE CRANBERRIESの「Zombie」のカバーかなと思ったのですが、スペルが違いましたね。まだ日本盤しか聴けていないのですが、これはどのような楽曲なのでしょうか?

SAKI:あのファッキンな曲、みんなに送ってくれていなかったのね! 言ったのに~(苦笑)。

-私たちが聴いたのは「Shine」のほうで、壮大なバラードが素敵だなと思ったんですけど。

SAKI:「Shine」は、日本のファンはメロディックなものが好きだし、まさにそういう曲なので、日本の音楽ファンが喜ぶと思って。「Zombi」は......ある日私たち飲みすぎちゃって。ゴールデン街に行ったんですけど、ホラー映画のバーがあるんです。

-あぁ、ホラーお好きですもんね。

SAKI:そうなんです。Frédと私はホラー映画が大好きだから、GOBLINの「Zombi」(映画"ゾンビ"のサウンドトラック)をカバーしようと思ったんです。GOBLINはイタリアのバンドなんだけど......そこに他の曲のフレーズを組み合わせたりして。なんの曲かは忘れたけど。

Frédéric:さっきSAKIも言っていたけど、僕たちはゴールデン街にある"地獄のデスマッチ DEATHMATCH IN HELL"というバーに行ったんだ。翌日二日酔い状態で"うーん、ホラー映画の曲でもやる?"なんて話してさ。そんな感じに始まったんだ。GOBLINにはクールな曲がたくさんあって、他にも「Tenebre」(映画"シャドー"のサウンドトラック)とかもあるんだ。それらを組み合わせて、とても楽しかったよ。クールだったしね! 素晴らしい出来になったと思うよ。

-そうだったんですね。いつかは「Zombi」収録盤のほうも聴いてみたいです。

Frédéric:聴けるといいね!

-また、海外の人にも、「Shine」というエモーショナルな曲を聴くチャンスがあるといいと思います。

Frédéric:日本には「Shine」といういい曲を、他の国には「Zombi」といういい曲をプレゼントしたんだ。ビデオ・ゲームみたいに両方一度に見せられるといいんだけど(笑)。

-ぜひそうしてください(笑)。FrédéricさんもSAKIさんもすでに"2作目"のことを口にしているので、AMAHIRUをぜひ続けてほしい身としては嬉しい限りですが、ライヴ活動はいかがでしょう? まだコロナ禍なので、またツアーができるようになるには少し時間がかかりそうですし、それぞれのバンドの活動があるので、メンバーが集まるのも難しそうですが、実際この活動をステージに持っていくことについてはどうお考えですか?

Frédéric:君も言っていたように今はとても奇妙な状況な状態だからね。AMAHIRUにとってだけじゃなくて。日本はどういうふうかわからないけど、ライヴって今やっているんだっけ?

-オーディエンスの人数制限がありますね。

SAKI:そうですね。日本では、キャパ制限があるけど、私たちはノーマルに演奏ができる。ただ、オーディエンスは何もできなくて(※口を塞ぐ)マスクをしないといけない。その場で立って踊ることくらいはできるけど(※上半身で踊る)。

Frédéric:(※日本語で)スゴイ! こっちではショーをやりたかったらキャパ3分の1にしないといけないんだ。会場にとってはなんの利益にもならない。オーディエンスも着席しないといけない。だから、ヨーロッパでメタルのショーに行っても、フラストレーションが溜まるんだよね。このくらいしかできないから(※両手でメロイック・サインを作る)。だから、AMAHIRUに関しては、クリエイターたちもみんな頭の中に大きなクエスチョン・マークがあるよ。"どうしよう?"みたいなね。AMAHIRUがライヴをやるにはいろんな条件がある。いつライヴができる状況になるかもわからないし、他のプロジェクトとの兼ね合いもあるしね。SAKIはNEMOPHILAやMary's Bloodでとても忙しいし、他にもいろんな活動をしているから、1日24時間以上必要なのは間違いない。僕もいろんな仕事があるから、大切なのは......これは僕たちが合意したことのひとつなんだけど、ショーをしたくても全員を巻き込むのは難しいだろう? だから、AMAHIRUとしてライヴをやるには、SAKIとArchieと僕の3人さえいればいいということにしたんだ。その3人がコア・メンバーということでね。MikeとCoenが嫌だと言っているわけではまったくないよ。いてくれるのが一番いいんだけど、ショーを実現させるには少なくともその3人が必要だってことだね。

-5人全員が揃うのが理想的であるとはいえ、時には3人でやらないといけない場合もあるだろうということですね。

Frédéric:(※日本語で)ハイハイハイ。

-場合によっては他のキーボーディストやドラマーを探さないといけないと。

Frédéric:そうだね。例えば、SAKIと僕とArchieの3人のスケジュールが合っても、CoenはEPICAの活動があるかもしれないし、Mikeもそういうことがあるかもしれないし。彼らには了承してもらっているよ。コロナ禍が終わって......つまり、ワクチンが使えるようになって、みんなのスケジュールが合えばいいけどね。今はなんとも言えない。でも、Coenは2~3週間前、早くも2作目のアイディアを送ってくれたんだ。僕もバタバタ忙しいけど、少しずつ2作目のことを考え始めているよ。

