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LIVE REPORT

the GazettE

2023.07.15 @日本武道館

Writer : 杉江 由紀 Photographer:田辺 佳子、上溝恭香、日吉純平、林 雅子

失われし春から3年以上もの長い時を経て、今宵the GazettEと彼らのことをこよなく愛する人々は、ようやく心願成就を果たすことになったと言えるだろう。

2020年春に予定されていた18周年記念ライヴがパンデミックにより中止となって以降、あえて配信ライヴなどは行わないまま水面下での制作活動を続行し、2021年5月に10thアルバム『MASS』を発表したthe GazettEは、その後ここに至るまで刻々と公演上の制限が変化していくなかにあって、その都度"the GazettE LIVE TOUR -MASS-"を[PHASE 01-COUNT "DECEM"]、[PHASE02-"The Unknown"]、[PHASE03 "LAST MILE"]と3シリーズにもわたって遂行していたことになる。そして、このたび彼らにとって約8年ぶりの日本武道館公演として開催された[the GazettE LIVE TOUR2022-2023 MASS "THE FINAL"]では、ついに声出し解禁でのライヴが実現することになった。

そうした諸々の経緯を考えると、この場で1曲目に演奏されたのが"春は彼方へ消えた"という歌詞を擁した「BLINDING HOPE」であったことはある意味での必然で、そこから麗の鳴らすギター・フレーズが攻めの音を体現していた「ROLLIN'」や、戒による地に足の着いたドラミングが重いグルーヴを生み出していた「NOX」、葵の紡ぐアコギの音が繊細に響いた「MOMENT」、そしてREITAの唸らせるベースラインが聴衆の頭をブン回すことになった「FRENZY」と、主にアルバム『MASS』の収録曲たちを軸として本編が進行していったことも、おそらく当然の流れだったと思われる。

一方、アンコールについては[the GazettE LIVE TOUR -MASS- PHASE02-"The Unknown"]で『MASS』の収録曲に加えて過去アルバムの楽曲たちがコンセプチュアルに演奏されていたことを受けてなのか、あるいはこれが約8年ぶりの日本武道館公演であったからなのか、初期の名曲「赤いワンピース」や、場内がオーディエンスによるシンガロングで満たされた「貴女ノ為ノ此ノ命。」など、数々の"ライヴで聴きたかったあの曲たち"が惜しみなく投下されていくことになったため、古参のコアファンにとってはもちろん、近年になってthe GazettEのファンになったという方にとっても、これはかなりありがたいセトリになっていたに違いない。

また、ダブル・アンコールにおいては彼らが2006年に初めての武道館公演として臨んだ"Standing Live tour 2006[Nameless Liberty.Six Guns...]TOUR FINAL-日本武道館-"で最後に演奏された「未成年」を再び聴くことができたうえ、約3時間にわたったこの公演を最後の最後に締めくくったのは、言わずもがなの『MASS』におけるエンディング・チューンでもあった「LAST SONG」。RUKIが心血を注ぎながらここで歌い上げた"彷徨う声 此処で/またあの日の様に枯らし/何処までも焼きつく未来/見せてくれ"というその詞には、絶望を越えた先で獲得した希望の光がとめどなく溢れていたのだ。

"この「LAST SONG」という歌にすべての願いを込めてきました。今夜、その夢が叶ったことを本当に感謝してます。ありがとう。必ずまたデカい姿で帰ってくるから待っててください! Thank you武道館!! 愛してます!"(RUKI)

来たる12月25日には11年ぶりとなるクリスマス・ライヴ"LIVE 2023-HERESY LIMITED- A HYMN OF THE CRUCIFIXION ver.2"をパシフィコ横浜 国立大ホールにて開催し、2024年には新たなリリースも予定しているというthe GazettE。3年以上もの時をかけてひとつの心願成就を果たした彼らの未来は、きっと無限の可能性と共に在る。

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