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INTERVIEW

RAISE A SUILEN

2025.11.13UPDATE

2025年12月号掲載

RAISE A SUILEN

Member:Raychell(レイヤ/Ba/Vo) 紡木 吏佐(チュチュ/DJ)

Interviewer:宮﨑 大樹

RAISE A SUILENへのFear, and Loathing in Las Vegas(以下:ラスベガス)提供楽曲第2弾が実現。14thシングル『'FIGHT' ADDICT』に収録される運びとなった。タイトルは"Drown Out the Noise and Push Through the Trash"。一聴して踊り狂いたくなるラスベガス節全開の魔性のサウンドに、全英詞を圧倒的な歌唱力で歌い上げるRaychellの歌声、挑発的な紡木吏佐のラップと、隙のない楽曲に仕上がった本作を収めたシングルや、2026年に開催されるラスベガスとの対バン等について、Raychellと紡木吏佐に訊いた。

So(Fear, and Loathing in Las Vegas/Clean Vo)から次回対バンに向けたコメントが到着!
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SNS等で発信される無責任な言葉を"ノイズ"として "それをかき消せ"というテーマ

-ラスベガス提供曲第2弾の決定、おめでとうございます。提供が決まったときの率直な感想からお聞かせいただけますか?

Raychell:素直に"また楽曲をいただけるんだ"と思って、すごく嬉しかったです。"これはまた対バンできるのかな"という考えも生まれましたね。

紡木:第1弾の「Repaint」(2022年2月配信リリース)をいただいて、また次があるなんて正直思ってもいなかったので、びっくりしました。

-第1弾「Repaint」は、RAS(RAISE A SUILEN)にとってどのような曲に育ちましたか?

Raychell:一言で言うと"ライヴ映え"です。ライヴで始まった瞬間に"ワー!"って歓声が上がるのを毎回感じますし、ラスベガスさん特有の、いきなり曲が変わるかのような既存曲にはない構成で、聴いてくれているオーディエンスの皆さん、バンドリーマー(※"バンドリ!"ファンの呼称)のみんなも楽しんでいただけていると感じます。あと、全部英語の歌詞なので、それが最初は大変でしたね。吏佐ちゃんはインターナショナル・スクール出身なので英語が得意なんですけど、英語と関わりのなかった他のメンバーも含めて、特に私はヴォーカルなので。でもアニメーションのミュージック・ビデオも作っていただき、今やRAISE A SUILENの代表曲と言っても過言ではない楽曲です。

-第2弾となる新曲「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」の第一印象はどうでしたか?

紡木:1回聴いただけでは処理し切れない。ビックリ玉手箱みたいな、展開に展開を重ねた一生飽きない曲ですね。メロディがABC→ABCではなく、いくつも重なっていて、聴き飽きない印象でした。

Raychell:私たちは新曲が来ると、"新曲聴いた?"って個人LINEをするんですよ。そのときに、あまりにも難しすぎて"ちょっと分からない!"という会話になった程です(笑)。ただ、すごくラスベガスさんらしく、またRASらしくもある要素がたっぷり。前回は色とりどりの感じだったんですけど、今回も絵の具で言ったらごちゃっと混ざったような、華やかで賑やかな楽曲だと感じました。 頭のイントロは私から歌い出しなんですけど、Aメロからメンバーがいきなり歌うんです。そんな楽曲はなかったので異色というか、そういうアイディアもあるんだなと。ロック(小原莉子/Gt)だったりマスキング(夏芽/Dr)だったりパレオ(倉知玲鳳/Key)のまた新たな魅力が出ているなと思います。これはバンドリーマーもそうですし、ラスベガスさんのファンの方も聴いていてきっと楽しいんじゃないかなと思いました。

-レコーディングでのエピソードや、楽曲の難易度について教えてください。「Repaint」と比べてどうでしたか?

Raychell:ムズいです! 最初に"(So(Fear, and Loathing in Las Vegas/Clean Vo)に合わせているので)キーが高いけど大丈夫ですか?"と聞かれたんですよ。で、"頑張りますけど、もし出なかったらどうするんですか?"と聞いたら、"そのときはメロディを変えます"と言われまして。

-実際メロディは変わったんですか?

Raychell:変わっていないです。プロデューサーも心配してくれましたけど、頑張って歌わせていただきました。

紡木:私はラップを担当させていただいたんですけど、ラップとしてのカッコ良さと、キャラクターとしてのチュチュの収まり方をすり合わせるのが難しかったです。「Repaint」のときはMinamiさんのラップに影響を受けながらレコーディングしたんですけど、"チュチュだったらこうだったかな?"というものが自分の中であったんです。なので、今回は"今のチュチュっぽかったですか?"ってその都度確認しながら録らせていただきました。

-歌詞とテーマについてはいかがでしょうか?

