－前半の小野さんのしっとり歌い上げるヴォーカルも今までにない感じですね。

小野：そうですね。ああいう感じだと、ああにしか歌えないっていう（笑）。 YUHKI：僕はすごくいいと思いますよ。

Syu：前半と後半にバラードが出てくるんですけど、前半はオクターブ下で歌って、最後はオクターブ上で歌ってもらって。

－エンディングは、小野さんの王道的ハイトーン・ヴォーカルですね。序盤のオクターブ下の雰囲気は今まであまり聴いた記憶がないんですが？

小野：ソロの方では、一時あんまり高い声出さないで、低いレンジの曲ばっかりのアルバムを作ってたんですけどね。

YUHKI：もうね、あの声を聴くと小野正利を知ったときを思い出しますよ。1992年あたりの。

Syu：ダンディ正利の（笑）。今回は、そういうソロっぽい感じのニュアンスも入れてるので、GALNERYUSの中ではたしかに新しいですね。小野さんはハイトーンばかり注目されるけど、低い声もすごく魅力的なので。

小野：最初は後半も出だしのレンジで歌えばいいんだろうと思ってて。でも予想してたんです。最終的には"オクターブ上で試してくれ"って言いそうだなって（笑）。

YUHKI：あの曲に関しては図ってますから（笑）！

Syu：一応限界地点は知ってますが、その限界いっぱいまで出していただいてますから（笑）。

YUHKI：GALNERYUSのメンバーは限界を出さないと、新しいものを作れないんで（笑）。毎回新しいチャレンジはありますよ。

－面白いですね、メンバー間の駆け引きというか（笑）。

Syu：それが結局みんなできちゃうからね。

YUHKI：それがいいですよね。普通だったら、やるまでの域に達さないですけど。みんなできるから、それがすごい。リハーサルやっても、絶対1～2回でできるし。致命的にダメで何回もスタジオ入ろうとか、そんなことは今まで1度もないですから。普通のバンドだと、"あぁ、今日はダメだ"っていうときもあるじゃないですか。GALNERYUSの場合、今日やっても仕方ないっていうのは絶対ないですからね。そのときに何か指摘をして、すぐ対応できるから。

－まさにプロフェッショナルな集団ですよね。

YUHKI：やっぱり、小野さんにしろ他のメンバーにしろ、できることの幅が広いのでそれを想定して作るんです（笑）。"これどうなんだろうな"って思うときもあるんですけど、結果的にできちゃうので自分含めみんなチャレンジしてますね。

－YUHKIさんの作る曲の方がSyuさんの曲より大変ですか？

小野：どちらもですね。僕の声や技術も把握したうえで、こういう感じかなって作ってくれていますね。Syu君のメロはSyu君らしさがあるし、YUHKIさんの方はやっぱりSっ気があって（笑）。

YUHKI：いじめようと思って作ってるわけじゃないです（笑）。小野さんならできると思って。明らかに無理なキーとかは作んないですし（笑）。昔は高い方で試してたんですけど（笑）、今回は低い方も、曲の雰囲気に合うように作りたかったので、それが目論見通りハマりましたね。

小野：そういう予感はしてたんですよ。これはどっちでもいけるように作ってるんだなって（笑）。

－アルバムの話に戻りますけど、Track.6「REWARD FOR BETRAYAL」はSyuさんの曲ですね。

Syu：ここはサブ主人公が、主人公を裏切るシーンを描いてます。

－雰囲気も不穏ですよね。

Syu：そうですね。ちょっと中東的な雰囲気も出しつつ、毛色を変えた感じで。ユニゾン・パートも多くて。ライヴでも演奏したんですけど、すごくやりやすいし、音がひとつの塊となって出てくるので気持ちいい曲ですね。そこから次のTrack.7「SOUL OF THE FIELD」ですよ。

－YUHKIさんの曲ですがこれも面白いですよね。Syuさんの作る楽曲は攻撃的でモダンなテイストですが、YUHKIさんの作る曲はSyuさんよりオーセンティックなメタルなんですけど、そこに加えるエッセンスが斬新ですね。お二方のソングライティングのバランスは非常に面白いですね。

YUHKI：僕は結構自然に作ってるんですけど、ヴォイシングとかハーモニーとかがSyuとは違う。やっぱりお互い違った曲ができるから面白いんですよね。

－作曲者見なくても、曲聴けばどちらかわかります（笑）。

YUHKI：いいメロを作って、ドラマチックな曲を作りたいっていう目標は一緒だと思うんですが、出てくるものは違うのが面白いよね。

Syu：YUHKIさんが受けてきた影響とか環境とかが、僕とは違う部分っていうのがすごく多くて。

YUHKI：まぁSyuとは年齢も10歳離れてますからね。

Syu：で、実際それぞれから出てくるものが同じベクトルを向いてはいるけどまったく違うものであるっていうのが、毎回すごく刺激的なんですよ。

YUHKI：僕は逆にSyuの曲がすごく新鮮で。初めてGALNERYUSの「UNITED FLAG」（1stアルバム『THE FLAG OF PUNISHMENT』収録）を聴いたときから、"こいつは新しい！"と思ってビックリしたくらいなんで。やっぱりどうしても僕は80年代がリアルタイムで、遡って70年代も聴いていたのでシブいオッサン的な要素が（笑）。