INTERVIEW
GALNERYUS
2017.09.22UPDATE
2017年09月号掲載
Member:Syu(Gt)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
-なるほど。では楽曲の話に戻りますが、「HEAVENLY PUNISHMENT」については?
一言で表すと"天罰"! ですね(笑)。前作の主人公の息子が、親が殺された怒りと共にどうこう......という話です。今作は、泣きのメロディがだいぶ出てきてると思うんですが、それは家族を殺されてしまった主人公の怒りや悲しみが、すごく強く反映されているからなんです。高橋さんの挿絵やブックレットの配置も、小説を読みながらその世界に入って聴いてほしいという意図で作っています。
-では、楽曲を聴くだけでなくさらに楽しむためには、ブックレットの小説や挿絵が、このアルバムの世界観を補完する重要な役割を果たしているということですね。
そういうことですね。
-「HEAVENLY PUNISHMENT」で早くも最初のクライマックスを迎えたような高揚感を感じます。
前作で言う「RAISE MY SWORD」の位置付けですね。聴いてもらったら"はい、これね!"って思ってもらえるような並びにしています。GALNERYUSのお家芸ですね(笑)。
-前作の「RAISE MY SWORD」から「THE VOICE OF GRIEVOUS CRY」のメロスピからメロスピへと畳みか掛ける流れもすごかったですが、今作の「HEAVENLY PUNISHMENT」から「WINGS OF JUSTICE」の流れもまさに鳥肌モノですね。
そうですね。多くのバンドが"前にやったこととは違うことをやろう"って考えて、それがうまくハマってお客さんの心を掴むことももちろんあり得ますけど、ただ、それが変な方向に行ってしまうと、残念な作品になってしまうと思うんですよね。僕たちも、以前はそういう挑戦をしてたんですが、結果として"メロスピの方が良かったよね"って思うことが多かったので、"GALNERYUSと言えばこれだ!"っていう、いい意味での"金太郎飴"感を出したいって思いがあったんです。安心と驚きを共存させたい、ということですね。
-"来るだろうなって分かってても、実際に来たらすごい!"みたいな。
そうですね!
-でも、それって実はすごく難しいことですよね。聴き手が予想しているもので感動を与えられるというのは、想定を大きく超えるクオリティのものを作らなければいけないわけで。
そうなんです。例えばSTRATOVARIUSの「Black Diamond」の"こう来るやろ、こう来るやろ、こう来るやろ......よっしゃー!!"ってストライク感というか。そういうものが大事だと僕は思っているので、そこは外さないようにしてます。
-そのバランス感、大事ですね。
あとはドラマーが交代したので、少なからず心配しているお客さんもいると思うんですよ。その心配を払拭したいっていう気持ちもありましたね。"いつものGALNERYUSだよ!"っていう安心感と、"FUMIYAの要素もいろいろ入ってるよ!"っていう新たな驚きを共存させられればと思ってます。
-そして、「THE SHADOW WITHIN」は、それまでの楽曲とはまた毛色の違う感じでかっこいいですね。キャッチーで高揚感のあるサビとプログレッシヴでテクニカルな展開とのバランス感もいいです。
基本的にストーリーに沿った感じで曲を書いてるので、そのストーリーに沿ったテンポにしています。
-前作も曲より先にストーリーがあったんでしたっけ?
曲が先ではあるんですけど、だた、ストーリーの流れは始めから決まってたんです。それで、その流れを念頭に置いて曲を書いて、さらに物語も書いてたので、同時進行だったんです。
-制作のフローに関して前作との違いはありますか?
特にはないですね。同じような形で作っていきました。
-そうなんですね。前作よりもアルバム全体の物語性というか、流れがスムーズになったように感じたんですが......。
細かい違いはあるかもしれないですね。それぞれのテーマに沿って書くことができた、とか。
-今回、アルバムの中でYUHKIさん(Key)が手掛けた楽曲が「WITH SYMPATHY」と「RISING INFURIATION」と2曲ありますね。SYUさんがストーリー全体を作っているなかで、他のメンバーが作った曲をどう当てはめていくかなど、難しい点もあるのではないでしょうか?
そうですね。難しい作業ではありました。ストーリーの大枠を書いて、それをYUHKIさんに渡して曲を書いてもらって、歌詞は小野さんとTAKAさん(Ba)に書いてもらいました。ストーリーの世界観を共有しないといけないので、まずはストーリーを先に渡して"大枠でこういう感じの曲にしてください"とお願いはしましたね。GALNERYUSの場合、メンバーの演奏やYUHKIさんの作曲に関しては、自由度の高いものでないといけないと思っているので、まずは丸投げしてみて、どんなものができあがるかを待って、そのあと何回かディスカッションを通して完成させていく感じです。
-なるほど。そして、YUHKIさんの楽曲に挟まれている「WHEREVER YOU ARE」ですが、今作内で最もポップでキャッチーですね。80~90年代の歌謡曲的な懐かしさも感じました。
80~90年代のメロハーは意識してますね。
-少し歌謡曲的な感じもしたんですが。
まぁ、日本人がやってるんで(笑)、そういう雰囲気が自然と出てるかもしれないですね。あとは、いい意味での"往年感"を出したかった楽曲ではありますね。
-それは、すごく伝わってきます。
ちょっとキラキラな音(笑)が入ってるんですが、それにもかなりこだわってて。"これ泣けるキラキラだね!"みたいなことを意識して作ってます。
-こういうテンションの高い楽曲群の中で一服の清涼剤的な存在があると、スピード感のある曲やハードな曲が一層際立ちますよね。
たしかにそういう狙いはあります。前作は最初から最後までずっと緊張感が続いてたんですが、今作にはひと息つけるところもある、かと言って、聴かないわけにもいかない曲にしたかったんです。ミュージック・ビデオの収録があったときに「WHEREVER YOU ARE」を流してたら、出演者の方に"このメロディが一番好きです"って言ってもらえて"あぁ、これなんだ"って(笑)。