COLUMN
TeddyLoid presents DANCE × ROCK CHRONICLE Vol.5
-KNIFE PARTYはいつもザワザワさせますよね。
TeddyLoid:Track.1(「Plur Police」)に"EDM Fuck Blow"っていう声が入ってるのに超EDMで(笑)。Track.2(「Parliament Funk」)は2008年くらいのエレクトロ・ハウスみたいな曲なんですけど、それをひとつのEPにまとめるっていう、ユーモアに溢れてる感じが面白いですね。
-ここらへんの大御所のアーティストって、いつも自分に疑問を持っているというか。ジレンマがあるというか。SKRILLEXの『Recess』(2014年リリースの1stアルバム)にしても、全然ダブステップの曲がなかったりとか。SKRILLEXとDIPLOがやってるJACK Üにしてもそうですし。
TeddyLoid:そうですよね。僕も常にそうありたいと思います。JACK Üにも感銘を受けましたね。 日高:SKRILLEXってもともとバンドマンだもんね。結構地味な感じの。
-そうですね。FROM FIRST TO LASTの。彼が歌っている曲は突出していいわけではないという印象ですが(笑)。
日高:バンド名がもうダサいもんね(笑)。辞めて正解だったのかもね(笑)。
-最後に、日高さんからTeddyさんに聞いてみたいことはありますか?
日高:Teddy君のお父さんはロカビリー関係の仕事をしてるって言ってたけど、どんな感じの人なの?
TeddyLoid:もう首からつま先までタトゥーが入ってる人で(笑)。僕が幼稚園のときには、もう針が腕に刺さりそうになりました(笑)。
日高:へえ! 会ってみたいなぁ。めちゃくちゃ怖そう(笑)。
-親が不良だと、子供は苦労しますよね(笑)。
TeddyLoid:そうですね(笑)。
日高:逆に更正するんだよね(笑)。お父さんからしたら、タトゥーをガンガン入れて欲しいんだろうね。
-Teddyさんから日高さんに聞いてみたいことは?
TeddyLoid:日高さん世代の人が使ってるツールとか、どういうふうに作曲してるのかっていうことに興味があります。
日高:俺は普通に"Logic"(音楽制作ソフト)ですよ。
TeddyLoid:じゃあコンピューター・ベースで。
日高:使い始めたのはここ4~5年くらいですね。でも俺ら世代って、結構手で叩いてるんだよね。例えばthe band apartっていうバンドはベースの原(昌和)って奴が主に曲を作るんですけど、ドラム・マシーンを手で叩いて1回ラフに落とし込むっていう、すごくめんどくさいことしてるんですよ(笑)。"いいじゃん入力すれば"って思うんだけど、手で叩かないとグルーヴが出ないって言ってて。でもグルーヴが出なくても、ライヴでやるわけじゃないからいいじゃんて思うんだけど(笑)。やっぱりこれでないとって人が多い。30代中盤くらいからの人は、鍵盤を手で弾きたい感じの人ばっかりかも。あんまりデジタルを信用してないというか。俺もたまにクオンタイズ(※演奏データのタイミングのバラつきを補正する効果のこと)しちゃうと不安でしょうがないんだよね。あれ、本当に気持ちいいのかなって。自分の中で不自然に感じちゃって。
TeddyLoid:なるほど、あまりにもデジタル的になっちゃうと不自然さが出てしまうと。今の人って全部ステップ入力なんですよね。
日高:そうだよね。楽器が弾けないからこそのステップ入力なんだろうね。かと思うと、俺らより上のYMO世代だと、機材的にステップ入力しかできないから、それでコツコツとテクノを作ってたのかと思うと、逆にそれもすごいと思う。そういう意味では、なんとなく繰り返していくのかなと思う。
TeddyLoid:うんうん。やっぱり僕もリアルタイムでやった方がいいんで、そこは共通点ですね。
日高:ロックっぽいテイストとしてはその方がいいよね。ステップ入力はあまり信用できないです。
TeddyLoid:絶対にMIDI入力じゃ出せないものがあるんですよね。
日高:tofubeatsには悪いけど(笑)。
TeddyLoid:今回トーフ君は、『SILENT PLANET』で近田春夫さんとラップ・バトル(※Track.9「VIBRASKOOL」)をしてるんですよ。曲には一切関係してなくて、完全にラッパーとして参加してるので、ぜひ聴いてみてください。
-すっごく聴き応えありますよね。1番インパクトがありました。
日高:彼のラップは素でいいよね。力んでないっていうか、ステージの上と下がちゃんと一緒の人っていうか。AIR JAM界隈の人もそういう人が多かったなぁ。Hi-STANDARDもそうだし、あとは亡くなっちゃったけど、bloodthirsty butchersの吉村(秀樹)さんはステージの上でも暴れん坊だし、降りても暴れん坊だし(笑)、すごく良くしてくれた人なんですけどね。ちゃんと音に自分が出てるから、DJ世代でもその感覚は大事かもね。なかなか正体がわかりにくいジャンルだからこそ、オン/オフをつけないというか。
TeddyLoid:なるほど。
-『SILENT PLANET』は、本当に秀逸なEDMアルバムなので、ぜひJ-POPのフィールドでチャート上位に入って欲しいです。ご自身ではそういうことも意識していたのでしょうか?
TeddyLoid:そうですね。コアなものをもっとメジャーに押し上げたいというか。いろんな人に聴いてもらいたかったので。
日高:インディーなつもりでやったりしてないもんね。別にアイドルだろうと、アンダーグラウンドだろうと、全然いいっていう。
TeddyLoid:そういう意識だから、今回日高さんと一緒にやったときにバチっとはまったんだなと感じています。
日高:HISASHI君とかも面識はないけど、そういう人っぽいよね。
TeddyLoid:そうですね。すごくフレキシブルな人で。
日高:BiS大好きってつぶやいてたし。俺もBiSに曲を提供していたんで、BiSのメンバーもファンも、みんな"HISASHIさんと日高さんに感謝してます。広めてくれてありがとうございます"って言ってくれて。見てる人はすごいアンテナ張ってるよね。ぜひ読者のみなさんも、いろんなものを聴いて欲しいですね。
-『SILENT PLANET』と、この「Vanishing City」のリミックスを一緒に聴いて欲しいですね。
TeddyLoid:そうですね。繋がりも感じられると思います。
日高:DJでかけまくりますんで、激ロックに呼んでください(笑)。
TeddyLoid:次、激ロックに呼んでいただけたら、ライヴ形式でご一緒したいですね!
EDMシーンで活躍するTeddyLoidがラウドロック・アーティストのリミックスを手掛け、異ジャンルの音楽談義に花を咲かせた当コラムも今回でひと区切り。リミックスで披露されたTeddyLoidのラウドな側面は、新作『SILENT PLANET』に投影されているので、ぜひチェックして欲しい。