INTERVIEW
NOCTURNAL BLOODLUST
2014.12.25UPDATE
2015年01月号掲載
Member:尋(Vo) Masa(Ba) Cazqui(7-strings) Natsu(Dr) Daichi(Gt)
Interviewer:米沢 彰
-『THE OMNIGOD』を拝聴しましたが、WHITECHAPELやSUICIDE SILENCEといった海外のデスコア・シーンを作ってきたオリジネーターたちにも引けをとらない音楽性だと感じました。海外のバンドからの影響はありますか?あるいは制作にあたって意識したポイントや意図していたことはありますか?
Cazqui:ギター・リフに関しては近年のDjentだったり、ポスト・ハードコアなどのとげとげしいサウンド・プロダクションにしてるんですけど、基本的な作りは自分らの基盤になっているメタルコア/デスコアやメロディック・デス・メタルですね。そこを基調にしつつ、囚われすぎずに作っています。
Natsu:ドラムに関しては楽曲によりけりのところがあるので、刻みが多い曲であれば、足数、手数が特に増えますし、メロディ重視になればヴォーカルを立ててあえて音を減らして。僕のルーツになっているのもニューメタルと呼ばれるSLIPKNOTとかKORNが全盛期のときなので、意識してなくても、ところどころエクストリームな要素は勝手に出てくるのかもしれないですね。
Masa:僕ら自身、中学生時代からこういう音楽を聴いてました。それと同時にヴィジュアル系も当然聴いてて。やっぱりやるからには、外タレに引けをとらない位のサウンドを作りたくて、それに対抗できるくらいのクオリティにしたいなっていうのは常々思ってます。今作はよりサウンドを詰められたかなと思います。
Daichi:今作のリード曲の「GENESIS」とか、シングルで出した「DESPERATE」とかは当時からずっと変わっていないNOCTURNAL BLOODLUSTの芯が存在していると思います。ヴィジュアル面に関しても、音楽面に関しても、"変わってしまった"っていう表現をされやすいんですけど、当の僕たちは変わったっていう感覚を持ってなくて。ヴィジュアル面のメイクに関しても、バンドの雰囲気であったりライヴの雰囲気を保つための付加価値であって、表現の幅を広げるためのひとつのツールとして取り入れたものなんですよね。今作でも「T.Y.R.A.N.T」とか「I-V-III」みたいな今までにない曲をどんどん増やしているだけで、それは方向の転換とはちょっとベクトルが違うかなって。自分たちでも知らないような新しいものを作り上げていった結果、生まれたのがこのアルバムだと思っています。
Cazqui:ニューメタル以降のギター・サウンドに言えることだと思うんですけど、ギター・ソロを撤廃する流れが続いてきてて。日本って未だにHM/HRに焦点が当たる数少ない国だと思うんですよ。だからこそ、そこで生まれ育ったギタリストとして、ギター・ソロの部分は存分に取り入れたつもりです。ネオクラシカル・スタイルとか、ブルージーな感じを残したりですとか。僕的には最近のNOCTURNAL BLOODLUSTってちょっとシネマティック・メタルコアっていう表現が近いかなって思っていて。映画音楽だったり、劇伴なんかを彷彿とさせるような雰囲気やテイストが強いと思うので、そういうこととうまく調和をとっていって。今の音楽シーンのトレンドに対するアンチテーゼという部分もありますね。それは日本で育った僕ら、日本人ならではの僕たちなりのアプローチかなとは考えています。
尋:こういう音楽をやっている人はこういう音楽ばかりを聴いていると思われがちだと思うんですけど、自分のヴォーカルのルーツとしてはJ-POP、ヒップホップ、ミクスチャーも聴いてたし、もちろんデスコアもメタルコアも好きなんで。その好きなものを全部聴いて、それを全部プラスにして自分の武器を増やしていってるのが自分のスタイルなんですよね。誰かに寄せてというよりかは、あくまでも多彩な楽曲があるNOCTURNAL BLOODLUSTの中で、NOCTURNAL BLOODLUSTにしかできないような曲を1曲1曲ヴォーカル・スタイルに詰め込んでいってる感じですね。今までのいろんな体験や経験、感じたことが全部そこに詰まってるっていう感じです。ひとつにこだわらず、好きなものは好きだし、いい音楽だったらなんでもいいんです。何も聴かないよりかは、1回聴いてみて決めないといけないじゃないですか。新しいものには発見があるし。
-今作でのオリジナリティはストイックな音の追求をしつつ、キャッチーな部分はとことんキャッチーにする二面性だと感じます。この落差はかなり意図して作り出しているのでは? と感じましたが実際はいかがでしょうか?
Masa:もちろん意図的な部分もあるんですけど、さっきも言ったように自分らの好きなものを取り入れたので。単純に同じような曲調だと自分らも飽きちゃう。イベントなら5曲全部激しいので通せるけど、ワンマンだとそうはいかない。ずっと同じような曲だと俺が客でも飽きちゃうと思います。ひとつのステージを作り上げるための楽曲を考えてますし、流れも考えつつで、それ故のバリエーションの広さだと思いますね。あとはアルバムの限られた曲数の中で多彩な部分をどう出せるかですよね。そういうのを表現したいと思って盛り込みました。
-1曲の中でもかなり盛り込まれてますよね。
Cazqui:そうですね。ドラマ性はすごい意識しつつ、曲の展開の中にもちゃんとコンセプト通りの流れがあるようにはしています。