INTERVIEW
NOCTURNAL BLOODLUST
2016.04.24UPDATE
2016年05月号掲載
Member:Cazqui(Gt) Natsu(Dr) 尋(Vo) Masa(Ba) Daichi(Gt)
Interviewer:米沢 彰
-前評判もいいですよね。エクストリームな部分はもちろんですが、サックスの導入だったり、全体的には尖っていく方向よりも幅を広げていく方向を追求した作品だと感じました。前もってそういう方向性を持っていたのでしょうか?
Cazqui:前作『PROVIDENCE』(2015年リリースの6thシングル)はよくこんなもんを出したな、と思います。あれは精神的に殻に閉じこもってた時期で。当時の個人アー写にも出ちゃってます。後ろ向いてるし。けれど、言ってみれば"孤高と阿呆は紙一重"なんで。今回は奇抜さだけでなく、よりラウド・ミュージックとして伝わりやすいスタイルになっていると思います。サックスを入れたり、さらにチューニングを落としたドロップGチューニングのギター・リフだったり、挑戦的な要素はありますけど。
-チューニングがGってことは、ほぼ1周してるってことですね。
Cazqui:もうすぐ1周しちゃいますね(笑)。
-(笑)今回、さらにチューニングの記録を更新したってことですよね。もう1段階下げようって思ったきっかけはどういったところにあったのでしょうか?
Cazqui:昔はここまでダウン・チューニングをすると、非常に厳しいものがありました。特にライヴでは。けれど今は低いギター・サウンドを鮮明に聴かせる音作りも可能になりましたし、僕らもそういう手法を培ってきたので、今だからこそ、踏み込もうかなと。
-ここまでくると、そこまでチューニングを落としていることが逆にわかりにくいですね(笑)。
Cazqui:そうですね(笑)。
-その一方で、Track.4「NG+」でサックスを入れ込んできたのもすごく面白くて。
Cazqui:それは「PROVIDENCE」からのミクスチャーな流れで。「PROVIDENCE」はエレクトリック・ピアノでしたけど。ラウド・ミュージックって、やっぱり"ラウド・ミュージック"っていう意識で聴くと思うんですよ。"これは普通の音楽ではない"という感覚で。だからこそ、喫茶店でかかってるようなオシャレなBGMを聴いてるような感覚になれたら面白いんじゃないかと(笑)。必要以上に区分せず、"音楽"として楽しんでもらいたいのは常にあります。なのに終始、とんでもない極低音が鳴ってるっていう矛盾(笑)。
-「NG+」は、リズムの感じとか、全体的な雰囲気から「PROVIDENCE」があったから生まれた曲なのかな、と感じましたが、ご自身ではどのように感じられますか?
Cazqui:そうですね。「PROVIDENCE」はすごく実験的で、今聴いても面白いとは思うんですけど、「NG+」でやっと実用段階に入ったかなと。
-そのサックスのノリに引っ張られてタム回しや各パートのリズムがシャレた感じに寄っていってるようで、それも聴いてて楽しいなと思ったんですが。
Natsu:特別、オシャレなドラムをイメージしたわけではなくて、ところどころギターの部分やサックスの音でオシャレさは出てるので、どちらかというと、叩いてるときに意識したのはバンド・サウンドのグルーヴというか。後ろノリなんだけど、1発1発にパンチがあるというか、ちゃんとスネアが入る2拍と4拍のところでしっかり飛んで跳ねて。
-ちなみに、各パートを作っていく中で、最初からサックスありきでこうなったんですか?
Cazqui:それは最初からありますね。サックス・パートとギター・リフは同時に作ってます。
-あとから入れ込んだ感じは全然ないですよね。
Cazqui:初めから隙間を空けておかないと入る余地がないんで。チューニングを下げて音像をディープにしたのは、それによってできた上の隙間に管楽器の音を入れるためでもあります。その真逆となるのが「EXCEED」(Track.3)なんですね。これはホントにもうバンド・サウンド主体で、これ以上何もつける必要がない感じです。やっぱりバンド・サウンド以外の要素は、初めからそれありきで考えないと、なんだかとってつけた感じになってしまいますから。
-その一方でTrack.2「Malice against」はストレートなメタル、スラッシュ・メタル~デスコア的なパートから、超ヘヴィなノクブラらしいパートまで、エクストリームな方向性をしっかり突き詰めていますね。
Cazqui:ヴォーカル・ワークなんて特にそうですよね。
尋:Aメロからサビにいくまでの展開にデスコア、ハードコア、メタルっていう様々なヴォーカル要素を詰め込みました。ただ単に流して聴くとわからないかもしれないですけど、それぞれ実はまったく色の違うジャンルの技法を融合させているんです。他の曲にも古き良きミクスチャーに属したラップを取り入れてみたり、贅沢に惜しげもなく自分が影響されてきたルーツを散りばめてます。単純に歌ってるわけではなくて、ラウド・ミュージックの新旧を問わずあらゆる年代の人が特定の部分で聴き覚えのあるパーツが存在するように工夫しました。