－コンポーザーとしての目線、そして、プレイヤーとしての目線、それぞれで特に今作のここに注目してほしいというところや、この曲をじっくり味わってほしいという曲はありますか？

Herman：今回のアルバムは特定のどこかに目を向けるんじゃなくて、全体を聴いてほしいね。というのは、"相乗効果"がすごくある曲が並んでるからなんだ。ひとつの曲を聴いて、次に行ったときにまた違うことをやっていて、ある意味ショックを受けるような体験をすると思う。それがアルバム全体の価値を高めていると思うんだ。しかも、1曲で今のバンドをすべて包括していると言えるような曲があるわけでもない。全体を聴いて、僕らの持っているものすべてを楽しんでもらいたい、そういうアルバムなんだ。

Frederic：たしかにね。ただ、コンポーザーでもあるから、やっぱり聴いてもらう中で"ここだよ！ ここを頑張ったんだ！"って言いたくなる部分もあって。だから、解説CDか何かを作って聴かせたいぐらいだったりもするんだけど（笑）。でもこちらから押しつけるわけにはいかないし、できあがった作品には満足しているからね。すべてバンドがあってこそ、仲間がいてこそできたものだから、やっぱりアルバムを通して、ありのままを聴いてもらいたい作品だね。

－ボーナス・トラックとしてZIGGYの「Gloria」（Track.14）が収められているのには驚きました。音源を聴いていて、サビのところで何かの間違いで違うトラックが入ったのかな？ と思ったぐらいでしたが、どういう経緯でこの曲をボーナス・トラックに選んだのでしょうか？

Frederic：ずいぶん前なんだけど、友達から（ZIGGYの）ベスト盤をもらったんだ。そのときに歌詞を覚えちゃうぐらい気に入ったのは「TOKYO CITY NIGHT」（1988年リリースの2ndアルバム『HOT LIPS』収録曲）で。それからずっとZIGGYをiPodに入れて聴いていた。2年ぐらい前に渋谷でHermanと一緒にパーティーしてたときに、この曲が流れ始めたら女の子たちが一緒に歌ったりしてすごく楽しんでたから、この曲は人気があるんだ、ってわかったんだ。最近はカバーをあんまりやってなくて、そもそもそんなにやりたいことではないんだけど、前作はJohnny Cashのカバー（「Ring Of Fire」）をやって、そのときはやるんなら思いっきりDRAGONFORCEらしい音にしちゃおうってやってみたんだけど、今回は日本のファンのために何かをやりたいって思っていたんだ。いつもすごく良くしてもらっているからね。本当に特別なものを作るんだから、ボーナス・トラックだからってどこかのバンドみたいにいらない曲を入れて渡すのとは違って、ね。

Herman：どこのバンドの話だよ（笑）。

Frederic：どこのバンドもだいたいボーナス・トラックってそういうもんだったりするよね。ちゃんとした特別なギフトとして日本のみんなに聴いてもらいたくて作ったから、日本語もちゃんと歌えていたらいいんだけどな。あの曲はサビのところがとにかく好きで、ミッドセクションのところでひと捻りしててヘヴィなベースを鳴らしているところが、90年代のMOTLEY CRUEのノリを活かした感じで。そういう工夫を凝らしてみたのが俺たちのバージョンのZIGGYなんだ。