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LIVE REPORT

BabyKingdom

2023.12.12 @Zepp Shinjuku (TOKYO)

Writer : 山口 哲生 Photographer:清水ケンシロウ

シングル『PENGUIN DIVE』を手に、全国ツアー"BabyKingdom winter oneman tour『WHITE STEAM』"を開催したBabyKingdom。そのツアー・ファイナルとなったZepp Shinjuku (TOKYO)公演は、白銀の世界をスチームパンクな機関車が駆け抜けていくオープニング映像から始まった。バンド・コンセプトに"MUSIC THEME PARK=音楽のテーマパーク"を掲げている彼らだが、まさにその世界へ誘っていくかのような期待感にフロアが満たされていくと、4人が登場。メンバー・コールを組み込んだ「マワリマワッテ」からライヴをスタートさせ、場内の熱を一気に高める。オーディエンスは勢い良く飛び跳ね、サビではタオルを振り回すと、"序盤に最強ソング持ってきたんですけど、やれますか!?"と咲吾-shogo-(Vo)が叫び、「めっちゃアーメン」へ。CO2が強く噴き上がるなか、伸びやかな歌声を放ちながら、ポップなパフォーマンスでフロアを先導していく。

"MUSIC THEME PARK"というコンセプト通り、様々な楽曲を繰り出していく4人。ひと足先にクリスマス気分を味わわせてくれた「アイシングシュガー」では、咲吾-shogo-がブルースハープを吹き鳴らせば、もにょ-monyo-(Ba)の荒ぶるベースから幕を開けた「チョコレートキャンディパンチ」では、志記-shiki-(Gt/Mani)がヒロイックなギター・ソロを見せつけると、虎丸-toramaru-(Dr)が壮絶な勢いでバスドラムを踏みつけ、凄まじい熱量の音塊を叩きつけていく。また、「AWAKING BEAT」のようなシリアスなアップテンポ・ナンバーで空気を引き締めれば、トランシーな「監獄☆BEAT」では、虎丸-toramaru-がステージ前まで出てきて、フロアと一緒にパラパラを踊って盛り上がる場面も飛び出すなど、様々なタイプの楽曲を巧みなライヴ運びで届けていった。

親しみやすい楽曲やパフォーマンスで、徹底的にオーディエンスを楽しませていくのがBabyKingdomのスタイルだ。それと同時に、目の前にいる人を楽しませるという行為自体を、彼らが心の底から楽しんでいるのが伝わってくる。しかし、そんなエンタメ全振りなパフォーマンスでハッピーな空間を作り上げていくところは、どこかイロモノ的な見られ方/受け取られ方をしてしまう部分もあるかもしれない。しかし、演奏はかなり安定していて(「ハナムコペンギン」で咲吾-shogo-が入りをミスしてやり直したのは内緒の話だが(笑))、楽器隊全員がサラっと入れ込んでくるフレーズに興奮させられた。実は奇抜な楽曲展開をしているところは見逃せない/聴き逃せないポイントであり、細かいところまで丁寧に気配りをしているところは、まさに誰もが気軽に楽しめるテーマパークといった感じ。

そして、とことんポップでキャッチーな存在だからこそ、いざまっすぐなメッセージを放つとギャップが生まれ、その言葉を相手の深いところまで響かせることができるというのは、彼らの圧倒的な強みだ。他人や周りの環境と比べてしまうこともあるけれど、未来には必ず自分自身の幸せが待っているという思いを込めた「PENGUIN DIVE」や、延長営業(=アンコール)のラストに"自分たちの音楽や存在が生きる力になるように歌い続けていくから、みんなも元気で好きなように、楽しく生きてほしい"と最後に叫んだ「誰かのヒーロー」は、エモーショナルに胸を打つものになっていて、独自の路線を歩んでいる彼らだからこそ強い意味を持つメッセージだったと思う。強い余韻を残しつつ、この日のステージを締めくくった。

なお、BabyKingdomは3rdアルバム『FUNNY∞CIRCUS』を3月13日にリリースし、ワンマン・ツアー"spring oneman tour『INFINITY of CLOWN』"を開催することを発表。今回のコンセプトは"実はやっていそうでやっていなかった"という"サーカス"だ。また、6月4日に開催されるツアー・ファイナルのShinjuku BLAZEは、彼らにとって思い出の地でもあるとのこと。そこで4人がどんなステージを繰り広げ、どんなメッセージを残すのか、楽しみにしていたい。

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