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INTERVIEW

DRAGONFORCE

2017.05.16UPDATE

2017年05月号掲載

DRAGONFORCE

Member:Herman Li(Gt) Frédéric Leclercq(Ba)

Interviewer:米沢 彰

衝撃的なヴォーカル交代劇を経て世に放たれた前作『Maximum Overload』より3年。"スピード一辺倒"としたり顔で語る者たちを強引にねじ伏せてきたDRAGONFORCEが今作で辿り着いた境地は、スピード以外の方法でスピードを表すという円熟の領域だった。表現力を増し、新たなテーマをバンドに内包し始めた彼らの現在進行形の進化を切り取ったインタビュー。

『Reaching Into Infinity』のリリースおめでとうございます。おふたりそれぞれにとって、今作はどのようなアルバムになりましたか?

Herman:DRAGONFORCEのサウンドは何年にもわたって間違いなく進化を続けてきているんだ。前作と比べてもいろんなDRAGONFORCEらしい要素が増えて、且つ幅も広がったアルバムになったと思うよ。

Frederic:ずっとこのアルバムと向き合っているから、正直に言うと客観的に見るのがもう難しくなってきているね。かなりの曲を書いた俺から言うと、このアルバムはみんなの能力を信頼して思いのままに書いた曲が多いんだ。"これはできるかな?"とか心配したりする必要はなくて、"本当はこうしなきゃ"とか、"これでいいのかな"とかいうことは取っ払って、書けるものからどんどん書いていって。実験性という意味では、プログレッシヴなものとか、スラッシュ的なものを意識しながらやったのが前作の『Maximum Overload』(2014年リリースの6thアルバム)だったとすると、そういった前提はなしにして、どんどん作っていったのが今作なんだ。最終的にはこのメンバーでやればDRAGONFORCEの音になるだろうっていう安心感があったからできたことなんだよね。今回、自分が多く書いたけど、Sam(Totman/Gt)も当然書いていて......。でも、Samのことはあてにしないでひとりで書いた曲が結構あるんだ。さっき言ったとおり、このメンバーでやれば最終的にDRAGONFORCEの音になると思ってやったら実際にそのとおりになったから本当に面白いよね。スラッシュ的な曲とか、なんとかみたいな曲とか、そういうジャンルみたいなものを無視してどんどん書いたんだけど、最終的に全部の曲がDRAGONFORCEの曲になったね。

-それはすごく感じましたね。どういうふうにやっても最終的にDRAGONFORCEの音になる感覚は実際に存在しているんだなと。

Frederic:プロデューサーのJens(Bogren/※OPETH、SOILWORKなどを手掛けている)の存在も触れておかないといけないと思う。どういう音にするかという定義づけをしてくれたのは彼だし、彼がプロデューサーをやってくれたことで一貫性が出たということは言えると思うね。

-イントロが終わると、いきなり疾走感バリバリの「Ashes Of The Dawn」(Track.2)で幕を開けますが、このトラックはこれまでのDRAGONFORCEの路線をしっかりと踏襲した、わかりやすいトラックだと思いました。このイメージは合っていますか?

Frederic:他のインタビューで「Ashes Of The Dawn」は"伝統的なパワー・メタル・ソングだ"って言われたんだ。たしかに速くて、激しくて、そういうノリはあるかもしれないけど、実は使ってるコードが違うんだよね。Samが書いてきたこれまでの曲は、"ハッピー・コード"って俺は呼んでるんだけど、コード進行が伝統的なものをよく使っていたんだ。でも、この曲はそれを使っていない。ディミニッシュと呼ばれるコードに、5thとか7thとかちょっと変わった音を入れたんだ。そういうことをやらないと面白くないって思ったのもあって。もちろん、今までの曲が面白くないって意味じゃないけどね。

-"ハッピー・コード"ってわかりやすい響きですね。

Frederic:ハッピーって言葉の捉え方にもよるな。俺たちがハッピー・コードと呼んでいるコードを使った曲でも、悲しい響きがあったりするからね。

-Track.8「WAR!」、Track.10「The Edge Of The World」、Track.13「Evil Dead」でのヴォーカル・ワークはアグレッシヴでこれまでにないアプローチですよね。これはどういった過程で生まれたのでしょうか?

Frederic:それはMarc(Hudson/Vo)によるものだね。前のアルバムでTRIVIUMのMatt(Kiichi Heafy/Vo/Gt)にゲストで参加してもらったりしたし、今回もゲストを呼んでデス・ヴォイスのパートをやってもらおうかとも考えたりしたんだけど、実は『Maximum Overload』のツアーのときに彼がかなり広いヴォーカル・ワークをできることがわかって。アングリーなヴォーカルもできるし。俺がいつもデス・ヴォイスのパートをやってたんだけど、俺のマイクの調子が悪かったときに、Marcがパッと歌ってくれたことがあって、そのときにそんな声も出るんだってわかったんだよね。だから今回はゲストを入れずに全部Marcにやってもらおうって思ってできた結果がこのアルバムなんだ。