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INTERVIEW

the GazettE

2021.05.26UPDATE

2021年05月号掲載

the GazettE

メンバー:URUHA(Gt) KAI(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

待ちに待った人はさぞかし多かろう。前作『NINTH』以来、ほぼ3年ぶりとなるthe GazettEのフル・アルバム『MASS』がいよいよここに完成した。しかも、今作は彼らにとって通算10枚目のアルバムでもあるのだとか。なお、昨春に記念すべき18周年ライヴがコロナ禍の中で中止となって以降、水面下で制作がずっと続いていた今作では、この時代ならではのオンライン作業も多く取り入れることにもなったそうだが、仕上がったアルバムには、いい意味でこの時代ならではの大切なメッセージが多く託されることになったようだ。当然、これだけの作品が世に出るとなれば次はライヴを期待したくもなるところ。果報についてはしばし待たれよ!

-前作『NINTH』(2018年リリース)以来、ほぼ3年ぶりとなるフル・アルバム『MASS』がここに完成しましたが、まずはここまでの間にthe GazettEが辿ってきた道程を、少し振り返らせていただけますでしょうか?

KAI:前の『NINTH』を出したあとは結構長いツアーをやっていたので、バンドとしてはそこにかなりの時間を費やしていたというのは大きいです。

URUHA:断続的に1年以上はやってましたからね。

-たしかに、2018年7月に始まったホール・ツアー"PHASE #01-PHENOMENON-"以降、スタンディング・ツアー"PHASE #02-ENHANCEMENT-"、ライヴハウス・ツアー"PHASE#03 激情は獰猛"、ワールド・ツアー"PHASE #04 -99.999-"、日本凱旋セミ・ファイナル公演"PHASE#05 -「混血」-"、さらには2019年9月の"FINAL「第九」LIVE AT 09.23 YOKOHAMA ARENA"まで、日本国内はおろか北米、南米、EU、アジアなど世界規模での"LIVE TOUR18-19 THE NINTH"全61公演は大変なボリュームを誇るものでしたね。

KAI:どうしてもツアーがすべて終わってからじゃないと、気持ちの面で次の制作に向けてのスタートということにはなりにくいですし、うちのバンドではだいたい毎回そういう感じなので、今回のアルバムに関してもツアー終了から1年くらいかけて曲作りをしていった、ということになるんです。

-だとすると、今作『MASS』に向けたヴィジョンがバンド内や、メンバー個々の中でぼんやりとでも見えてきたのはいつごろのことだったのでしょうね。

URUHA:そこは実際に制作を始めて、それが進行していくにつれ徐々に見えてきた感じでした。あんまり焦ってヴィジョンを構築していこうみたいな雰囲気はなくて、各メンバーと次に向けての方向性を見定めていくのにしっかり時間をかけていってましたね。

KAI:2019年末には第1回目の選曲会議をしていて、そこから何回か重ねていきながら今回の11曲に決まったっていう流れでした。

-なお、ちょうどアルバム制作期間の途中にあたったのであろう昨年3月10日には、武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナでの18周年記念ライヴ"18TH ANNIVERSARY DAY/6576"が本来予定されていましたけれども、the GazettEは最初の緊急事態宣言が発出される前に、状況判断をされたうえでこちらの中止を決定されました。しかも、それ以降はパタリとバンドの動きが表に伝わってこなくなった印象がありまして。もちろん、水面下では今作『MASS』についての制作に集中されていたのだとは思いますが、昨春から多くのアーティストが始めた無観客配信ライヴや、YouTubeでの動画配信というかたちでの外へと向けた発信をなさらなかったのはなぜですか?

URUHA:そこは単に、当初からの予定通りアルバムの制作期間に入っていたからです。

KAI:実は、あの3月10日の前にも2回目の選曲会議をしてたんですよ。それで、そのあと"じゃあ、ここからはライヴのモードに切り替えるか"っていったん制作をストップして、周年ライヴの準備をしていたんですけど、残念ながら中止になってしまったわけです。だから、そこからはまたそのまま制作に戻ったっていうことですね。

-なるほど。では、実際の録りに入られたのはいつくらいからでした?

KAI:何回かに分けて録っていて、最初は去年の夏でしたね。そのときは、このアルバムのリード・チューンである「BLINDING HOPE」をまず1曲だけ録りました。

-ちなみに、この「BLINDING HOPE」を今作におけるリード・チューンとして選んだ理由についても、ぜひ教えていただきたいです。

URUHA:これは曲を作ったRUKI(Vo)が、最初から"リードはこれだ!"って出してきたものだったんですよ。聴いてみたらそれだけの説得力が充分にあったし、リード曲ならではの存在感も強い曲だったので、メンバーはみんなそこで納得した感じでした。

KAI:今回に限ったことではなく、RUKIはいつもトータルで考えたうえで、メインとなる曲とアルバム・タイトルを同時に呈示してきますからね。僕らはそこに対する思いなんかも聞きつつ、RUKIの意志を尊重しながらアルバムの制作を続けていったんです。

-それぞれのプレイヤーの見地からすると、リード・チューン「BLINDING HOPE」に対しては、どのような音を封じ込めていく必要があると考えていらっしゃいましたか。

KAI:フレーズに関しては原曲の段階でかなりできあがっていましたから、あとは多少そこに自分なりのアレンジを加えていった感じでしたね。そして、音に関してはドラマー個人としてどうこうよりも、"バンドとして次に目指すべきサウンドってどこなんだろうね?"っていうところからスタートして構築していったんですよ。

