MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

GALNERYUS

2024.09.30UPDATE

2024年10月号掲載

GALNERYUS

Member:SYU(Gt)

Interviewer:村岡 俊介(DJムラオカ)

これまでやってこれた理由は、各メンバーをずっと信じてこれたから


-HEARTの「Alone」を選んだ理由ってなんですか? 結構ポップな曲ですけど。

あれすごい好きで、ちょうどカバー・アルバムの話をいただいた当時にすごくよく聴いてたし、歌い手の希望も定まってるし、ということで入れさせてもらいました。

-名曲ですよね。では今回も「THE REASON WE FIGHT」に女声のコーラスを入れたいってなったとき、思いついたのがAKANEさんだったと。

そうですね、AKANEさん一択でしたね。メタル界隈でとなったら特にAKANEさんかなと思いました。

-アルバム1発目でいきなりクライマックスを迎える感じの名曲ですね(笑)。

もうアルバムの最後なんじゃねぇのかってぐらいの感じで。

-そうですね、アルバム・ラストにあってもおかしくないかなと思いました。

そんないきなりのクライマックス感なんですが、冒頭に持ってきた理由としては、ガルネリの中では新しいメロディだったっていうのと、あとすごくキャッチーだったというところですね。

-このアルバムはコンセプト・アルバムではないですよね。ただ歌詞を気にせず、メロディとか曲調、楽曲の流れを聴いてるとコンセプト・アルバムなのかなと思うぐらい、アルバム一枚通して起承転結というか、壮大なストーリーを感じます。

コンセプト・アルバムではないけど、毎回それっぽい感じになってくれますね。デモが全曲できあがった時点で、プロデューサーと2人で話しながら並べていくわけですけど、その並べ方をいつもすごくこだわってるんです。アルバム全体を通して聴いたときに、例えばちょっとでも眠くなったりとか、飛ばしたいなと思う瞬間があったりするのは本当に嫌なんで、できるだけ自分の中でそれがない状態を作ってリリースしなければ、緩急がしっかりなければ、と考えてますね。なのでちょっとコンセプチュアルに聴こえるのかなと思います。

-ある意味SYUさんの身体に染み付いてるのなのかもしれないですね(笑)。

しっかりコンセプト・アルバムとして考えるなら、最初にアルバムのタイトルを付けちゃって、あとはこういう雰囲気、こういう感じの曲っていうように、仮タイトルでどういう曲調なのかを決めてから曲作りしますね。今回はアルバムの流れというより、こういった曲が欲しいっていうことを考えて。あと全体的にメロスピ多めじゃないですか。メロスピ曲を多めに書いていこうっていう感じで、ずらずらっと順番を考えて作ったんです。

-前作(『BETWEEN DREAD AND VALOR』)が若干少なかったですよね。

メロスピ系が1、2曲で。最後の「BRAVEHEARTS」が3連の曲だったりしたし。なので実質Track.2の「RUN TO THE EDGE」がメロスピ曲だったのかな。それでこの間は3連の曲で終わったから、ちょっとその反動が出たのかもしれないですね(笑)。

前作のインタビュー(※2023年3月号掲載)でSYUさんもおっしゃっていた、コロナ禍で声を出せないときがあったからこそ重厚なコーラス・パートやクワイアを入れたというのを、今作でも強く感じました。

おっしゃる通りです、本当にそうなんですよ。みんなで一緒に歌える区画をいっぱい作ったのはそれがあって。声を出せないときが続いていたなか、それでもライヴをしてましたが、お客さんは絶対にマスクをしてこないといけなかったり、必ず換気の時間があったり。あと喋ってはいけないとか、やれることが結構制限されても、なお来てくれるお客さんがいて。特に初期のほうなんて感染の危険性とか、命の危険っていうのもすごく伝えられてきてたんで、それでも来てくれるから感動してました。僕がお客さんの立場やったらたぶん行ってないんで。2021年のスペシャル・アルバム『UNION GIVES STRENGTH』のツアー(["FIND THE WAY TO OVERCOME" TOUR 2021])の最後に新宿BLAZEで2デイズやらせてもらって、それの1日目の終わりのときにもう"ほんまにありがとう"って込み上げてきてしまって。それで声が出せるようになったらいっぱい声を出す曲を作ろうってそのときにすごく強く思って、それが今回実現したかなと。だいたいの曲に(コーラスが)ありますよね(笑)。お客さんへの感謝と、煽る気持ちといいますか、"一緒にやろうぜ"みたいな、いろいろなすごくポジティヴな気持ちがそうさせましたね。

