THE VERVEの奇跡の再結成ライブに酔いしれたMARINE STAGE。昼間の灼熱地獄とはガラリとその表情を変え、爽やかな風の似合うそのステージの大トリを飾るのは、ロック、テクノ、ヒップホップ、そのすべてを飲み込んだブレイク・ビーツの雄、THE PRODIGYである。時間の経過とともに、ステージ付近、そして、スタンド席も徐々に人で埋め尽くされていく。筆者は都合によりスタンドから見守ることになったのだが、スタンドにもこれから始まるステージへの興奮を抑えきれずスタンディングしている人もちらほらいた。

午後８時５分　静寂と程よい暗闇に包まれていたMARINE STAGEに突如、警告音が鳴り響く。「Intro」に合わせて生じる手拍子に迎えられ、THE PRODIGYの頭脳であるリアム、そしてキース、マキシムにスポットライトが当てられる。「トウキョウー!!」とのスクリーミングにフロアも応酬!!攻撃的でヘヴィ-なギターリフに絡むキース・マキシムの二人から繰り出される煽り、体の芯まで響き渡る重低音の効いたビートに反射的にジャンプジャンプ!!「Their Law」の後は「World On Fire」。序盤にしてMARINE STAGEの息遣いさえも完全に支配しているようだった。そこに叩き込まれた大名曲「Breathe」でさらにヒートアップ!キースとマキシムがステージ上を自在に駆け巡り、まるでフロア一人一人を鼓舞している姿がたまらなくかっこいい!!無機質なビートに無条件的に高揚するテンションに、MC二人の情熱的なパフォーマンスと掛け合わされる生声がキメられていった。

一度沸点まで達したボルテージをやさしく包むように「Beat 55」、「Spitfire」と演奏されたと思いきや、またもや「Warriors Dance」で臨界点突破寸前!!このあたりのメリハリのついたセトリから彼らの積み上げてきた歴史を垣間見ることができた。そんな想いに浸っていると、「Firestarter」のイントロが会場に轟き、ついにMARINE STAGEのリミッターが外れる。怒号のような歓声で会場が揺れ、そのエネルギーを受け取ったMC二人が渾身のパフォーマンス。まさにフルスロットル!!その姿に触発されたフロアも、感じるのは音のみ、そんな精神崩壊寸前まで昇りつめていく。その勢いを崩さずまま、「Action Radar Link」、「Waning/Run」と立て続けに畳み込まれ、ライブではお決まりの「Voodoo People」で締められた。

「Poison」で再登場の挨拶をかまし、続いての「Diesel Power」演奏中あたりからキース、フロアに降下。その後姿を追った姿が巨大スクリーンに映し出されると、会場からまたもや大歓声。なぜ彼がステージを降りて、どこに行ったのかは不明だが、自らが作り上げたMARINE STAGEに漂う異様な雰囲気に酔いしれたためと今は解釈しておきたい。おなじみの「Smack My Bitch Up」、「Out Of Space」で彼らのライブは締めくくられた。

恥ずかしながら筆者はこれがTHE PRODIGY 初体験であった。そのインパクトなしに考えても間違いなく、8月9日のSUMMER SONIC08のベスト・アクトは彼らであると言い切れる。よく彼らのパフォーマンスは、ダンスとロックの垣根を感じさせないと評されている。最初は半信半疑であったが、まさしくその通りであると実感することのできたライブであった。

吉野　将志

★セットリスト★
Intro
Their Law
World On Fire
Breathe
Beat 55
Spitfire
Warriors Dance
Firestarter
Action Radar Link
Waning/Run
Voodoo People
--------------------
Poison
Diesel Power
Smack My Bitch Up
Out Of Space