DISC REVIEW
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自らのアイデンテティを正面から心得ることにより、拓ける未来はきっとある。平等、公平、公正。それらは似ているようで明らかな違いを持つ言葉たちだが、今作の収録楽曲たちを通じてべびきんの描き出す"生命"というものの正体は、表面上ではロマンチックな装いを見せつつも実にリアルにしてシリアス。そして、生まれながらに飛べない鳥と呼ばれるペンギンを題材とした表題曲の秀逸なウィンター・ソングとしての風合いは、鬼転調の事実をまるで感じさせない仕上がりぶりが素晴らしい。また、愛の美しさを歌った「ハナムコペンギン」、燃ゆる命と熱き鼓動を感じさせる「AWAKING BEAT」(※B typeのみ収録)も、それぞれに高い完成度を誇る。今作には映画"もののけ姫"で言う"生きろ、そなたは美しい"の言葉が似合いそうだ。 杉江 由紀