INTERVIEW
OUTRAGE
2017.02.09UPDATE
2017年02月号掲載
Member:丹下 眞也(Dr)
Interviewer:荒金 良介
-ほかに意外だった選曲はありました?
「BLACK CLOUDS」("DISC-1"Track.5)は、阿部ひとりしか選んでなかったんですよ。まぁ、彼の中では思うことがあったんでしょうね。"なぜこれを入れないんだ?"とプッシュしてきたから。投票数は足りてないけど、そこまで思う人がいるなら、入れてもいいんじゃないって。阿部の中では起承転結のある長い曲を作ったという意味で、チャレンジしがいがあったのかなと。
-なるほど。
あと、今もライヴでやれる曲というか。ストレートにOUTRAGEの色が出ている曲を選んでいるのかなと。当時、本当に吸収してやってるわけじゃないから、時間が経つと、演奏するのが難しくなるんですよ。当時はできたとしても......時間が経つと、フィーリングを忘れちゃうから出なくなるんです。今回収録した曲は何も考えなくても、フィーリングが出るものばかりですね。
-自分の身体に沁み込んだ曲が残っていると。丹下さんの中で思い入れの強い曲は?
ミニ・アルバム(1987年リリースの『outrage』/通称"ペケレイジ")の曲から橋本が入って、あまり時間がない中で一生懸命作りましたからね。思い入れがあるというより、当時のバタバタ感が甦ってきます。でもそれをやり切ったから、今があるんだなと。
-「STEP ON IT」("DISC-1"Track.3/『outrage』収録曲)とか詰め込みまくってますけど、当時はどんな曲作りでした?
みんなでゴチャゴチャやってましたね。ここのパートは俺が持ってきたからとか言いながら、スタジオでもパートを足してました。で、2ndアルバム『BLIND TO REALITY』(1989年リリース)ぐらいからひとりが1曲を作る感じになったんですよ。
-個人的には『WHO WE ARE』(1997年リリースの7thアルバム)からの選曲が興味深くて。「LET MY ASS GO」("DISC-2"Track.4)、「WORLD SLOW DOWN」("DISC-2"Track.5)というチョイスは少し意外でした。
「WORLD SLOW DOWN」はたしか自分と橋本が選んだのかな。
-「BROKEN MAN」、「STUCK TOGETHER」、ライヴでもよくやる「WE SUCK」とか、ほかにも候補がある気がしたんですよ。
当時は何でもあり感を楽しんでいたところがあるんですよ。いいアルバムを作ったあとは、自分たちは広がる傾向があるんですよね。それはなぜかと言うと、自信が出てくるんですよ。バンドというより、メンバー個々でそういう気持ちが強くなるんです。俺、もっとこっちの方向に行っていいかな? みたいな感じになって。それがいい場合もあるし、収拾がついてない感じに受け取られたかもしれないけど、当時は当時でそれを楽しんでましたからね。
-言われてみると、そういう流れになってますね(笑)。バンドは音楽的に凝縮と拡散を繰り返して、成長し続ける側面がありますから。
そうなんですよ。それが自分たちの音楽的なキャパシティに繋がってますからね。
-大きな転機という意味では、橋本さんの脱退(1999年)~3人時代のOUTRAGE~橋本さん復活(2008年)という流れはハズせませんよね?
まぁ、そうですね。3人で十分にやり尽くした結果、次のところに行かなきゃいけないと思ったのかもしれない。それは橋本の人生の中でもそういう思いがあって、OUTRAGEから話が来て......やっぱり歌が好きだったという気持ちに気づいたのかなと。音楽的にも人生的にも変わり目だと思ったからこそ、橋本も"やりますよ"と言ってくれたんじゃないかと。
-丹下さんのOUTRAGEに対する見方が変わったところはありますか?
橋本が戻ってきたときに、何も変わってないなと。極端な言い方をすると、初めて一緒に音を出したときと、同じエネルギーを感じたんですよ。もちろんメンバー4人の人生はそれぞれ変わっているから、若いころと同じ活動の仕方ではうまくいかない。それは話し合うというより、顔や目を見て、察し合う感じですね。お互いの距離感を考えてやらないと、活動は続けられないから。