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LIVE REPORT

極悪祭 2017

2017.07.23 @CLUB CITTA'川崎

Writer 荒金 良介

今年デビュー30周年を迎えるOUTRAGEが"極悪祭 2017"を開催。イベント名はMOTORHEADの名盤『No Sleep 'til Hammersmith(邦題:極悪ライヴ)』から引用したと思われるが、そのネーミングを裏切らない興奮、驚嘆、波乱含みの内容となり、まさにCLUB CITTA'川崎は"極悪"なエネルギーにすっぽりと包まれた。 13時50分、橋本直樹(Vo)、阿部洋介(Gt)、安井義博(Ba)、丹下眞也(Dr)の4人が登場。バンド内の空気が伝わる緩めの挨拶に会場もしばし和む。"誰が一番極悪なのか? そいつは俺の新居に招待する!"と丹下が冗談交じりに告げ、いよいよ本編スタート。

トップを飾ったのはCOCOBATだ。今回は現PULLING TEETH、COCOBAT創立メンバーの寿々喜(Vo/Gt)が全編で弾きまくるスペシャル編成で行われた。1曲目からなんとSABBRABELLSの「DEVIL'S RONDO」で幕開け。それから寿々喜が作曲した名曲「COCOBAT CRUNCH」など、初期曲縛りで畳み掛けてくる。COCOBAT結成時はTAKE-SHIT(Ba)の提案により、"スラッシュ・メタルとRED HOT CHILI PEPPERSを掛け合わせた音楽"を出発点に始まった。TAKE-SHITのバチバチのスラップ・ベース、そこに寿々喜のジャキジャキしたスラッシュ・リフを刻みつけ、原始衝動蘇る音像に心を奪われっぱなし。やはり、寿々喜のリフ・マスターっぷりは凄まじいのひと言。心底感動した。

2番手のCASBAHはDOOM、OUTRAGEと並び、ジャパニーズ・スラッシュ・メタル・シーンを牽引した最重要バンドのひとつ。00年に活動休止したが、2013年に完全復活を果たした。羽鳥恭充(Vo)は最初こそヘッドフォンを付けていたが、途中からハズし、野太い歌声で貫禄漲るパフォーマンスを展開。それをバックアップする演奏も安定感抜群だ。ラストは80年代の名曲「No More Slaughter」、「Russian Roulette」と立て続けにプレイ。わかりやすいキャッチーな曲調に観客も拳を上げ、会場も一気に盛り上がった。

3番手のDOOMはMCや煽りは皆無、ストイックな佇まいで音楽を雄弁に語り尽くしてくれた。「Why!?」で始まると、藤田タカシ(Vo/Gt)、古平(Ba)、PAZZ(Dr)の息が合った演奏に引き込まれてしまう。特に縦横無尽にフレット・ベースを操る古平のプレイには目を見張るばかり。技巧的且つプログレッシヴな演奏力で、ラスト曲「Still Can't The Dead」まで豪快に駆け抜けた。1曲が長いため、全4曲披露するに止まったものの、唯一無二のDOOMサウンドを叩きつけた。

4番手はNWOBHM(ニュー・ウェーヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)の代表格である英国発のANGEL WITCHの登場だ。それこそMETALLICA、OUTRAGEのルーツと言えるバンドである。これで三度目の来日となり、今回はKevin Heybourne(Gt/Vo)、Chris Fullard(Gt/Key)、Will Palmer(Ba)、Andrew Prestige(Dr)の4人編成。バンド名を冠した名盤1stアルバムを主軸にしたセットリストで、特に「Angel Of Death」や、キャッチーなラスト曲「Angel Witch」の際には大声でシンガロングする観客が続出。いやぁ、素晴らしかった。

そして、今日の主役・OUTRAGEがついにステージに立つ。「MEGALOMANIA」で火蓋を切ると、会場は異様な熱に包まれた。今年の"LOUD∞OUT FEST The Tour 2017"でも感じたが、橋本のヴォーカルは観るたびに迫力を帯びている。危なっかしい狂気を孕んだ、振り切れた歌唱力は復活後、過去最高と言えるテンションと断言していい。ただ、この日は阿部のエフェクターの調子が悪く、何度かギターの音色が出ない場面もあった。それさえも、"30年間のトラブルの集大成!"と笑いに変えるセンスはお見事。新旧織り交ぜたライヴ自体はアクシデントを軽く飲み込むほど、パワフル且つ脂が乗っていた。今のOUTRAGEは、メンバー4人の人間的グルーヴがガッチリと噛み合っている。

アンコールに入ると、IRON MAIDENの「Prowler」をPaul Di'Annoバンドにも参加していたUNITEDの大谷慎吾(Gt)を迎えて披露。強烈なツイン・ギターをバックに、橋本の歌は見事なハマりよう。続いてOUTRAGEが過去にカバーした「Slowly But Surely」を、本家FLOWER TRAVELLIN' BANDの石間秀機を交えてプレイ。ネックはシタール、ボディはギターというオリジナル楽器"シターラ"を弾く石間の存在感は別格すぎた。観客はもちろん、OUTRAGEのメンバーが誰よりも感動したのではないか。それからMETALLICAのカバー「Whiplash」を挟み、最終曲「MY FINAL DAY」で長丁場のイベントは終了。全編を終えて、丹下の新居に招待されるのは、"阿部のエフェクター"というオチもきっちり付けてくれた。

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