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INTERVIEW

OUTRAGE

2017.02.09UPDATE

2017年02月号掲載

OUTRAGE

Member:丹下 眞也(Dr)

Interviewer:荒金 良介

バンドに歴史あり。名古屋を拠点に活動するOUTRAGEが、今年なんとデビュー30周年を迎える。それを祝した完全生産限定BOX『XXX BOX』の内容がとんでもない。まず2枚組仕様で30曲(新曲3曲あり!)が収録され、ほかにDVDには伊藤政則氏が語る"暴動の軌跡"に加え、未公開の秘蔵映像やライヴ・シーン、さらにはメンバーのインタビューを収録した60ページに及ぶパーフェクト・ブックなど、ファン垂涎の豪華な中身に仕上がっている。OUTRAGEの濃厚な歴史をひもとく貴重なBOXと言えるだろう。

-OUTRAGEは今年デビュー30周年を迎えますが、メンバー4人の中で丹下さんは一番見た目が変わってませんよね?

髪型が変わってないのは自分だけですからね(笑)。

-たしかに。そして、30周年を祝した完全生産限定BOXが出るわけですが、作業を行うなかで改めて気づいたことはありました?

音を聴いて思ったのは、時代によって表面的な変化はあるけど、もともと流れている本質は変わらないなと。持っているものは変えられないんだなと思いました。自分のドラム・スタイルも30年経っても何も変わらない。10代のころにイェーイ! という気持ちでやっていたエネルギーが、今も流れているんだなと。やってる側は無我夢中で、いろんな通過点があるけど、気づいたら30年経ってたという感覚なんですよね。

-やってる側はそうかもしれませんね。とはいえ、30年という区切りの中で全30曲(新曲3曲含む)を改めて通して聴くと、OUTRAGEというバンドの"起承転結"みたいなものがしっかり刻まれてて、感慨深かったです。

一歩引いて見ると、ここが転機だなと思うことはありますよ。例えば『THE FINAL DAY』(1991年リリースの4thアルバム)を作ったときに、海外のレコーディング・スタジオに行って、最初に音を出したら"何これ!?"という感覚があったし。えっ、ドイツに来ただけで、こんなに変わるのって。それは自分でも衝撃的でした。曲というより、カタマリになったサウンドを聴いて、"これだ!"という手応えを感じましたからね。『LIFE UNTIL DEAF』(1995年リリースの6thアルバム)のときもMichael Wagnerが作った音を聴いて、"何これ!?"と思いましたから。自分たちの想像を超えたものができた感触があった。目の前の扉がパッと開けたような感じはありましたね。対外的な評価もそうなのかなと。今聴いてもそう思いました。

-あぁ~、そうですか。

あのころは独特なエネルギーが流れていたなと。マネしようにもできないものが自然と湧き出ていたなと思います。

-『THE FINAL DAY』、『LIFE UNTIL DEAF』はOUTRAGEの大傑作と言える2枚ですからね。"DISC-1"の10曲目に「MY FINAL DAY」が収録されてますけど、頭から流れで聴くと、音の変貌ぶりが如実にわかります。橋本(直樹/Vo)さんの歌声もこのタイミングで大飛躍しているなと。

初めての海外レコーディングだし、(プロデューサーの)Stefan Kaufmannは憧れのドラマーで、憧れのバンド(元ACCEPT)にいた人だし、使わせてもらったスタジオ("Dark Studio")もSCORPIONSが使ってるような場所ですからね。自分たちにとっても贅沢なスタジオだったから、そのまま身を委ねたらいいんだなと。そうすると、過去のレコーディングと比べても、いい意味で肩の荷が下りて、100パーセント......いや、100パーセント以上向こうのスタッフを信じればいいと思えたんですよ。自分のドラムもそうだけど、橋本も力を抜いて歌えたんじゃないかな。

-それと、1stアルバム『BLACK CLOUDS』(1988年リリース)から4thアルバム『THE FINAL DAY』まで毎年1枚フル・アルバムを作り上げているんですよ。今考えると、このペースもすごいですよね。

当時の情熱もあるだろうし、そういうものだと思っていたというか。あと、人前に出るためには曲を作らなきゃという気持ちが強かったですからね。新曲がないと、ライヴもたくさんできないから。

-その4枚の作品を経たあとの5thアルバム『SPIT』(1993年リリース)は曲調やサウンドの質感を含めて、当時から異質の雰囲気がありました。それもまた30年という歴史の中で聴くと、いいフックになってるなと。

変わらないものが自分たちの中に流れているならば、服を着替えるような感覚で、その時代のものに興味を持つのは自然なことだと思うんですよ。メタル・バンドの血が流れているからこそ、できた冒険もありますからね。自分たちをがんじがらめにしなかったのも、続けられた要因かなと。

-今回は各作品から基本的に2、3曲収録してますけど、どういう基準で選んだんですか?

メンバーが投票する形で選んだんですよ。だから、この人はこの時代にこの曲が好きだったんだということがわかって、興味深かったです。例えば「CHINA DOLL」("DISC-2" Track.8/2004年リリースの9thアルバム『CAUSE FOR PAUSE』収録曲)は3人時代の曲ですけど、当時の心情が出ているのかなと。

-「CHINA DOLL」は今回の中で最も異彩を放ってますよね。OUTRAGEの骨と皮だけで作ったような曲調で、これは誰が選んだんですか?

阿部(洋介/Gt)、安井(義博/Ba)のふたりです。当時はいろんなことを取っ払ってやってもいいんじゃないの、という気持ちが強かったのかなと。