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INTERVIEW

OUTRAGE

2019.03.18UPDATE

2019年03月号掲載

OUTRAGE

Member:NAOKI(Vo) 阿部 洋介(Gt) 安井 義博(Ba) 丹下 眞也(Dr)

Interviewer:荒金 良介

70年代後半にイギリスで起きた"New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)"。IRON MAIDEN、DEF LEPPARD、SAXONなど数多くのバンドを輩出し、その後のヘヴィ・メタル・ムーヴメントに甚大な影響力をもたらした。そして名古屋の秘密兵器、OUTRAGEもこのムーヴメントに触発されたバンドのひとつであり、今回彼らはNWOBHM 40周年リスペクト企画として、アナログ7インチEP『Axe Crazy』を発表! JAGUAR、ANGEL WITCHという2大バンドのリスペクト・カバーからはOUTRAGEの並々ならぬ愛が滲み出ている。今回はメンバー4人に話を訊いた。

-今作はNWOBHM 40周年が大きなきっかけですか?

丹下:実際、自分たちがこのムーヴメントに関わっていたわけじゃないですけど(笑)、影響は受けてますからね。

安井:もともとこういうアイディアがあって、それが40周年というタイミングと重なったという。

NAOKI:NWOBHM 40周年を察知している人がいて、"ところでお前らはどっぷり浸かっていたんだから、どうだ?"と言われて。

-それは伊藤政則さんのことですね?

阿部:そうそう(笑)。

NAOKI:THE WHOとかブリティッシュ・ロックをカバーするアイディアもあったのかな。

安井:以前に出した『GENESIS I』(2015年リリースのアルバム)の第2弾的な流れから、こういう路線もありだなって。今回は80年代のDURAN DURANでも良かったんだけど、ルーツでもあるし、こっちでいこうと。

-みなさんが"NWOBHM"という言葉を知ったきっかけは?

丹下:日本では1979年にNWOBHMは紹介されていないと思うので、1980年とかそのへんだと思うんですけど、当時音楽誌は"MUSIC LIFE"と"音楽専科"しかなくて、確か"音楽専科"に記事が載ってた気がしますね。

阿部:"音楽専科"で伊藤さんが紹介してたんじゃないかな。"HEAVY METAL SOUNDHOUSE"の写真とかが載ってたりして。

-DJのNeal Kay主催のイベントですね。

丹下:そうそう。みんなが段ボールでギターを作ったりしてて、"なんじゃこりゃ!?"って(笑)。その前にもDEEP PURPLE、LED ZEPPELINは聴いてたけど、すごく新しいものに感じたんですよ。

阿部:最初に聴いたのは兄が買ってきたIRON MAIDENの1stアルバム(『Iron Maiden(邦題:鋼鉄の処女)』)じゃないかな。

丹下:IRON MAIDENのジャケは中学生の喜びそうな感じでしたからね。

NAOKI:ウルトラマン的なね。

丹下:うん。IRON MAIDEN、SAXONとか、日本で紹介される順番に、名古屋に輸入盤はほとんど入ってこなかったので日本盤で聴いてました。IRON MAIDENを最初に聴いたときはよくわからなくて。「Running Free」だけは曲に聴こえたけど、ほかは"なんじゃこりゃ!?"って思いました。曲の複雑さにビックリしましたね。DEEP PURPLEやLED ZEPPELINにはない場面展開だったから、Steve Harris(Ba)が作る曲はすごいなと。

安井:VAN HALEN、KISSとかを聴いてたんだけど、IRON MAIDENはインストがすごく長いし、荒々しいし......「Phantom Of The Opera」とかすごいなって。でも中学生の自分にとっては新鮮でインパクトがあったし、それからほかのバンドを聴くようになって、マイナーなものも掘り下げるようになったという。当時は流行ってましたからね。

丹下:VAN HALENやOzzy Osbourne、時代的なハード・ロック、メタルが盛り上がってましたね。

NAOKI:Paul Di'Anno(ex-IRON MAIDEN)の歌声には衝撃を受けたね。それまでは70年代のポップス、R&B、CARPENTERSとかを聴いてて、初めて吐き捨てるような声を聴いたというか"メロディないじゃん!"と思ったんです。"こんな下手な歌ってあるの?"って(笑)。でもメタルの歪んだギターと同じように、その歌声のパワーに心地よさを感じたんだと思う。

-当時、音楽の情報はどんなふうに収集してました?

