INTERVIEW
ヒステリックパニック
2019.10.09UPDATE
2019年10月号掲載
Member:とも(Vo) おかっち(Ba)
Interviewer:米沢 彰
アー写や"サバイバル・ゲーム"ってタイトルも含めて、戦っていくっていうメッセージが前面に出てて、攻めてる感が伝わるかな
-そして、問題のトラック「恋愛レボリューション21」です。
おかっち:これは許可が出たんで(笑)。
とも:好きにやってたことが正式に認められたので、国に(笑)。
おかっち:カバーはなんだかんだやってるんですよね。
とも:去年の「GO! GO! MANIAC」(『Hypnotic Poison』収録、放課後ティータイムのカバー)しかり。
おかっち:レッチリ(2014年リリースのオムニバス・アルバム『PUNK GOES 90'S Vol.2』でRED HOT CHILI PEPPERSの「Around The World」をカバー)しかり、誘われて作ったかたちですけどMUCCしかり。
とも:非公認だけどでんぱ組.incしかり。
おかっち:いろいろやってきてはいるんで、今回もやりたいよねっていう話になって。何にするか話してて、僕が"モー娘。(モーニング娘。)!"って。
とも:前の週に"来週までにカバーする曲を決める"っていう宿題があったんですよ。で俺もピンポイントで「恋愛レボリューション21」を持っていってプレゼンしようと思ってて。ヴォーカルの譜割りもちゃんと考えた状態で。カバーの話になったらおかっちが"モー娘。"って言ったんで"俺もモー娘。て言おうと思った"って。
おかっち:僕は曲までは決めてなかったんですけど、酔っ払うとだいたいカラオケで「ザ☆ピ~ス!」を歌うんで(笑)。"うたばん"でイジられてるのを見てたんで、わりと直撃世代で。
-そう、それ気になってたんですよ。僕らは"世代"ですけど、今の若い子はわかるのかなって。
とも:若い子に一応聞いたんですよ。タイトルとか言うとだいたい"聞いたことある"って言って、曲を聴かせるとサビのところで、"あ、この曲"ってなるんですよ。今ってモーニング娘。もEDM化した「恋愛レボリューション21」をやってたりするんで、耳馴染みはどこかであるんですよね。なんの曲かみんなわかるし、カバーするにあたっては自分たちが好きっていうのが大前提だと思うんです。あとはバンド・サウンドから離れていればいるほどギャップがあって面白い、っていうのがあると思ってて、こうなったってところですね。
-あと、こういうトラックはもっと後ろに持ってくるのがよくあるパターンだと思うんですけど。
とも:今回の曲順はすごい気に入ってて。3、4、5曲目って、楽曲的にも近い曲で、ヲタクから始まって、ネットって繋がりからのアイドルって流れなんですよ。BPMもほぼ同じで。なので3、4、5ってポンポンポンって繋がって聴ける流れなんですよね。
-その流れはたしかに面白いですね。続いての「Love it!(Survival Mix)」は『666 (TRIPLE SICK'S)』の収録曲をリミックスしたトラックですよね。
とも:ミックスとマスタリングが違うっていうことですね。
おかっち:録り直しとかは特にはしてないです。
とも:次のフル・アルバムには入れようって言ってたんですけど、気づけば1年以上も経ってたっていう。
おかっち:この1年で僕たちの中でライヴでもマストな、一番重要な曲になったなって思っています。どのライヴでもやってますし、もう代表曲って言ってもいいと思っていて。
とも:「うそつき。」(2015年リリースのメジャー・デビュー・シングル表題曲)以降では一番ヒスパニの顔になっている曲ですね。どこの現場でもいけますし。
-定番化してますよね。続く「ALIENS」では00年代のポップ・パンクみたいな底抜けの明るさが全開ですね。
とも:西海岸みたいな感じですよね。水着のネーチャンがカクテル飲んでるみたいな(笑)。
おかっち:$EIGO(Gt/Cho)さんが作ってきたんですけど、ポップさとシンプルさを兼ね備えた曲ですよね。
とも:「ヲタク is ビューティフル」がTack朗印だとして、この曲は完全に$EIGO印みたいな。メンバーに求めているものもはっきりしてきた感じはありますね。$EIGOらしい曲ここらへんに欲しいよね、とか言って。
-そのテンションなのに、歌っている内容が空気読めないヤバいやつの話で。
とも:歌詞の内容は結構あとに決まって。ライトな下ネタがいいとかって案もあったりしたんですけど、曲調も明るいですし、ここらへんで1回毒吐いとくかってなって(笑)。毒気が欲しい人もいると思うし。でも曲調もあるので、"エイリアン"と"ありえねーやつ"をかけて、ちょっとやんわりした歌詞にして。歌詞を読んだら結構毒気を感じると思うんですけど、聴くだけだとそんなに毒を感じなかったりして、いい感じに中間に位置してると思います。
-なんかこれも実例がありそうだなーって。
とも:いっぱいありますよ(笑)。このアルバムっていろいろリンクしてて。「SNSやめたい」っていうのもそういうやつがいるからで。無神経で、デリカシーのない、常識のないやつが(笑)。
-(笑)「アウトレイジ」みたいなヒップホップよりのミクスチャーは個人的にはすごく好きなんですけど。ともさんが特にやりたい曲なのかなと思ったんですが、実際はいかがですか?
