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INTERVIEW

BabyKingdom

2024.10.08UPDATE

2024年10月号掲載

BabyKingdom

Member:咲吾-shogo-(Vo) 志記-shiki-(Gt/Mani) もにょ-monyo-(Ba) 虎丸-toramaru-(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

死者の日に魂は現世へと戻り、生きる者たちは骸骨に扮することで死者に想いを馳せながら共に楽しむという文化。それは生きることの尊さを改めて知ることになる、大切な機会であるのだろう。BabyKingdomがこのたびメキシコを舞台にした新アトラクションとして生み出したのは、両A面マキシ・シングル『CALAVERAS/サルサルーサ』だ。細部にまでこだわったサウンドのみならず、歌詞世界でも見事に異国の地の情景を描き出すべびきん(BabyKingdom)の優れた手腕を、心ゆくまでお楽しみいただきたい。

-"MUSIC THEME PARK"を標榜するBabyKingdomは、これまでも様々な世界、それぞれのテーマを通して斬新且つ楽しいアトラクション(楽曲)を提示してきておりますが、今回の両A面マキシ・シングル『CALAVERAS/サルサルーサ』は、アー写のヴィジュアルからも伝わってくる通り、メキシコの"死者の日"をモチーフにされているのだそうですね。

咲吾:結構前から、そのうち、"死者の日"をコンセプトにしたアトラクションを作ってみたいと思ってたんですよね。そして、実はもうこの次のコンセプトというのもすでに考えてあって、今回はお国柄として"そこ"からは遠いところに行きたいなと思ったところもあり、その前にメキシコに寄るのがちょうど良かったんです。

-なるほど。次の目的地に向かうにあたり、トランジットでメキシコに寄ったようなかたちなのですね。

咲吾:いい感じに地球を回りながら旅行してる感じになってます(笑)。

-今作『CALAVERAS/サルサルーサ』のモチーフとなっている、メキシコの"死者の日"については、テレビのドキュメント等でたまにその様子が取り上げられることがありますし、近年ですとアニメ映画"リメンバー・ミー"にて描かれていましたが、咲吾さんが"死者の日"に興味を持つことになられたきっかけはなんだったのですか?

咲吾:僕もまずは映画でその存在を知りました。"リメンバー・ミー"もそうだし、ブック・オブ・ライフ ~マノロの数奇な冒険~"も好きだったんですよね。あの"死者の日"というのは、本質的なところでは死を扱った行事だとは思うんですけど、メキシコではそれを"生きていることを喜ぶ"お祭りとして、みんなで楽しんでいるところがあるじゃないですか。そういう重くなりすぎないあの雰囲気を明るく前向きに表現していくのは、まさにBabyKingdomにとってぴったりだなと感じてたんです。

-メキシコは色彩感覚もカラフルな国ですし、死を悲しいだけのものと解釈しないあの国民性や、陽気で情熱的なラテン音楽の雰囲気も含めて、いわゆるラテンの血を色濃く感じるところが多くありますよね。日本人のわびさび文化とは、ほぼ真逆かもしれません。

咲吾:たしかに、日本とメキシコではいろんなことが違うなとは思います。もちろん、"死者の日"に関しては宗教的な部分も絡んでくるわけで、このテーマで歌詞を書いていくのはちょっと難しくもありましたね。諸刃の剣というか、一歩間違うと現地の方に"それは違うよ"って言われちゃう可能性もありますから。そこは自分としても、いろいろ気を付けながら詞を書いていくようにしました。

-では、今回の曲調の部分で考慮されたのはどのようなことでしたか?

志記:「CALAVERAS」に関しては、まずパーカッションの音でメキシコを表現することを考えましたね。メキシコという国はもともと古代文明を持っていた国だし、スペインから侵略される前には、今現在だとインディヘナと呼ばれてる人たちの原住民的な文化もあって、そういう複雑な文化や歴史が合わさった国ならではのところがあると思うんですよ。リズムでそれを表していくとなると、いわゆる16分のリズムを軸にしていく必要がありました。そこを軸にしつつ、スペインやヨーロッパから渡ってきたアコーディオン、フィドルやマンドリン、そのあたりを交えながら、バンド・サウンドに落とし込んでいくという方向性で作っていきましたね。あと、やっぱりラテンならではの情熱的なブラスの音もすごく探しました。

-ブラスの音を探した、とはどういうことですか?

志記:僕たちみたいなバンドからすると、本物のラテンのブラスの人を探して演奏してもらうっていうのは、まだ段階的になかなか難しいところがあるんですよ。とはいえ、クラシックの世界のトランペットの音と、ラテンのトランペットって同じ楽器を使ってるはずやのに全く音色が違うんです。ジャズ・ギターとロック・ギターくらいの違いがあるんで、ブラスの音色はそれを"探して"いくことになったんですよ。

-志記さんが「CALAVERAS」でパーカッションのパートにこだわられたということは、ドラマーである虎丸さんからしても、リズムに対しての捉え方の部分では、この曲だからこその感覚を要したということでしょうか。

虎丸:叩いてて最初に感じたのは、曲のスピード的にもノリの面でもめちゃくちゃ難しいなってことでした。フレーズ的にはむしろ難しくしないようにしたつもりなんですけど、全体的な音数が多いせいもあるのか、そこにドラムの音を当てに行く感覚で叩くとなんかハマりにくいなと感じちゃったんです。

-祭り太鼓の感覚ならいざ知らず、ラテンの血を日本人がリズムで醸し出していくとなると、そう簡単なことではないのでしょうね。

志記:いや、ほんまにそういうことやと思いますよ。

虎丸:だから、とにかくパーカッションのノリを理解するために、レコーディング前はインスト音源を聴きまくりましたね。この音とこの音が鳴ってるっていうことは、俺はここで邪魔しないように叩けばいいんだなってことを把握してから叩いていったんです。

-もにょさんは、ベーシストとして「CALAVERAS」とはどのように対峙していかれることになったのでしょう。

もにょ:基本的にはいつものように、この曲でも志記さんが考えてくれたフレーズを弾いてるんですが、16ビートが基調になるなかでマラカスとかパーカッション系が鳴っていて、虎丸はそこに日本人がノリやすい8ビートもちょっと交ぜてきてるんで、ベースまで16ビートでいくとほぼメタルになっちゃうんですね。だから、僕はアクセントだけを16に持ってくるくらいの感覚で弾きました。いつもみたいなドラムの音に当てていけばいい、っていうケースが多いジャパニーズ・ロックとは違う解釈の仕方が必要でしたね。志記さんは気軽な感じで"お兄ちゃん、こんなん得意やろ!"って投げてきましたけど(笑)。