MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

AA=

2019.08.07UPDATE

2019年08月号掲載

AA=

Member:上田 剛士(Ba/Vo/Prog)

Interviewer:吉羽 さおり

誰が入ってきても、AA=の中心になっているものは変わらずにいれる。AA=として成長を感じた


-そこも10年という時間を重ねてきた息の合った呼吸があるからこそですね。では、曲についてもいろいろお訊きしていきたいと思います。アルバムを幕開ける「THE FLOWER」は、3分ほどにわたる長いノイズとビートによるイントロでスタートする曲です。これは、どんなイメージからできた曲ですか?

自分がよくイベントでやっている、イベント用の遊び曲があるんですけど、わりとそれに近い感じのもので、1曲AA=として曲を作ってみようかなと思ったのが始まりですね。単純にこういうものは音源としてはやっていなかったので。ただ、それをそのまま音源にするのではなくて、何か違う曲としてやろうかなというところで、前半は自分がサンプラーでプレイして、途中からバンドに入ってきてもらってという構成になっています。

-この始まりと同時にアルバムへの期待、高揚感が上がっていきます。ビートやラップの感触にしても、攻撃的な曲も多いなかで、これまでと違ったパターンで来たなと思ったのが、サーフ・テイストの「SO BLUE」でした。

そうですね。オールディーズ風と言われることもありますけど。この曲は、この雰囲気のこういうメロディをタカにやらせたいなと思っていたんです。たぶんこういうのがすげぇ合うだろうなと思ったし、それが面白いなっていうのがあったんですよね。自分の中での遊び心が前面に出た曲になりました。

-ハマってます。ものすごくメロウなヴォーカルで。

面白いですよね。

-それでも曲自体はメロウなだけではなくて、2ビートに展開するなどアグレッシヴさは忘れていない曲でもありますね。こういった曲は、上田さん自身あまり書かないタイプの曲ですか?

思いつきではありますね。でもアイディアとしては、実はアルバムの作業に入る前からある曲なんです。それこそ『#5』(2016年リリースの5thアルバム)と『#6』の間の期間にはなんとなくあったアイディアで、設計図的なデモは結構前からありました。

-このアルバムは、そういったこれまでに溜めていたようなデモを形にした曲も多いですか?

それこそ「SO BLUE」よりもっともっと前に作っている、前のアルバム(『#5』)のタームで生まれたアイディアから作っている曲とかもありますしね。そのとき作ったものの、入れようという気分にならなかったものとか。「SMILE」や「MONEY GRUBBER」などがそうですね。「SMILE」は、原型としては『#2』(2010年リリースの2ndアルバム)くらいのときに作っているんです。ずっと作り上げていなかったんだけど、なんとなく思い出してそのときのデータを聴いてみて、作る気になって作ったという。

-なるほど。また「PICK UP THE PIECES」は、メロディアスでストレートな高揚感がグッとくる曲です。BALZACによる厚みあるコーラスも効いた曲で、この曲も含めて今回は、ライヴで一体感のある曲が多いような気がしました。

特にこの曲とかはそういうイメージがありますね。この曲は叩いてもらっているのがZAXなんだけど、ZAXと出会ってできた曲っていう感じがします。彼の持っているエネルギー、明るさというか、陽なパワーというか、そういうのが曲として表れている。ZAXの影響がある曲ですね。

-彼が加わることで、またバンドのトーンのようなものも変化しているんですね。

そうですね。俺自身もメンバーからの影響を受けるというか。

-また全体的には、サウンドがより幅広くも感じましたが、アルバムとしてのそういう意識はあったのでしょうか。

という意識は自分では持っていないんですけど、そういう感想を聞くこともありますね。自分的には、自分らしい、ちゃんと"アルバム"を作った感じです。前の『#5』はフィーチャリング曲が多くあって、そこがメインでもあったアルバムだったり、その前の『#4』(2014年リリースの4thアルバム)はテーマを分けて作ったりしていたので。そういう意味では、久々にアルバムらしいアルバムを作る気になったタイミングだったんです。

-コンセプトであるとかテーマ性というのは最初から設けず、今の感じを詰め込もうと。何かそのときの自分のブームみたいなものっていうのも反映されるんですか?

ブームというよりは、10周年の"THE OIO DAY"を迎えて、ひとつバンドとして示せた感があったというか、作り上げた感があっての今回のアルバムなので、そういったバンド感みたいなものが色濃く出た感じがしていますね。それぞれのメンバーとライヴを重ねてやってきたことが、イメージの中心になっているアルバムなので、それがわりと普通に、素直に出た感じだと思います。レコーディングでみんなに参加してもらったからということもあるだろうし。

-では、スムーズに進んでいた感触ですか。

"THE OIO DAY"が終わって制作に入ってという感じだったので、わりとすんなりといったほうじゃないですかね。調子良く作れたというか。"THE OIO DAY"までやれたというのがデカかったですかね。そこでスイッチも入って、スッキリとアルバムに向かえたし。

-10年という時間は大きなものだったんですね。

かもしれないですね。今、このアルバムを作った感じを見ると。それこそYOUTH-K!!!とZAXが新しく加わったことも大きいし、それぞれ全然違うタイプですけど、その違いを含めてAA=としての形がひとつ見つけられたような気がしているので。誰が入ってきても、AA=の中心になっているものは変わらずにいれるというか。AA=として成長をした感じがしますね。それが作品に反映されているという。

-改めて10年というのは上田さん自身ではどういう時間だったんでしょうか。

自分の音っていうのが再確認できました。それはこの10年に限らずですけどね。20歳くらいのときからずっと曲を作り続けてきて、それによって今自分がやっているもの、やるべきものをちゃんと見つけられるというか。AA=としてそれを見つけられたのが、この10年だったんじゃないですかね。自分の中心になっているものはわかったような感じがしています。

-歌詞については、10年を経て、"THE OIO DAY"を終えて、さらなる深みへというところで意識されたことはありますか?

歌詞については、テーマ性というのを作ることはしていないんですけど。自分が作っている音から、普段自分が思っていることや考えていることの、どの扉を開けるかということだと思いますね。基本的には言葉が先ではないです。その音からどういう影響を受けるかという。

-音が激しいものならば、言葉はまたより強く、鋭くもなっていくと。

そうですね。そこが自分の中の引き出しを開けるきっかけになるので。

-書いたものを振り返ったときに、ここに社会の有様が映っているなとか、感じることもありますか?

うん。というか、メッセージ的なものを入れていこうという意識は特にないんですけど、自分の作るものに関しては自然とそうなっていきますね。音もそうなんだけど、言葉はよりストレートに自分が出ると思います。言葉もサウンドのひとつと位置づけたいと考えているので。

-普段感じること、フツフツと湧き上がるものっていうのは、激しいビートや音、アグレッシヴなサウンドのほうに反映されることが多いんですか。

音は言葉以上に表現ができることもあると思うので、表現する方法としては、自分の中ではリアルな感じですね。もともと激しい音やビートが好きだというのもあるんだけど、そうした感情から生まれてくるものが、自分の"らしさ"が出ているものになると思います。

-10月から"AA= TOUR #6"がスタートします。アルバムのツアーということでは久々となるので、この『#6』がライヴでどう展開されていくのか、ツアーが面白くなりそうですね。

先行で出しているシングル(「POSER」)と、あと1曲くらいはこれまでもライヴでちょこちょことやっているんですけど、ツアーではガッツリとアルバムの曲をやっていくことになるので、かなり楽しみですね。