とも:好きな曲であるのは間違いないですね。でも、どっちかって言うと、やりたかったのは後半のハードコアっぽい悪い雰囲気のところですね。いわゆるメタルコア直系のブレイクダウンとか多かったですけど、こういうダウン・テンポな感じはあんまりなかったんで。
-「ブラックホール・ベイビー」はMVが先行して公開されたトラックですが、この曲を先行させたのはどういった経緯からだったのでしょうか?
おかっち:「Love it!」は四つ打ちの一定のビートで、それが今の定番曲になってて。みんなで一緒に盛り上がれる曲として、そういう曲を出したら引っ掛かるんじゃないかなと。なので、そういう曲を出したいって思ってたんですよ。
とも:「ブラックホール・ベイビー」を作ってる最中はMVにしようとはまったく思ってなかったんですよね。
おかっち:完成したら"かっこ良くね!?"ってなって。ビート感はもちろんなんですけど、シャウトも少なめで聴き取りもしやすくて、今までとは違った一面が出せたなって。それで、MV映えすると思って、こうなりました。
とも:世界観もしっかりしてるんで、MVにしやすかったですね。
-最後の「やさしいせかい」、「優勝ファンファーレ」の流れが個人的にはすごく好きでした。軽快で、ヘヴィさも適度にあって、展開もあって。そして、作品の頭にスムーズに流れていくところもいいなって。
とも:実は最初は「やさしいせかい」が最後にくるって案もあったんですよ。もっと前には「やさしいせかい」自体収録しないって案もあったぐらいで。でも、作っていくなかで、「ブラックホール・ベイビー」と「やさしいせかい」が歌詞的にもリンクして。入れるなら後ろのほうだなとはもともと決めてたんですけど、エンディング感はありつつも最後を締めるって感じの曲ではなかったので、「ブラックホール・ベイビー」っていうリード曲から、最後の「優勝ファンファーレ」に繋いでいくっていう位置にスポっとはまった感じで。「優勝ファンファーレ」はこのアルバムの中でも一番ヒスパニっぽい曲だと思ってるんですけど、その曲が最後にくることで作品としてしっかり締まるっていう。さっき3、4、5曲目の流れの話もありましたけど、全体的にすごくいい流れになって、ただ曲が入ってるだけじゃなくて、ちゃんと流れがあって、1枚の作品としてしっかり完成したなって思っています。
-最後から頭に回るところも含めてすごくいい流れなんですよね。
とも:そこは結構毎回考えているところですね。『LIVE A LIVE』でも最後の曲から1曲目がきれいに繋がってて。いつも意識しています。
-リリース以降の予定をうかがえますか?
とも:死ぬまでツアーやってます(笑)。
一同:(笑)
とも:3月末まで(11月22日より開催の"ULTIMATE BATTLE TOUR 2019-2020"が)すでに決まっています。東京はビクター(Victor Entertainment)が新しく作った渋谷の会場(Veats Shibuya)で。ツアー以降の予定はCDが売れるか、ツアーが盛り上がるかどうかにかかっています(笑)。1個夢があって。"追加公演やります"って言いたい。キャパとかなんでもいいんで、追加公演をやりたいんですよね。
-では最後に激ロック読者へのメッセージをお願いします。
とも:表紙なんでちゃんとまとめようと思うんですけど(笑)。
一同:(笑)
とも:今回、アー写や"サバイバル・ゲーム"ってアルバムのタイトルも含めて、戦っていくっていうメッセージが前面に出てて、攻めてる感が伝わるかなって思うんですけど、聴く人も人生の中で戦っていくときとか、攻めていくときとかあるんじゃないかと。その戦闘シーンのBGMになれればと思って作ったので、ぜひそういうふうに聴いてほしいなって思います。あとはライヴハウスで一緒に戦いましょう。