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INTERVIEW

OUTRAGE

2017.10.11UPDATE

2017年10月号掲載

OUTRAGE

Member:安井 義博(Ba)

Interviewer:荒金 良介

デビュー30周年を迎える名古屋の秘密兵器OUTRAGEのニュー・アルバム『Raging Out』がとにかくすごい。いきなりチャブ台をひっくり返すような、笑顔だった人が突然ブチ切れて大暴れしたような、衝動と衝撃だけを注入したアルバムを作り上げてくれた。今作のレコーディング期間は長かったようで、じっくり煮詰めることができたのかもしれないが、1曲1曲に封じ込められた音像の迫力は"これ、デビュー・アルバムですか?"と問いただしたくなるくらいの熱量に溢れ返っている。なお、初回限定盤のみに「Death Trap」、「Step on it」の生々しいスタジオ・ライヴ音源に加え、名バラードと言うに相応しい新曲「Mother (coming home)」も収録。安井義博の単独取材で、この"大傑作"が生まれた理由を訊いた。

-早速なんですが、今回はとんでもない作品ができましたね! 個人的に2017年のナンバーワン・アルバム確定です。

みなさん褒めてくれるんですけど、レコーディングをぎりぎりまでやっていたし、今回は期間も長かったし......今年の2月からやってたんですよ。それも毎日ではなく、都合を合わせてやった感じだから、知らないうちに作業が終わったような感覚で、まだ実感が湧かなくて。

-そうなんですね。今作の音源をいただいて、外を歩きながら聴いてたんですが、目の前の景色が歪んでしまうような、曲の中に身も心も没入する感覚に陥って、音源にぶっ飛ばされる感覚を久々に味わいました。

自分たちの作品がそう思ってもらえるということは、信じたことが間違ってなかったんだなと思いますね。ただ、そこには新鮮さも必要で、初めて聴いた音楽って、なんだこりゃ!? ってなるじゃないですか。インパクトがあるものって、えっ! てなるから、それを狙っていたし、自分がそういうものを聴きたかったからね。

-ええ、今作は出会い頭の衝撃が凄まじくて。

テーマとしては初期衝動を入れたいなと思っていたんです。OUTRAGEのオリジナル曲を作り始めた30年前は何も考えてなくて、これを聴けよ! これをやりたいんだ! って感じで作っていて。そういう意味で今回聴いた人が、想定外のものがきた! という印象を受けると思うんですよ。

-このタイミングで初期衝動に意識が向いたのは?

橋本直樹(Vo)脱退が約20年前、それから3人時代で全然違った音楽をやって、また4人で復活した(※2008年)けど、自分の中では4人で復活したときに、ちょっと外からバンドに関わろうかなと意識し始めたんだよね。

-OUTRAGEというバンドを俯瞰で見ようと?

少しそうしてみようかなと思ったんです。それからアルバム2枚(※2009年リリースの10thアルバム『OUTRAGE』と2013年リリースの11thアルバム『OUTRAGED』)を作って、10年近くやってきて、いろいろと見えてきたものがあって。今年は30周年ということで、また新たに進もうと思ったときに、これは初期衝動だなと。だから、前の2作はバンドを外から見ていたけど、今回はまたバンドの中に入ってみたという。

-俯瞰で見ていた時期を経て、自分のやりたいことが明確に見えてきた?

そうだね。30周年で、30年前の考え方に戻ることもあったし、30年経つと、いぶし銀になるバンドもいるだろうけど。野球で言えば剛速球ピッチャーが変化球で勝負みたいな感じじゃなく、ここでブチ切れた方が面白いなと思って。

-ははははは(笑)。

30周年を迎えたけど、これ20代の音? みたいな。ただ、第2章でも、焼き直しでもないからね。ハードコアやメタル・バンドでも落ち着く人たちが好きじゃなくて。ロック・バンドって、なんだかんだ初期の方がかっこいいし、ベテラン・バンドが新譜を出しても、ライヴではそこまで新曲をやらないでしょ? そういうふうになりたくなかった。

-なるほど。それで橋本さん復帰以降の2作品とは、まったく質感の違うアルバムが生まれたと。

俺に関しては何も深いことは考えてないんだけどね。年齢を重ねて、安定したくなかった。それだけですね。シンプルでアグレッシヴにしたい。それは最初からありましたね。あと、コンセプトのひとつに30年前にやっていたオールドスクール・スラッシュ・メタル的なシンプルなものがいいなと。当時のスラッシュ・メタルは、こないだ出たANGEL WITCH(※7月に開催されたOUTRAGE主催の"極悪祭 2017"に出演)もそうだけど、メイン・ストリームではなく、カウンター的なメタルで、メタルの要素にハードコア・パンクの要素を足してる。初期のスラッシュ・メタルはそういう雰囲気のものが多かったから。そういう空気も出したかった。

-なるほど。

ある意味成長してないじゃん! ってね。20歳の人がタイムスリップして、30年後にこの作品を作った感じというか。さっきシンプルでアグレッシヴと言ったけど、ちょっとマイナーなメタル+ハードコア・パンクと考えたときに、METALLICAの1stアルバム(『Kill 'Em All』)とか、SLAYERの1stアルバム(『Show No Mercy』)、初期のCORROSION OF CONFORMITY、あとはG.B.H.、DISCHARGEだったり、今もそのへんのメタルやハードコアが好きだし。個人的にはMASTODON、BARONESS、HIGH ON FIREとかも好きだけど、それはまたOUTRAGEとは違うし、やってもいいけど、狙った感じになっちゃうからね。