-そうすると2作目はおふたりだけというよりも、もっとグループ全員が曲作りに携わるようなアルバムになるかもしれませんね。

Frédéric:そうだね。スタジオ仕事が終わればそれっきりということじゃないのが嬉しいよ。Coenは今回のアルバムにとても満足していてハッピーで、次を作る気満々なんだ。だから、様子を見てみるよ。携わってくれる人が多ければ多いほどいいものができるのは間違いないからね。さらに多くの要素を僕たちの音楽に取り込むことができるわけだから。

-コロナ禍が終わるといろんなプロジェクトが一斉に動き出すとは思いますが、このプロジェクトに時間を割けますように。

Frédéric:そうだね。僕もそう願っているよ。

-Frédéricは、日本のサブカルチャーに造詣が深いことでも知られていますし、このアルバムにもそれが表れていますが、そういったコンテンツとのコラボレーションなど、何か特別な企画は考えていますか? 例えば、アニメですとか。

Frédéric:(笑)わからないね。コロナのせいで自分が今後どうなるかもわからないし......日本には少なくとも年に1回は行きたい。今年はビデオの撮影があったから、達成できたけど、次はいつ行けるかわからないよね。コラボという意味では、僕はSAKIとコラボできて本当にハッピーなんだ。とても知識が豊富だし、日本人だから、日本のことを教えてもらえるしね。もちろんアニメや、ビデオ・ゲームに携わっている人たちと仕事ができたらいいなとは思うけど、今は自分の置かれた状況に結構ハッピーなんだ。DRAGONFORCE時代はDRAGONFORCEしかやっていなかったから、"俺はメロディック・メタルだけやっているんだな"という感じだったけど、他の形でも自己表現したいという気持ちがあった。今は自分のアーティスティックなパーソナリティの他の部分を表現したいんだ。今僕はKREATORもAMAHIRUもやっているけど、これは趣味や片手間にやるものじゃなくて、アーティストとしてのバランスを保つために必要な活動だと思っている。SAKIには悪いけど、君はまだまだ僕に会うことになるよ(笑)!

SAKI:(笑)

Frédéric:僕の人生にはAMAHIRUが本当に必要なんだ。とてもポジティヴな活動だから、これからもやっていきたいと思っているよ。

-SAKIさんもお忙しいと思いますが、これからもAMAHIRUも聴かせてくださいね。もしかしたらAMAHIRUでホラー映画のプロジェクトをやるのもいいかもしれませんよ? おふたりともホラー映画がお好きですから。

SAKI:チャンスがあればぜひ(笑)。

-そうなったら面白いですよね。最後に、激ロックの読者へメッセージをお願いします。

Frédéric:レディ・ファーストで(笑)。

SAKI:(笑)実は一緒にROCKAHOLIC(Music Bar ROCKAHOLIC)に行ったんですよ。(Frédに向かって)渋谷のバー、覚えてる?

Frédéric:もちろん覚えているよ。でも、どうして?

SAKI:激ロックがやっているバーなんだよ。

Frédéric:そういうことか! (※日本語で)スゴイ! 情報をありがとう! よし、次にROCKAHOLICに行ったときはフリー・ドリンクでよろしく(笑)! 実は何度も行ったことがあるんだ。

SAKI:ドラフォ(DRAGONFORCE)が来るといつもメンバーとROCKAHOLICで飲んでるイメージがすごくあって。Herman(Li/Gt)もそうだし、Frédも"渋谷のあそこ行こうぜ"って毎回言って、ROCKAHOLIC集合ってことがすごく多いんです。だから、ドラフォというとROCKAHOLICってイメージがすごく強くて。で、Frédとよく飲んだなというイメージもあるんです。激ロックとROCKAHOLICというのが私の中ですごく結びついているので、AMAHIRUで激ロックに載れるのがすごく嬉しいなと。ROCKAHOLICで会って、あそこでいろいろ音楽の話をしたところから繋がっているので。

-何かこう、1周回ったような感じがありますね。

SAKI:ぜひね、激ロック読者のみなさんにはROCKAHOLICで友情を深めてもらって(笑)。いろんなことが起きると思うんで、激ロック読んでROCKAHOLIC行って、みんなで楽しく音楽を聴いてほしいなと思いました。そして、AMAHIRUを聴くと。(Frédに向かって)みんな激ロックを手に取ってROCKAHOLICに行きましょうって話をしたの。

Frédéric:なんだ、僕がROCKAHOLICで"ウェーイ!"ってなっているってチクったのかと思ったよ(笑)! 最後に読者へのメッセージ......この記事を読んでくれてありがとう。AMAHIRUを応援してくれてありがとう。僕たちが作るのを楽しんだのと同じくらい、みんなにもこのアルバムを聴くのを楽しんでもらいたいと願っているよ。早くライヴでみんなに会いたくてたまらないけど、まだなんとも言えないから......その日が来るまでアルバムを聴いて、MVを観て、感想を聴かせてほしい。それから次のアルバムには......アコーディオンが入るかもしれないよ(笑)?