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LIVE REPORT

Dizzy Sunfist

2025.01.13 @恵比寿LIQUIDROOM

Writer : 吉羽 さおり Photographer:岩渕直人

昨年9月にキックオフした結成15周年ツアー[Dizzy Sunfist "15 YEARS OLD TOUR"]が2025年1月13日に東京 恵比寿LIQUIDROOMでファイナルを迎えた。各地ゲストを招いて対バン形式で回ってきたが、このファイナルはワンマンでのライヴとなった。ちなみにメイ子(Ba/Cho)にとっては、これが人生初のワンマン・ライヴだという。

1stミニ・アルバム『FIST BUMP』(2013年)収録の「Someday」、「New world」で勢い良くスタートを切るとあやぺた(Vo/Gt)は"ぶちかまして帰ろう!"、"15年の意地を見てってくれ"、あるいは"出会ってくれてありがとう"と叫びを上げ、間髪入れずに曲を連投していく。観客のシンガロングと熱気とがぐんぐんと上昇するなか、最初のブロックを締めくくったのは「Raise your fist,Raise your voice」。

この日は、15周年ツアーの集大成に相応しく、最初の作品からほぼクロニクル的に披露するステージとなった。さらに久しぶりのワンマンで、いつも以上にたっぷりと各作品の曲が並んだセットリストとなっており、曲ごとに観客の歓喜の濃度が上がっていくのが分かる。その幸福感を全身で受け取って演奏のガソリンに変えていくあやぺた、メイ子、moAi(Dr/Cho)のプレイやステージングも強力だ。moAiのカウントから一気に興奮の針を振り切っていく、ショート・チューン「119」でスタートした続くブロックは、2ndミニ・アルバム『SUPER DELICIOUS』(2014年)から。ライヴでの鉄板曲「SULLEY」や、バンドの機材車のことを歌った「Red Box」、メイ子のヴォーカルでスタートする「NEVERLAND」へと続く。

メロディの鮮やかさをブーストさせるスピーディなアンサンブルが冴え、あやぺたの定番"あげー"のフレーズがフロアからも上がる。ワンマン・ライヴというホーム中のホームで嬉しさを爆発させるあやぺたは、カミカミのMCで、メイ子に"ツッコミしんどいわ。みんなツッコんでな(笑)"と言われながらも、"生きているといろんなことがあるけど、今日は音楽で満たされてパンパンに膨らんで、帰りにドアから出られないくらいギブするので"(あやぺた)と盛り上げる。

続くブロックは2016年の1stフル・アルバム『Dizzy Beats』。ブライトなハーモニーを聴かせる「We Can!!」から「The Magic Word」へとなだれ込み、観客にポジティヴなエネルギーを注ぎ込む。アクションを起こしたり気持ちを切り替えたりする、そのもととなるような"心動かす何か"を形にしていくDizzy Sunfistのパンク・ロック。15年という時間でメンバーが替わったり、スキルの向上や表現の幅は広がっているけれど、原初的なパワーと言うべきものは1ミリも変わらず、それどころかますます強固になっているように思う。そのサウンド、聴き手の想いを全肯定する力は、年々増している。

この日のMCであやぺたは、高校時代にDizzy Sunfistを結成し、弁護士になろうと大学で学んでいたがパンク・ロックと出会って、そこから15年こうしてバンド、音楽をまっすぐに続けてきたことを語った。過去にはライヴハウスの店長に、女の子は結婚したり子供ができたりで、すぐにバンドをやめちゃうと言われたこともあったという。今や結婚し母となったあやぺたは、当時いろんなことを言われてきたことに"ざまーみろって思ってやってる"とも話した。ライヴの始めに15年の意地を見せると言ったが、Dizzy Sunfistが掲げる"夢は死なへん"という言葉が、偽りのないステートメントであることを、身をもって示し続けている15年でもある。放つ想いの濃さと重みは、一歩一歩の活動の重みだ。

後半は2018年の2ndフル・アルバム『DREAMS NEVER END』から、メジャーでの1stフル・アルバムとなった『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』(2021年)、ミニ・アルバム『PUNK ROCK PRINCESS』(2023年)の曲を中心にしたセットリストとなった。バンドが10周年を迎えたがコロナ禍に突入し、そのほかメジャー進出やあやぺたの出産、メンバー いやま(Ba/Vo)の卒業、そしてメイ子が加入とバンドの歴史の上では激動の時間となったが、そのなかで音楽的にはよりタフになった。ヘヴィなリフやビートによる「Dinosaur」や「Life Is A Suspense」でフロアをかき回し、"うちらがみんなのパンク・ロック・プリンセスになってやる"(あやぺた)と高らかに「Punk Rock Princess」を歌い、今一度バンドのメッセージ「The Dream Is Not Dead」を叩き込んでいく。moAiはMCで、"この中で10周年のワンマン("Dizzy Sunfist 10th Anniversary One Man Live 『One-Man,BARI,Ya-Man』")にも来てくれた人いる?"と問うと、フロアから勢い良く手が上がる。

そこからの5年でいろんなことがあったと振り返りながら、moAiは改めて"みんなと一緒に歳を取ってきたんだなと思う"と語った。そうした、共に歩んできた人たちの想いをも背負ったタフさがあるのが、この5年での曲だろう。そしてラストは、ハンドクラップが晴れやかな「Tonight,Tonight,Tonight」から、この1日とバンドの15年を祝福するように「So Beautiful」で大合唱を巻き起こして、ツアーを締めくくった。 2度のアンコールに応え、何度もバンドに出会ってくれた感謝を伝えたDizzy Sunfist。1月23日には、大阪 新神楽で[Dizzy Sunfist"15 YEARS OLD TOUR"EXTRA SHOW!!]も開催した。


[Setlist]
1. Someday
2. New world
3. Faultfinder
4. REGRET
5. Raise your fist,Raise your voice
6. 119
7. SUPERHERO
8. SULLEY
9. Red Box
10. NEVERLAND
11. We Can!!
12. The Magic Word
13. Genius
14. To True
15. Can You Tell Me?
16. Your Choice
17. STRONGER
18. Dinosaur
19. Life Is A Suspense
20. Bless You Too
21. Brand New Page
22. My Rainbow
23. Hey! Stay by my side!
24. Punk Rock Princess
25. そばにいてよ
26. The Dream Is Not Dead
27. Tonight,Tonight,Tonight
28. So Beautiful
En1. Andy
En2. No Answer
En3. SHOOTING STAR
En4. START A
W En. FIST BUMP

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