丹下:輸入盤は新宿レコードのチラシを見るとかして、"こういうものが出てるのか"って。

安井:あと、ジャケ買いね。失敗したものもたくさんあるし、JAGUARの2ndアルバム(『This Time』)はポップだったけど(笑)、今聴くと全然受け入れられる。

丹下:『Power Games』のジャケもひどいですよね?

-イラストで描かれたチェスのアートワークですよね(笑)。

丹下:IRON MAIDENからスタートして、どんどん過激なものを求めるようになったんですよ。VENOM、RAVENとかにより惹かれるようになって。

安井:ハード・ロックにはないパンク的なものをNWOBHMに感じたから、それも惹かれた要因かもしれない。DEEP PURPLE、LED ZEPPELINはガキには難しすぎたから。特にLED ZEPPELINはね。

-パンク、ハードコアはいつごろから聴いてました?

丹下:中学のころにメタル・バンドとかパンク・バンドとか、学校に5つぐらいバンドがいて、同級生でパンクをやってる人もいたんで、パンクとかメタルとかあまり気にしてなかったんです。地元の名古屋Electric Lady Landというライヴハウスにも通っていたけど、パンク、メタル両方のバンドが出てましたね。

阿部:兄のレコードの棚にSEX PISTOLSのレコードもあったし。まぁ、あまり深く考えてなかったから。

安井:パンクとメタルはそう違わないと思うんだよね。改めて「Axe Crazy」を聴いたときにパンク・ロックだと思ったもんね。THE EXPLOITEDみたいだなと。

NAOKI:みんなマニアックな音楽を聴いてたもんね。人が知らないものを探してる感じだった。

安井:B級と言われるものにいいものがあったからね。JAGUARもそうだし、初期のRAVENとかね。

NAOKI:当時たんちゃん(丹下)の家に行くと、タンスの中にカセットテープがぎっしり入ってた。ちゃんとABCの順番になってて、知らないバンドばっかりで。

丹下:あのころは探すのが楽しかったんですよね。

-その時期がOUTRAGEの音楽を形成したわけですよね?

丹下:ほんとのルーツですね。演奏のもとになっているのはそこです。

NAOKI:俺から見ると、よっちゃん(安井)が一番過激なものを聴いてたかな。"これ音楽?"と思ったもんね。

安井:あぁ、VENOMとかね。音楽雑誌の評価も悪くて、周りの友達も"あれはねぇ......"という反応だったから、俺も好きとは言えなくて。

丹下:アーティスト写真を見たときも、"なんだこの人たちは!?"って(笑)。

-VENOMのアー写は怪しさ満載でしたよね。

安井:でもVENOMを聴いたときに、"これが俺の求めるヘヴィ・メタルだ!"と思って。

阿部:はははは(笑)。

安井:MOTORHEADだとかHAWKWINDの流れもあり、かっこいいけど、渋すぎちゃって。VENOMはもっとバカバカしかったから。

NAOKI:当時はOUTRAGEの車の中でVENOMとMOTORHEADがいつもかかってたもんね。

阿部:音の割れたラジカセだから、すごい音だった。

安井:最初の機材車を運転してるときにVENOMを歌っていたら、ぶつけちゃいましたからね。

阿部:はははは(笑)。

NAOKI:RAVENはコピーできないでしょ?

阿部:今聴くと、なおさらすげぇと思う。

安井:Cronos(Conrad "Cronos" Lant/VENOM)は先生じゃないけど、RAVENは自分のベースの先生でしたね。よくコピーした。

丹下:僕はTYGERS OF PAN TANGのBrian Dickが好きすぎて、今もドラムのフィルがほとんどないという(笑)。Ian Paice(DEEP PURPLE)、John Bonham(LED ZEPPELIN)とは全然違いますからね。フィルを入れなくてもかっこいいんだと思って練習しなかった。