COLUMN
TeddyLoid presents DANCE × ROCK CHRONICLE Vol.5
TeddyLoid 日高 央(THE STARBEMS)
インタビュアー:KAORU Photo by ゆうばひかり
TeddyLoidがラウドロック・アーティストのリミックスを手掛け、そのアーティストと対談を行う特別企画"TeddyLoid presents DANCE × ROCK CHRONICLE"。第5回はTHE STARBEMSの「Vanishing City」をリミックス! THE STARBEMSより日高 央(Vo)を迎え、ジャンルの垣根を越えたスペシャル対談も実現。リミックス楽曲は激ロックWEBサイトにて、12/10~12/17の期間で独占先行公開!
-"DANCE × ROCK CHRONICLE"第5弾対談、よろしくお願いします。まずは、TeddyLoidの最新作『SILENT PLANET』完成おめでとうございます。本当に素晴らしいアルバムで!
-振り幅もすごく広いですよね。ダンス・ミュージックとしても多彩な音が入っていますし、全曲豪華な面々とコラボレーションしていて。Teddyさんならではの人脈の広さですね。
TeddyLoid:ありがとうございます。
日高:意外な繋がりもありましたよね。GLAYのHISASHIさんとか。
TeddyLoid:HISASHIさんは、実はゲーム繋がりなんです。もともとはTwitterで知り合ったんですけど。"パンティ&ストッキングwithガーターベルト"というGAINAXのアニメのサントラを手掛けたんですが、それを当時からチェックしていただいていたみたいで。それをすごく気に入って自分のショーでもDJ で使ってくださっていたそうで、Twitter上で"初めまして"って、かっこいいメッセージをいただいたんです。僕、びっくりしてちょっと疑いました(笑)。"「HISASHI」ってあのHISASHIさん?"みたいな。それでアニメの話と、ゲームもすごく好きだという話になって盛り上がって。そういう繋がりもあってお願いしました。
日高:SNS時代ならではの繋がりですね。
TeddyLoid:そうですね。
-Track.5「Last Teddy Boy feat. HISASHI from GLAY」という曲ですね。HISASHIさんのブルージーなギターがかっこいいですよね。そしてこの曲では、日高さんが歌詞を提供されています。日高さんにお願いした理由は、"クールな英語で歌いたかったから"ということですが。
TeddyLoid:僕は今まで英語の歌詞を書いたことがなくて、どなたかにお願いしようとなったときに、THE STARBEMSの「FIGHTING FATE」と「JINGLE JANGLE SONG」(※2曲とも2015年9月1日に配信リリース)がフリー・ダウンロードされているのを聴いて、すげえかっけえ!と思って。同時に、英詞に対してきちんと和訳も書いてあったのでそれを読むと、日本語の意味もしっかりしてるし、英語的なフロウも曲にかっちりはまってて。これはぜひ日高さんに書いていただけないかなと思ってお願いしたという経緯ですね。「FIGHTING FATE」は特に、内容もサウンドも歌も最高だなと思いました。
日高:ありがとうございます。難しいんですよね、英語の歌詞で日本人の琴線に触れるっていうのは。外国人から見たら、何言ってんだっていうこともあり得るかもしれないですけど(笑)。でもBillboard系の音楽の対訳を見たら、なんじゃこりゃって思ったこともあるし。そのバランス感が難しいんですよ。俺の場合、和訳はある程度大袈裟にしちゃうというか、だいぶ日本語っぽい歌詞に寄せちゃう。そこはおじさんなんで、テクニックを要するんですけど(笑)。
TeddyLoid:なるほど。そこは逆に言うと響いた理由でもありますね。
日高:直訳しちゃうと、もうちょい簡素な感じになるところを盛って書くっていうのは、女の子が"つけまで盛る"みたいな感覚に近いかもしれないですね(笑)。
-なるほど、その気持ちはよくわかります(笑)。「Last Teddy Boy」はどのようなことをイメージして歌詞を書いたのですか?
日高:タイトルは"Last Teddy Boy"で決まっていて、"Teddy Boy"って、Teddy君がどういう意味合いでつけたのかということをその時点でわかっていなくて。今でもきちんと聞いたわけではないんですけど、俺の想像では50年代とかの、まだ全然文化が栄えていない時代、便利じゃないからこその良さを逆に便利になった今言いたいのかなと。なんとなく、苦しい状況にいるけど頑張って乗り越えたいみたいな内容にしようと思ってました。あとたぶん、Teddy君は変わり者なんで(笑)......変わり者が多いんですよね、DJメインの人って。俺らがガキのころって、楽器ができて初めてバンドができるっていうのが当たり前だったけど、今は逆に楽器もできないし自分が歌わないとか様々なスタイルの人がいるじゃないですか。その中で、Teddy君はどう見ても変わり者なんで(笑)。昔も今も音楽をやってる人は変わり者だってことは共通してるけど、いい意味での頑固者みたいな歌詞になったらいいなと思いました。ブレないぞってことを歌うというか。そこはTeddy君の狙いから外れてないかなと思ったんですけど。
TeddyLoid:そうですね、それは感じました。あと、外から見た自分と内面の本当の自分の両者が出ている歌詞だなと。
日高:自分では頑固だとは思ってなくて、ただ好きだからやっているだけなんだけど、周りから見たら偏屈だなというふうに見られちゃうのがミュージシャンの性というか。そういう状況もなんとなく滲ませてみました。
TeddyLoid:だからぴったりな歌詞だなと思いました。"Teddy Boy"っていうのは、日高さんがおっしゃる通り、50年代とかロカビリーに由来しているんですが、両親がロカビリー関連の仕事をしていることもあり、自分の中にロカビリーがルーツとしてあったんです。前作の『BLACK MOON RISING』(2014年リリース)で「Teddy Boy Strut」という曲があったんですけど、その続編として今回お願いしました。
日高:お父さんはTeddy君がDJになったっていうことにがっかりしてるんじゃないの?
TeddyLoid:実家に帰るたびに、"お前はいつロカビリーをやるんだ"って言われます(笑)。でも、"これが現代のロックンロールだよ"って説明してます(笑)。そういう意味でも、日高さんと一緒にやれたっていうことにはすごく大きな意味がありますね。日高さんがやっていらっしゃることにはスピリットがあるので。
日高:世代的にはたしかに、ロカビリーの最後っ屁を見てきた世代ではあるかも。もちろん今でも脈々とあるんですけど、80年代初頭にSTRAY CATSがドカーンときたのをリアルタイムで見れてるんで。日本でもチェッカーズとかはそういう流れを汲んで出てきたんですよね。そのあとSALLYとかCADILLACとかのロカビリー・バンドも出てきて、普通にテレビにも出ていたし。かっこ良かったですよ。みんなアメ車乗って、リーゼントにして。
TeddyLoid:MAGICとかもですよね。
日高:そうそう。MAGICも。
TeddyLoid:親父がMAGICと仲良くて。僕はエレクトーンをやっていたんですが、小さいころに親父に言われてセッションしたことがあります。
日高:ええ! すげえ!!
TeddyLoid:ちょっと間違うと親父に蹴られるんですよ(笑)。