Raychell:テーマは、"SNS等で発信される無責任な言葉を気にするな"いうもので。今の世の中って、顔を見せずに自由に発信できたりするじゃないですか? そのなかで発信される無責任な言葉や、誰かを傷つける言葉を"ノイズ"として、"それをかき消せ"という曲なんです。私たちも表現者として感じることがあるので、今っぽい素敵なテーマだと思いました。

紡木: SNSって難しいですよね。10のいい言葉があったしても、1つの嫌な言葉があるとそれが自分の中で強く響いてしまうというか、気持ちが下がってしまうもので。この曲を通して伝わることですけど、それって雑音に過ぎないので、見ないに越したことはないんですよ。知らない幸せもある。それでも何かを見てしまったときは、この曲を聴いていただいて、"ゴミ箱に突っ込んでいこうぜ"というマインドですね。それで少しでも気持ちが晴れたら嬉しいです。

-ご自身のパートの聴きどころを教えてください。

紡木:今回はラップが多い、メインと言っていいぐらいの曲ですけど、メンバーの投げ込みの後にラップで応えるという構成は初めてだったので、Aメロですかね。新しい展開から始まるので聴きどころかなと思います。

Raychell:サビ後のラップがカッコいいよね。そこも注目してほしいなと思います。今までにないやり方でラップをしているので、"チュチュはこんなふうにも歌うんだ"という発見がありました。ヴォーカル的には、ラスサビのキーの高さです。"私はやかんだ"と思いながら歌ったんです(笑)。

-やかん(笑)。

Raychell:"沸騰したぜ! ピィー!"というイメージで歌っています(笑)。そういう勢いがあるラスベガス曲だからこそ活きるメロディだと思ったので、意地でもメロディを変えたくなかったんです。ぜひ最後の気持ちのいい高音に注目して、皆さんもカラオケ等で挑戦してほしいです。

紡木:いや、出ない。出ないです(笑)。

-ライヴではどうなるんでしょうね。

Raychell: ライヴでは、ラップ・シンガロングではないですけど、そういうセクションがあるので、チュチュのラップに続けてオーディエンスの皆さんも一緒に歌ってもらえたら嬉しいです。よりライヴが楽しくなるだろうなとイメージしています。

-そんな「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」は14thシングルに収録されますけど、この作品は他の収録曲もとてもいいですよね。表題曲「'FIGHT' ADDICT」はTVアニメ"カードファイト!! ヴァンガード Divinez デラックス決勝編"のエンディング・テーマに起用されていて、RASらしい楽曲に仕上がりました。

紡木:最初に聴いたときに"これはオープニング曲かな?"と思うくらいのブチアガり感で。上松(範康/Elements Garden)さんらしい、メロディ・ラインが気持ちいいところに来る感じがすごく癖になりました。

Raychell:"THE上松曲"という感じです。"ヴァンガード"の世界に浸っていただけるようなメロディと歌詞になっていて、すごくポジティヴで闘志が燃える、そしてそれを楽しんでいるんですよね。歌詞に"ゾクゾク痺れる 自分がますます強くなってく感覚"とありますけど、失敗を恐れずどんどん突き進んでいくキャラの気持ちが投影されているなと思って。私たちもライヴをやっているときはそういう気持ちなんです。そういう意味ではすごくリンクするし、歌っていてすごく好きな楽曲です。歌うときは"かましてやる!"と思っています。ライヴでも映えそうな楽曲なので、ぜひともたくさん聴きこんでライヴに来ていただきたいですね。

-「FIVE as ONE」は、レイヤの優しさの出たいい歌が素敵でした。

Raychell:藤真(仁/Elements Garden)さんに初めて提供していただいた楽曲で、新しい風が吹いた気がします。"ガルパ(バンドリ! ガールズバンドパーティ!)"で、RASのみんなでコテージへ合宿に行くイベントがあったんですよ。そこで焚き火をした後、今後のRASについて語り合っていくストーリーに沿った曲が、この「FIVE as ONE」なんです。"私たちはRASで良かったよね"、"これからも一つ一つを大事に築いていこう"って、星を見ながら話しているイメージですね。"今日も月がきれいだね"って。"月がきれい"って"I love you"じゃないですか、それをメンバーに伝えている気持ちで歌わせていただきました。だから優しさを感じてもらえて嬉しいです。

紡木:RASは激しい曲が印象的だと思うんですけど、しんみり染み渡る月夜の曲という感じです。今までの曲だったら、「REIGNING」とか「Beautiful Birthday」(共に2020年リリースの1stアルバム『ERA』収録)とかのエモい曲に仲間入りすると思います。私はチェル(Raychell)さんの歌声のこの振り幅が大好きなんです。激しい2曲(「'FIGHT' ADDICT」、「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」)とは対照的に、この曲で癒されていただきたいです。

-3曲とは思えない聴き応えで。

Raychell:抜群です。ミニ・アルバムかな? くらいの感じがします。

紡木:振り幅オバケ。被っているジャンルがない、RAISE A SUILENの三面を味わえますね。