-コロナ禍があったからこそ作れたガルネリの新しい武器なのかもしれないですね。

以前からこういうコーラス・パートが充実してたり、ハモリを何声も重ねたりサビが重厚だったり、そういうのがすごい好きだったんですよね。RHAPSODYとかSTRATOVARIUSもすごい好きで聴いてきてて。「Emerald Sword」とか、20歳そこそこぐらいのときにハイエースの中で馬鹿かなっていうぐらいずっとかけてて。もうあれしか聴いてなかったですね。あの曲を作ったRHAPSODYは本当に天才でしかないなと。その衝動は未だに持ってるんで、あんな曲が作りたいというのはずっと思ってますね。

-なるほど。たしかにほぼ(全曲に)入ってますよね。

そうなんですよ。Track.3「LOST IN THE DARKNESS」も入ってるし、Track.4の7弦曲「FINALLY, IT COMES!」もあるし。

-今回SYUさん以外が作曲された曲はありますか?

ありますよ。5曲目の「IN WATER'S GAZE」と、あと7曲目の「CRYING FOR YOU」はキーボードのYUHKIが作ってます。あとは僕の作曲で、作詞に関してはOnoさんが今回結構多く書いてくれてますね。

-ちなみに歌詞ですが日本語詞メインのものと、あと英詞のものと双方が半々なものがバランス良くあるじゃないですか。そこら辺は"こういう曲調の場合は歌詞は日本語詞にしよう"等セオリーはありますか?

僕が作詞作曲してる曲が「THE REASON WE FIGHT」と「HEARTLESS」と「I BELIEVE」なんですけど、その3曲の歌詞に関しては全部自分が書きたいっていう気持ちがあって。サビが英語っていうのは、やっぱりメタルは輸入した音楽なので英語が似合うなって思うからそうしつつ、でも日本人だからできるだけ日本語で伝えたいという思いもあるので、メロディと相談して自分の中で判断がつけば英語にしてます。この手のジャンルはやっぱり、どっちかっていうと英語のほうがノリが良かったりするんですよね。あとは海外の人に聴いてもらいやすいっていうのもあるし、うちのベースのTAKAが帰国子女で発音がバッチリだから、そんななかでレコーディングができるので、どんどん英語でやってもいいのかなって思うんですけど、日本人というところも大事にしたくて、今のバランスになっています。

-たしかにガルネリさんって日本の方もたくさん聴きつつ、海外の方もたくさん聴いてるじゃないですか。なので英語詞も全然ありですよね。

台湾でライヴをしたときに、そこのイベンターの人にもどんどん英語で曲を書いてくれって言われたんですよね。"やっぱりそうか"とは思うんですが、ちょっと違いますけど、陰陽座さんってすごく"和"じゃないですか。それが世界で支持されてるのを、いつもすごい尊敬してて。独特な素晴らしい世界観を持ってますし、なおかつ曲が本当に素晴らしい。日本人でもあまり知らないような古い日本語をたくさん使ったり、歴史を紐解いてたり。そういうところがすごくかっこいいなって。ガルネリでそういうことをしたいわけではないんですが、日本人であることの誇り、強みみたいな、日本人にしか出せないわびさびっていうところは大事にしていきたいですね。

-ガルネリさんの楽曲も、陰陽座さん的な"This is JAPAN!!"ではないですけど、さっき出てきたイタリアのRHAPSODYやドイツのHELLOWEENともジャンルは近くてもやはり違いますよね。メロディに日本人の血が流れてるというか。

Onoさんが歌う日本語がめちゃ上手いじゃないですか。僕はそのOnoさんの日本語の歌が好きでCD買ってたような人間ですから、そういうOnoさんへの絶対的な信頼感もありますね。

-Onoさんの日本語詞が映えるから日本語詞を起用しているのもあると。他のヴォーカリストだったら違っていたかもしれないですね。

そうなんです。前のヴォーカルのYAMA-Bだったときって、日本語に挑戦してた曲もあったんですけど、レコーディングの現場で実際に聴いてみないと、どういう乗り方をするのか分からないっていうのがあったんです。でもOnoさんの場合は全くそんなことなくて、こうやって声を乗っけるだろうなと思ったら本当にその通りに乗っけてくれて、イメージ通りに曲作りを進められるっていうのはすごく強みだと今思いますね。

-匠の技ですよね。

はい。節回しというかフェイクの入れ方とか、ちょっとした音程の繋ぎ方とかがすごい上手いですね。Onoさんの歌の節回しをギターで真似たりとかします。それぐらいキャッチーなんで。

-Onoさんと言えば、それこそそういう卓越した技術が評価されて最近テレビにも結構出演されていますね。観ましたか?