-その"バンドとして次に目指すべきサウンド"を模索していく際、バンド内で交わされていたのがどのような会話であったのかが非常に気になりますね。

KAI:リファレンスとして各自がいろんな海外アーティストの音を挙げたりとかしつつ、当初はわりと生音にこだわったものを目指したいね、という話が出たりはしてました。そこは前作『NINTH』の逆を行く感じを意識していた、というのがあったと思います。

-今作『MASS』と前作『NINTH』を聴き比べると、そこの違いは歴然ですね。『NINTH』は高密度でみっちりとした密室的な音像に仕上がっていましたが、今作の場合はキックの音をひとつとっても響きの臨場感が増しているように感じます。

KAI:まぁ、始めのうちは"久しぶりに普通に叩いて録ってみる?"っていう話も出ていたくらいですからね。ただ、いろいろと検討した結果、レコーディングの手法そのものは前作と同じバラ録りをすることにして、もちろん音としてはサンプルも使ってるんですけど、一緒にやるドラム・テックさんが変わった影響なのか、最終的な仕上がり的に『NINTH』とはまたちょっと違う音になったのは事実です。

-ドラム・パートで主に変わったのはチューニングですか?

KAI:使う機材自体も変わったんですけど、チューナーが変わったっていうのは思っていた以上にデカかったです。原曲に対してスネアや、タムのチューニングをキッチリやっていってくれるタイプの方でしたし、僕との相性もすごく良かったみたいで、参考になる助言もたくさんいただけたんですよ。今さらながらにとっても勉強になりました。

-the GazettEだけでも19年のキャリアをお持ちだとはいえ、"今さらながらに"新しく体得できることがあったというのは素晴らしいですね。

KAI:いやー、まだわからないことって意外とあるんだなって思いましたよ(笑)。

-サウンドの土台となるドラムの音が今作ならではのものになったことにより、ギター隊の音作りにも何かしらの影響が及んだところはありました?

URUHA:録ったドラムの音を聴きながらギターを録っていったので、"プリプロのときと音の出方が違うな。こう来たか"って感じたところはありました。でも、それでそこまで大幅にギターの音を変えたっていうのはなかったです。というのも、最終的にはミックスでさらにガラッと変わりますからね。録りの段階での細かい変化に一喜一憂していると、かえってアルバムの音作りとしてはブレまくってしまう可能性が高いんです。だから、常に意識していたのはアルバム全体としての音作りのほうでした。

-大局的に物事を見ていく必要があったわけですね。では、そもそもURUHAさんが今作『MASS』を制作されていくなかで、重視されていたのはどのようなことでしたか? 聴かせていただいた印象としては、SEとなる「COUNT-10」が明けて以降に先ほど話題に出たリード・チューン「BLINDING HOPE」、そして、ドラム・ソロから始まるアッパーな「ROLLIN'」と続く冒頭部分を筆頭に、今作では相当、ライヴを意識した音作りをされているように窺えるところが多いと感じているのですけれども。

URUHA:いやもう、そこはおっしゃるとおりです。the GazettEでは音源のためだけに作る曲というのはそんなに多くなくて、あくまでもライヴありきで考えていることは多いですからね。選曲の段階でその条件に適しているか、いないかを判断基準にすることもありますし、根本的なところで常に意識しているのはライヴですよ。

KAI:今回はアルバム制作の過程で、疑似的にセットリストを組みましたからね。新曲たちと既存の曲たちを交ぜながらライヴをやるとしたら、どういうかたちがしっくりくるかっていうのを検証したんです。そこで出た、"こういうタイプの曲が足りないよね"っていう意見をもとに、さらに曲を加えることもあったんですよ。

-ではここで激ロック読者の方々に向けて、おふたりそれぞれの個人的な観点による推し曲を、『MASS』の中から2曲ずつ選んでいただいてもよろしいですか?

URUHA:激ロック・ユーザー向けですか。まずはやっぱり、これを推さずして何を推すのかという意味で「BLINDING HOPE」です。なぜなら、この1曲からだけでも、『MASS』というアルバムの中に含まれているいろんな要素を、かなり感じることができると思うんですよ。メロディ展開の仕方、スピード感、各楽器の手数の多さ、そういった音要素の部分で今のthe GazettEが凝縮されていますからね。これを聴いてもらうだけで、おおよそアルバムの全体像を把握してもらえるはずです。それと、激ロックを読んでいる人って基本的にメタルコア好きじゃないですか。そこを踏まえるなら、あえてここは「MOMENT」も推します。

-ほほう。あえてとおっしゃるその心は?

URUHA:メタルコア好きな人たちも、たまには「MOMENT」みたいなアコギのバラードで、耳休めしてあげるのもいいんじゃないかと思いまして。みなさん普段はきっとこういうタイプの曲をあえて聴く機会はそうないでしょうし、the GazettEとしても少ないほうで、僕自身もアコギをレコーディングで弾いたのは久しぶりだったんですが、このしっとりした雰囲気をぜひ味わってみてください。

-the GazettEの中でアコギを使う場合、重要になってくるのはどのようなことですか?

URUHA:普段、アコギのパートはAOIが担当することが多いんですよ。ただ、この「MOMENT」に関しては、全編アコギがメインでギター・ソロもアコギという曲ですからね。せっかくなので、生のボディ鳴りを大事にしながらマイクで録っていったんですが、ライヴではレコーディングの音を忠実に再現するのがバンドの音響的にちょっと難しくはあるので、そこはここから試行錯誤をしていくことになると思います。