INTERVIEW
Mary's Blood
2016.10.21UPDATE
2016年10月号掲載
Member:EYE(Vo) SAKI(Gt) RIO(Ba) MARI(Dr)
Interviewer:米沢 彰
-メジャー3rdアルバム『FATE』のリリースおめでとうございます。完成した今の感想をうかがえますか?
EYE:今回の気合の入れようは史上最強ぐらいの勢いでやってきて、やりたいことを全部詰め込んだというか、今の自分たちの持っているものを全部出せたと言えるできあがりなので、達成感と、みんなに聴いてほしい気持ちでいっぱいですね。
RIO:達成感はもちろんあるんですが、レコーディングを経て課題もいっぱい見つかって。終わったけど終わった感じがしない、って感じです。ツアーも始まりますし、今できる最大限のものは出せたかなとも思うので、早く聴いていただきたいです。
MARI:前作に比べて、ドラムのプレイにしても楽曲へのアプローチにしても、自分の持ち味とかをより考えながらレコーディングできたと感じています。決まった期間の中でどれだけ自分のやりたいことを出せるかが毎回テーマなんですけど、今回は悔いなく全部を出し切れた作品になったと思います。
SAKI:今回は今までご一緒したことのない方にたくさん参加していただいて、その中でどれだけ新しいことができるか、今までにないことがどれだけできるかを試行錯誤していたので、終わって良かったな、というのが正直なところですね。今までやったことのないことがいろいろあって、どういうふうにまとめていったらいいかわからないところもあって。それが終わってホッとしている感じもあります。
-端から見ているぶんには"もう3枚目"という驚きがあるのですが、みなさんご自身の実感はいかがですか?
EYE:"まだ3枚目"って感じですね。
MARI:まだまだ、やりたいことがたくさんあるし。
EYE:今回、メタルの重い部分は残しつつ、ゲストの方やアレンジャーの方によって、違う世界の色が入ってきて、新しい色が作れたかなと思っていて。この調子でもっともっとやりたいことを実現していきたいと思っているので、"まだ3枚目"ですね。
RIO:やりたいことはいっぱいあるので、全部やったら1枚で何千曲っていうボリュームになっちゃうんです(笑)。
MARI:10曲にはまとまんないよね。
RIO:なので、この調子で出していきたいですね。
SAKI:気がついたらフル・アルバムが3枚出てたな、って感じですね。枚数がどうこうっていう考えは個人的にはあまりなかったです。
-メジャー・デビュー以降、DRAGONFORCEとの海外公演(※2015年8月31日に開催されたDRAGONFORCEの"Maximum Overload World Tour"香港公演)や"NAONのYAON"(※2016年6月12日に日比谷野外大音楽堂にて開催)出演などいろいろな経験を経てきていますが、特に印象に残っている出来事やイベントをうかがえますか?
EYE:どれも濃かったので全部が印象に残っていますが、個人的には寺田恵子(SHOW-YA)さんや山本恭司さんを始め、大先輩たちと共演させていただいた"ふたりのROCK SHOW"(※2016年7月3日に交感ひろば@SPACE ZEROにて開催)が音楽を見直す一番のきっかけになったと思っています。歌のアプローチや、今まで無駄に気にしていたことはいらなかったんだなって気づかされました。
-いらなかった、とは?