映ってたら観ます(笑)。楽しんでやってますよね。

-Onoさんのキャラクターもすごく温和で柔らかい感じなので、テレビ受けも良いのではと思いました。

ハード・ロック/ヘヴィ・メタルのプレイヤーって基本的にかっこつけたいじゃないですか。でもOnoさんは絶対にかっこつけたくない人なんですよ。言い方はあれですが、そこを理解するのにすごく時間がかかりましたけど、僕は今それが逆にかっこいいと思いますね。"かっこつけたくない! 僕は絶対にかっこつけない!"っていう感じの人なんで、これは一周回って完全にキャラだと(笑)。本当にそこまで徹底してかっこつけない人も珍しくていいなぁって思います。あとOnoさんはすごく柔軟に話を聞いてくれる人なんで、レコーディングしてて新しい試みやアイディア等を相談すると"やってみましょう!"とすぐ言ってくれるんです。我が強いヴォーカリストだと"いや、俺はこうやって歌うんで"って言われて、そうせざるを得ないところがあったり、どこかしらのタイミングでぶつかることも多くなってしまうんでしょうけど、こうやって15年間続けてこれたのは、そういうOnoさんの性格もあるんじゃないかなと。あとはバンドの中で、5人全員ができるだけ平等に仲良く過ごしていけるように、ってことは常に考えて活動はしてます。

-そういった心掛けが、紆余曲折がありながらも20年バンドが続いてきた秘訣なのかもしれないですね。

インタビューでメンバーを悪く言ってしまうとか、そういうことはないように心掛けてやってきましたね。あと、これまでやってこれた理由は各メンバーをずっと信じてこれたからです。それが本当に大きかったのかなと。ちょっとでも信じられなかったり、尊敬できないメンバーは、これまでガルネリに在籍してくれたメンバーにはいなかったですね。絶対的に信頼を置いてやってました。

-なるほど。M3「LOST IN THE DARKNESS」は打って変わってストレートなスピード・メタルですね。

これはメロより先にリフが出てきて、リフから曲を書いていったような感じで。僕、北海道のSABER TIGERさんが好きでよく聴いてるんですけど、過去にも「METAL TRIGGER」(2012年リリースのシングル『HUNTING FOR YOUR DREAM』収録)という曲で、大いにSABER TIGERさんの影響を出してしまったこともあったんです。今回もSABER TIGERさんの影響があったり、あと海外で言うとHIBRIAとか、あそこら辺をちょっと意識したようなリフをまず作りたいなと思って、テクニカル且つ燃えることができるリフを作って、そこから曲が展開していったらどうなるだろうってワンコーラス考えて、といった感じで作っていった曲ですね。

-今までにあまりない感じの曲ですよね。

そうですね、あんまりしてこなかったです。どっちかっていうとキーボードがないバンド、ツイン・ギター・バンドの押せ押せなリフ曲だな、みたいな感じにはなりましたね。曲調的には僕が10代~20代前半とかで得たRACER Xとか、そのあたりの影響がちらちら出たりもしてますね。

-個人的にはRIOTの『Thundersteel』~『The Privilege Of Power』の頃のサウンドを思い出しました。

あぁ! でもRIOTは直接的な影響はないんですよ。どっちかというと最近のメタルの影響かなと。80~90年代でいうとRACER Xの『Street Lethal』とか、あそこら辺をよく聴いてて、リフ自体はちょっと違いますけど、そういう影響もありますね。

-ギターとキーボード・ソロの絡みも最高ですね。

ありがとうございます。演奏もできるだけ充実したいなと考えてるんで、気が付いたらいつもこんなことになってますね(笑)。

-最近の楽曲ってすぐサビに入って、さらにギター・ソロもないみたいな、そういう時代になってるじゃないですか。余計なものじゃないですけど、それを無駄としてカットして、TikTok向けというか。

もう贅肉だらけですからね(笑)。削ぎ落とすべきところがもしかしたらあるのかもしれないですけど。

-いやいや、その逆張りがいいと思います(笑)。さて、さっきおっしゃったYUHKIさん作曲の「IN WATER'S GAZE」。これもちょっと面白いテイストですね。

そうですね。これはもう"YUHKI全部入り"というような感じで、素晴らしい曲に仕上がったと思います。最初の笛の音から3拍子のスピード・メタルが続いていくっていう。『UNDER THE FORCE OF COURAGE』(2015年リリースの10thアルバム)収録の「SOUL OF THE FIELD」っていうYUHKI作曲の曲があるんですけど、それも3拍子で進んでいくんですが、YUHKIさんは3拍子が得意で。間奏の展開もYUHKI節炸裂といった感じで、泣きから入って、すごいリズミカルなブレイクになっていきつつ、超難解なツイン・リードになっていく構築美/様式美が炸裂しまくって、最後はギターの泣きで終わるっていう、超マックスラーメンすぎる曲で。この手の曲が好きな人は"100点!"みたいな曲だと思います。