－今までリリースした9枚のフル・アルバム以上にバンドの一体感が重要だったということですか？

YUHKI：一丸となってましたね。一体感はすごくありました。個人的にはGALNERYUSで初めて作詞したので新鮮でしたね。

Syu：10作目にして初！

YUHKI：曲を書いてるとたまに歌詞になりそうな言葉が思いつくんですけど、たまたまその言葉が今回のストーリーに使える単語だったんで、"歌詞を書いてみます"と自分から志願したんですよ。TAKAさんも協力してくれて、うまくまとめ上げることができました。10枚目にして、そういうチャレンジもあったりして。

－なるほど。アルバムの流れの話になりますが、Track.1「PREMONITION」で期待やワクワク感を高めてくれるオーケストレーションとナレーションが、Track.2「THE TIME BEFORE DAWN」では壮大なインストゥルメンタルが、そしてTrack.3の「RAISE MY SWORD」でヴォーカル入りの楽曲が始まるという導入部は面白いなと思いました。

YUHKI：かなり映画的な感じになりましたね。今までのアルバムとは大きく違う点ですね。

Syu：Track.1の「PREMONITION」に関しては、ドラムのレコーディングをしているときに作った曲なんです。でき上がった段階ではナレーションが入ってなかったんですが、そこにナレーションを入れた瞬間が、アルバム制作中で1番興奮した瞬間かもしれないですね。今までの感じだと、冒頭にSEがあってメロスピがボン！と来て、みたいな展開だったんですけど、それにワン・クッション置くことによって、イントロダクションを際立たせて、大作感を出したいなと。

－QUEENSRYCHEの『Operation: Mindcrime』（1998年リリースの3rdアルバム）を髣髴とさせました。

Syu：そうですね！もちろんQUEENSRYCHEやDREAM THEATERは聴いてきてるし。少なからず影響は受けてますね。

－とはいえ、「RAISE MY SWORD」の導入部と『Operation: Mindcrime』の導入部とは全然違いますね。小野さんの咆哮とともに一気にスピード・アップする感じは、まさにGALNERYUSの神髄を見せつけてくれます。

YUHKI：それまで（Track.1、2）の溜めがありますからね。鳥肌立ちますよね。

Syu：クラブ・ミュージックで四つ打ちに入るまでに結構じらしてくるものも多いじゃないですか。あの感じに近いのかなと（笑）。

－コンセプト・アルバムって、コンセプトという点にあまりにも引きずられて、全体の雰囲気はかっこよく感じるんだけど、曲単位で聴くとフックがないアルバムっ多くないですか？

Syu：コンセプトが前提としてあるから、それをなんとかコンセプトに則った歌詞を歌わないといけないという制約に引きずられてるパターンですね。そこらへんは作るときに気をつけましたね。あくまで曲を優先という意識は高かったと思います。

－そして、「RAISE MY SWORD」からTrack.4「THE VOICE OF GRIEVOUS CRY」の流れはすごいですね！ 展開に痺れました。この2曲は対になっているように見えますが。

YUHKI：間髪入れず畳みかけるっていう。

Syu：これまでも何回かやってるんですよ、メロスピからメロスピへと畳みかけるやり方です。久しくやってなかったパターンではあるんですけど、今回はそれを採用しました。アルバムの中で聴いててもインパクトはすごく大きいものがありますよね。

－そこから一転して、ドラマティックでプログレッシヴなバラードであるTrack.5「RAIN OF TEARS」がきますね。YUHKIさんが作詞／作曲共にメインの曲ですが、非常にユニークな展開ですね。

YUHKI：まさに、Syuのリクエスト通り（笑）。ただ、自分の中でいろいろ出したいものがあったんで、結果的に1曲の中で組曲みたいにいくつかの展開でパート分けをして、サブ・タイトルをつけたんです。

Syu：そうですね。YUHKIさんの「RAIN OF TEARS」に関しては、サブ・タイトルありきの曲だと思いますね。泣きのサビがあって、バンド演奏の複雑な区画があって、完全に繋がってはいつつも、性格が分かれてるんですよね。途中聴いてると最初と違う曲に聴こえます。そういうところはすごいな、と。

－雨の音から始まるのも、ハッとさせられるものがありますし、面白いですね。

Syu：雨の音ね！ うちの庭で録ったんですけど、意外に良かったんです。ありものの効果音を使うと天ぷら揚げてるみたいに聴こえるんで（笑）。たまたま、いい感じの雨が降ってて、軒先に出て5分くらい録った雨音が素材としてあったんです。それがうまい具合にハマりました。地中海をイメージして聴いてみて欲しいですね、イタリアに降る雨的な。

－そしてデス・ヴォイスも出てきますが、これはSyuさんですか？

Syu：そうです。デス声は僕です。

－結構ガッツリ出てきますよね？

Syu：これ、実は小野さんなんですけどね。

小野：いやいや、できないですから（笑）。

YUHKI：結構昔から、個人的にSyuのデス・ヴォイスが好きで、何かうまい具合にハマるものがないかと目論んでたんですよ。それで、まさにうってつけな展開になったのでうまい具合にSyuにはめてもらいました。