INTERVIEW
OUTRAGE
2023.03.15UPDATE
2023年03月号掲載
Member:丹下 眞也(Dr)
Interviewer:兵庫 慎司
デビュー35周年を記念し、オーケストラと共演したライヴ"35th Anniversary Special Live OUTRAGE & Outrageous Philharmonic Orchestra"を開催、そして彼らの伝記映画を作るために集められた俳優たちやスタッフたちの物語を描く映画"鋼音色(はがねいろ)の空の彼方へ"を公開したOUTRAGE。このふたつの企画をそれぞれ収めた映像作品が3月22日に同時リリースされるにあたり、その裏側を丹下眞也に語ってもらったほか、6年ぶりに開催され、出演が決定している"LOUD PARK"についてや、その後の活動への思いも訊いた。
-今回、2作の映像作品をリリースされますが。まず『PULSE→SIGNALS』、オーケストラとの共演でライヴ("35th Anniversary Special Live OUTRAGE & Outrageous Philharmonic Orchestra")をやろうというアイディアは、最初はどこから?
デビュー35周年というときに、何かスペシャルなことをやりたい、という話が出ますよね。何をやろうか、メンバーとスタッフで考えたんですけど、自分のアイディアとして"世界中の楽器とコラボレーションしたい"と言ったんですよ。アイルランドの楽器とか、中国の楽器とか、誰もやったことないような、15曲だったら世界15ヶ国の楽器と演奏してみたいと思ったんですけど。
-はぁー。面白いですね!
だけどそれは現実的には難しい、という話になって。そのときスタッフから、海外のメタル・バンドとオーケストラの共演はいっぱいあるけど、日本のメタル・バンドではなかなかないと思うからチャレンジしたらどうか、っていう提案があって。
-"何かスペシャルなことを"とおっしゃいましたけど、その映像をじっくり観ると"こんなにスペシャルなことだったのか"と。
そうなんですよ。相当大変でした(笑)。リハーサル自体は3日間とって、1日目はバンドだけで軽くリハをやって、2日目にオーケストラに入っていただいて、3日目に総まとめをして。それで本番の日にZepp Nagoyaに入って、サウンド・チェックをやって、っていう感じだったんですけど、2日目のリハのときに外で聴いていたスタッフの方が、ちょっと青ざめていて(笑)。ロック・バンドはロック・バンドのタイミングがあって、オーケストラはオーケストラのタイミングがあるので、そこを結びつけるのが最初の段階では合わなさすぎて。"これでほんとに大丈夫なの?"っていう感じだったんですね。特に指揮者の方が一番困ったと思うんですけども。基本的には指揮者の方が自分のドラムに合わせるという感じで、最初のリハのときになんとなくクセを掴んでもらって、その次の日にクセが合わせづらいところをピックアップして、そこを重点的に練習して。指揮者の方がドラムの音だけじゃなくて、動きをよく見てくれたというか。映像の中ではあまり映ってないんですけど、僕と指揮者の方でなるべくアイ・コンタクトをとりながら合わせていく、みたいな。
-本番のやり心地はいかがでした? 映像で観ると、自然にはまっていますが。
いやぁ、やっているときはドキドキものでしたね。特に自分は、オーケストラの音がダイレクトに聴こえてくるわけじゃないので。音をなんとなく背中に感じるような......特に弦楽器って、音がちょっと遅れてくるような感じがあるじゃないですか? フワーッて入ってくるような。合ってる、合ってないっていうのを確かめるっていうよりは、音に包まれているような感じでした。
-そしてもうひとつの映像作品、『映画『鋼音色(はがねいろ)の空の彼方へ』ディレクターズカット版』のほうなんですが。劇場公開当時の情報によると、そもそもは伊藤政則さんが言い出したそうで。
はい。年末にやっている"HEAVY METAL SOUNDHOUSE"っていうイベントのときだったと思うんですけど、伊藤さんが急に"おい、映画作るぞ"って言うんですよ。
-あ、相談じゃなくて、決定事項として。
そうです(笑)。"えっ?"ってなるじゃないですか。"どういうことですか?"って聞いたら、今のロック・バンドって音楽を作ってプロモーションをしてライヴをやるだけじゃなく、いろんな方向からバンドを知ってもらうということが必要だと思う、その中の選択肢として映画のは面白いんじゃない話だったんですね。それは納得できることだったんですけど、映画は前に1本ドキュメンタリー("シャイン・オン -トラベローグ・オブ・アウトレイジ-")を作ったので、次は違うものがいいだろう、と。バンドのストーリーなんだけど、膨らませて、ファン以外の人が観ても楽しめるような映画にしたらどうか、というアドバイスをいただいて。そこから始まった感じですね。
-伝記映画としてOUTRAGEのストーリーを描くんじゃなくて、OUTRAGEの伝記映画を作るために集められた俳優たちやスタッフたちの物語を描く、というもうひとつひねった内容になっていますが、あのアイディアはどのように生まれたんでしょうか。
脚本家の方が3パターン、脚本のラフを作ってきてくださって。伝記に近い脚本もありましたけど、より複雑なストーリーになっているものを選んだ、という感じですね。最初に脚本を読んだとき"これ、よくわかんないな"と思ったんですけど、でもそれが一番ピンときたんですよね。バンドのメンバーも、スタッフも、監督さんも満場一致で"これだよな"と決まって。それをさらに膨らませてあの脚本ができあがった、という流れですね。ドキュメンタリーだと、やっぱりあの1作目に勝るものはないと思うんですね。だったらもう派手にやっちゃってください、という感じですね。
-完成したものを観たときは、どんな感想を持たれました?
最初は、やっぱり自分たちのストーリーなので、客観的に観ることはできなかったんですけど。でも、自分は合計4回観たんですけど、だんだん客観的に観れるようになって。4回目のときはお客さん気分で"あぁ、こういう映画なんだな"という感じで楽しめたんですね。なんか不思議な感じでした。
-言い出しっぺの伊藤政則さんは、なんておっしゃってました?
やっぱり、自分の役の役者さんのことをいろいろ言ってましたね。"俺に似てるか? あれ"とか。
-そのまんまだったじゃないですか(笑)。爆笑しました。
ねぇ、そっくりだったと思うんですけど。電話しているシーンの口調とか、そのままというか。そこは監督が指導したみたいですね、"普段こういうふうに喋ってるし、こういう仕草だし、こういう立ち方をする"というのを、丁寧に。