LIVE REPORT
SHIMA
2019.10.26 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 荒金 良介 Photo by Akira"TERU"Sugihara
北九州発 SHIMAの2ndアルバム『BLAST』は、HEY-SMITHの猪狩秀平(Gt/Vo)プロデュースにより、バンドが本来持ち合わせていたメタルやハードコアの硬質さ、骨太感を前面に押し出した傑作だった。そのレコ発ツアー・ファイナル・シリーズ3デイズ初日は渋谷CLUB QUATTROで開催され、対バンは同じ九州勢である長崎発のSHANKが務めた。
不動の3ピース SHANKは、今年結成15周年。冒頭曲「Set the fire」から勢いよく攻め立てると、クラウド・サーフする観客たちで一気に盛り上がる。"1年の中で今日だけは渋谷に来たくなかった(※ライヴが行われたのはハロウィンの時期)。でも、SHIMAのお祝いに来ました!"と庵原将平(Vo/Ba)はMCで笑わせつつ、スカを織り交ぜた曲調など緩急の効いた音色でフロアを揺さぶり続ける。後半にはStevie Wonderのカバー「Isn't She Lovely」も披露し、ポップな側面もアピール。その後も「Movie」などチョッ速ナンバーを織り込み、盤石のメロディックを叩きつけてくれた。
そして19時36分、SEが流れると、SHIMAのEGACCHO(Vo)、YUSUKE HIKIDA(Gt/Vo)、SHINYA SYODA(Ba/Vo)、明生(Dr/Cho)のメンバー4人が登場。ヘヴィなリフ、荒ぶるシャウトが場内に轟くと、「LINDAMAN」で本編スタート。いきなり観る者の胸ぐらを掴み、心の芯に火をつける豪快な音像がたまらない。「TRILOGY」に入ると、フロアはモンキー・ダンスをする観客で溢れ、キャッチーなメロディも相まってFUNな空気一色に染められていた。その明るい流れを汲んで「BE MY FRIEND」に繋げ、後半はツーバス連打の猛攻撃ぶりに激しいサークル・モッシュが勃発。"声出せ、渋谷!"とSHINYAが煽ると、次は「BEER & DOG」に突入。軽快なリズムを用いた曲調により、スカ・ダンスを誘発して場を盛り上げていた。
"オレたちヤベぇよな?"とEGACCHOはMCを挟み、ここからさらにエンジン全開で突っ走る。続く「DOGGYMAN」ではウォール・オブ・デスの光景が見られるなど、ますます音の凶暴性に拍車がかかっていく。HELMETのごとき硬質リフで迫る「NO PUNCH,NO LIFE!!」、SLAYERとPANTERAが手を結んだようなエッジ際立つグルーヴが冴えわたる「MUSIC」と容赦なき攻撃力でフロアを焚きつけていった。
そして、EGACCHOが珍しくマイク・スタンドを使って披露したのは「KOMATSU NAMI」。そう、振付と共に小松菜に対する愛をポップに歌い上げ、ショーにいいフックをもたらしていた。後半に向けて「FUSUMA」、「USUAL THINGS」と鉄板曲を畳み掛け、モッシュやヘドバンに興じる観客が続出。ここでEGACCHOはミスチル(Mr.Children)、長渕 剛、ゆずから音楽を聴き始めたものの、普通の歌詞を書けずに自問自答した時期があったことを告白。だが、周囲から"それがEGACCHOらしい!"と言われて、自信を持ったようだ。
"九州の2バンドでこんな景色が作れるぜ、自分らしくいきましょう!"と言い放ったあと、「すすれ-Re麺ber-」をプレイ。言葉のチョイスやテンポ感、起伏の激しい曲展開を含めて文句なしのかっこ良さ。シンガロングと笑顔で満たされた場内は最高潮の盛り上がりを記録した。アンコール1曲を含む全18曲で走り抜けたSHIMA。彼らのライヴは今ツアーで格段に磨き抜かれ、従来のポップ・センスに加え、腕っ節の強さを存分に見せつける破壊力がグンと増していた。気は早いかもしれないが、次回の音源が楽しみになってきたのは言うまでもない。またSHIMA節炸裂の独創的な楽曲を生み出してくれるに違いない。期待してます!
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