INTERVIEW
Unlucky Morpheus
2020.07.28UPDATE
Member:Fuki(Vo) 紫煉(Gt/Scream) 仁耶(Gt) 小川 洋行(Ba) FUMIYA(Dr) Jill(Vn)
Interviewer:荒金 良介
みんなのところに届いて初めて完成という意味合いを込めているんです
-仁耶さんはいかがですか?
仁耶:今回のデモを貰ったときに全体通して、ファンタジーとしてのダークさを感じて。遡るなら、あんきもの『VAMPIR』(2015年リリースの2ndオリジナル・アルバム)に似てて、そのときに僕はギターを弾いてなかったんですよ。だから、『VAMPIR』を超えなきゃいけないなと。今作は強力なリフが多いし、僕もギターを弾くうえでリフが大好きなので、気合が入りました。
Fuki:ベスト・リフを挙げると?
仁耶:「Dogura Magura」かな。路線違いだと、「Make your choice」は今までになかったリフや曲調なので、レコーディングではグルーヴを出すのに苦労しました。
-「Make your choice」は今作の中ではポップな立ち位置の新しいサウンドですね。
紫煉:そうかもしれない。
仁耶:歌詞を含めると、ダークなことをやっているんですけどね(笑)。
紫煉:暗いわけじゃないけど、MARILYN MANSONみたいなゴスっぽい雰囲気もありますからね。
仁耶:悪魔というより、ピエロの怖さみたいな。
Fuki:"ソウ"という怖い映画があるんですけど、あれをモチーフにしたら、とてもハマるだろうなと。生と死を茶化したムードもあり、"ソウ"という映画のピエロ感もこの曲にぴったりハマると思ったから。
-小川さんはいかがですか?
小川:去年はツアーの本数が多くて、一気にバンド感が高まって、演奏のグルーヴも固まってきたから、それが詰め込まれていると思います。あと、東方Project楽曲ツアー("Lunatic East 2019")でゴシックな作風の曲をやったときに特に女性の盛り上がりがすごくて、こういうのが好きなのかなって。今回のデモを聴いたときに、そういう狙いがあるんだろうなと思いました。
紫煉:『VAMPIR』の曲はウケるし、俺らにも合っているから。あまりカラッとした曲にすると、自分たちがやるべきことと離れる気もして。エクストリーム・メタルとゴシックな雰囲気は相性がいいですからね。
Fuki:『VAMPIR』は吸血鬼をテーマにした作品で、あんきものゴシック成分を入れてますからね。ああいう曲こそ、あんきもらしいと思う人も多いんじゃないかと。
-では、FUMIYAさんはいかがですか?
FUMIYA:今作は、BPMはメロスピというより現代メタルに近いものなので、ドラムの幅も広がったと思います。あんきもで、"このBPMで入れたいフィルがあるのにな"と思うこともあったから。あと、紫煉さんのシャウト・パートが増えたことで攻撃性も上がってるし、それに対して僕のドラムをハメることができたのも良かったです。テンポ感も今までとは違うし、自分の得意な武器を入れられたなと思います。"美と暴虐"というテーマも日本人にはわかりやすいだろうし、その極致をやれたので、いい音源に仕上がったなって。
Fuki:どのパートがお気に入りなの?
FUMIYA:「Make your choice」のキック・パターンは一番今までなかったドラム・パターンですね。基本四つ打ちで走りつつ、イントロやサビでものすごく面倒臭い足のパターンを踏むという。「Dogura Magura」は久々にスラッシュ・メタル的なビートですしね。
紫煉:ふーみん(FUMIYA)は久しぶりにブラストビートをやりたいかなって(笑)。
-あと、「Salome」はヴァイオリンとドラムが前面に出たユニークな曲調ですね。
紫煉:ラドックというヴィジュアル系バンドでやっていた曲をリメイクしたものですね。いい曲を現在進行形でよみがえらせたい気持ちがあったから、あんきもでやりたいなと。ヴァイオリンの雰囲気づけであんきもらしくなったと思います。イントロはギターとヴァイオリンでハモってて、普通のバンドならツイン・ギターでIN FLAMESっぽくやるだろうけど、なんとか自分でこじ開けたアレンジを入れたくて。守破離じゃないけど、王道から離れて前例のないオリジナリティがあるものを出そうという。そこはチャレンジでした。
Jill:ライヴでやったら楽しそうな曲だなと思います。ヴァイオリン・ソロも耽美ですからね。「Salome」は昔から描かれてきた古典的なテーマなんですよ。
Fuki:この曲は歌詞を書くのが難しくて......Jillさんは"サロメ"をテーマにした絵をヴァイオリン・ケースに飾っているんですよ。じゃあ、これにしようと(笑)。"サロメ"自体が美とおどろおどろしさの混ざった物語ですからね。
-もの悲しいインスト曲「Unfinished」で始まり、ラストの曲「Carry on singing to the sky」で駆け上がるようにサウンドは明るくなり、闇から光りへと向かう作品全体の流れも良かったです。
Fuki:「Unfinished」はメンバーがひとりずつ追加されていくんですよ。それはライヴを意識してるんだよね?
紫煉:今作は全体的にライヴを意識してて、アルバム名もこの作品だけで完結するわけじゃなく、みんなのところに届いて初めて完成みたいな意味合いを込めているんですよ。毎回ツアー・ファイナルをBlu-rayで出しているけど、頭の映像が困るんですよね(笑)。ライヴ映像にしたときにかっこいい始まり方はないかなって。それを踏まえて、かっこいいイントロ曲を作ったんですよ。
-最後の質問になりますが、今作を引っ提げたツアーも始まりますよね?
紫煉:情勢がなかなか安定しないので、やれるのかどうか......。まだなんとも言えないですね。やりたい気持ちはもちろんあるんですが。
-前作の曲を含めて、ライヴでプレイしたい欲は高まっているんじゃないですか?
Fuki:ほんとにそうですね。
紫煉:音源としては以前にメタルのカバー作を出すと言ってましたけど、インスト曲をカバーしたいと思っているんですよ。それは現在作っているので、年内には出す予定にしてます。あと、普通に2021年に出す予定のアルバムのレコーディングも始めたいので、それも楽しみに待ってもらえたらなと思います。