EYE:なんというか、視野が狭かったなって。ピッチとかリズムではなくて、感情をいかに表現するかっていう、伝える術が大事だと気づかされましたね。
-なるほど。重要なことですね。
MARI:私は"NAONのYAON"ですね。これまでMary's Bloodでライヴをしてきた中で一番大きかったステージですし、しかも野外の伝統ある日比谷の野音という場所に立てて。今年は中村あゆみさんとコラボさせていただいたことも大きかったんです。イベントの準備の段階から、今まで自分たちがやってきたことと比べると規模も大きくて、そんな中で憧れていた先輩たちと一緒に作り上げていくことはたくさん勉強になったし、視野も広がったなって思いがあります。Mary's Bloodとしてもっと大きなステージを目指していこうとか、夢が広がったイベントだったと思います。
RIO:いっぱいあるんですけど、今年の春の"GRAND CROSS TOUR"(※2016年4月に開催した東名阪ツアー)ですかね。メジャー・デビューしてから、ツーマンで東名阪を回るようなことはなかったので。それも先輩をお招きしての開催だったので、結構ガチで緊張したし、"やっぱスゴい"って思いました。言葉の引き出しがなさすぎて、"スゴい"とか"ヤバい"としか言えないんですけど、同じステージに立たせていただいて、理屈どうこうではないんだなっていうのをすごく感じました。それもあってツアーを経て少し成長できたかなって思います。
SAKI:"NAONのYAON"や"ふたりのROCK SHOW"など、それぞれ勉強することも多かったんですけど、海外関係というか、DRAGONFORCEやDGM、SECRET SPHEREとかと一緒にライヴをやってから、そのあともいろいろやりとりをさせてもらうようになって。DRAGONFORCEとのライヴで香港に行ってからは、香港から日本に観に来てくれるファンもできたんです。月並みですけど、"音楽は国境を越えるな"と。うちらは日本語でしか歌ってないのに、曲を気に入ってくれて、日本のチケットなんて買いづらいだろうに、一生懸命CDを買って、チケットを買って、ライヴを観に来てくれる人がいるっていうのはありがたいなと思いました。とても印象深いです。
-DRAGONFORCEと香港でライヴ、っていう組み合わせが面白いですよね。
SAKI:ヨーロッパじゃないのかって(笑)。
一同:(笑)
-Herman Li(Gt)が香港出身ですしね。
EYE:ソロのときは(オーディエンスも)むちゃくちゃ沸いてたよね。すごく楽しかったです。
-メジャー・デビュー当時からメタル・アンセムとも言うべきサウンドが特徴的でしたが、今作『FATE』はそこから少しモダンな方向に一歩踏み出した印象を個人的には受けています。ご自身では変化を感じていますか? あるいは意図的な変化だったとか?
EYE:モダンなのはかなり、ゆよゆっぺさん(GRILLED MEAT YOUNGMANS/※今作に楽曲提供、編曲で参加)のおかげかもしれないですね(笑)。人時さん(黒夢)を始め、すごくゴージャスな方々に関わっていただいているのもあります。メンバーそれぞれのカラーを見抜いて理解したうえで、アレンジをしてくれる人時さん。私たちのサウンドを土台にして、新しいものを付け加えてくれるゆよゆっぺさん。自分たちだけだったらできなかったことだったので、そういう意味で、ひと回り大きく変化できたかなって思いますね。予想外な部分もありつつ、やろうと思っていたことでもあるので、結果として良かったなって思います。ありがたい限りです。
-アルバムの幕開けとなるTrack.1「Counter Strike」は力強さと疾走感が前面に出たトラックで、歌詞からも運命への抵抗や反抗心が存分に感じられて、『FATE』の始まりにすごく合っているように感じました。この曲ができた経緯や曲に乗せている思いなどをうかがえますか?
SAKI:この曲自体は制作の最初の方からあって。いわゆる単音系のリフで、勢いもあって、っていう今までのMary's Bloodの路線も踏襲して作った曲ですね。今までの重たさだとかメタル・アンセム感を持たせたいなと思って作ったので、全体的に"勢い大事"みたいなノリですね。
-歌詞がかなり特徴的ですが、最初からこういう内容にしようと思っていたのでしょうか?
EYE:この曲はひたすらかっこいい言葉を並べたかったっていうのもあって、結構"中二"な内容になっています(笑)。
-たしかに(笑)。
EYE:アルバムの"FATE"ってタイトル自体は「Counter Strike」の歌詞ができあがってからつけたものではあるんですけど、個人的には3枚目ということもあるし、曲ごとにしっかりストーリーがあって、その中に波乱があるような歌詞を書きたいと思っていたので、"自ら運命を変えていける強い人"が1曲目にいてほしいなと思ったんです。なので、"黒い翼"とかかっこいい言葉を書いていって。夜中に書いたんで、翌朝にもう1回冷静に見ると"うわー"ってなるやつだったんですけど、結果として、この曲から始められて、自分たちらしさが出せたんじゃないかなって思いますね。女だから女らしく、ではなく、かっこよさを出せた。そしてお決まりの"イエーーーーーー"も入れて。
-ラストではブラストビートに突入するほど激しい曲展開ですね。
MARI:テンポの速い曲調や激しいリフなり展開なりっていうのはライヴでも今まで大事にしてきた部分なので、そこをさらに極めたというか。もっと幅を広げるという意味で、歌をもっと聴いてもらいたいなって思いもありつつも、バックの演奏とか、単純にテンポがかなり速くなっていますし、激しさという部分ではライヴも想定しながら貫き通したっていうのはありますね。
-ドラム・パートの難易度が高そうだなって思いました。
EYE:逆に活き活きしてたよね。速い曲の方が。
MARI:そうですね。今回は全体的に速い曲が多いですが、Mary's Blood史上最速に近いですし。