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LIVE REPORT

[LIVEHOLIC presents. "恋せよ男子2026" supported by 激ロック & Skream!]

2026.02.08 @下北沢6会場

Writer : 中尾 佳奈、藤村 太智、中島 颯士 Photographer:小野百恵

バレンタイン・デーを間近に控えた2月上旬、今季最強の寒波により朝から雪が降り積もった東京 下北沢。寒さに凍えながらも、珍しい東京の雪に少し浮足立つこの街で、サーキット・イベント[LIVEHOLIC presents. "恋せよ男子2026" supported by 激ロック & Skream!]が開催された。女性アーティストにフォーカスを当て"恋せよ男子"と銘打った下北沢LIVEHOLICの名物企画。サーキット・イベントとしては3年目の開催となるが、今年もガールズ・バンドやシンガー・ソングライター、アイドル等を中心に多種多様なアーティストが集結し、各々のスタイルで寒さを吹き飛ばす熱狂のライヴを繰り広げた。

Flowers Loftにて高らかに開会宣言をしたのは、女性メンバー3人がフロントに立つ華やかな編成の5人組メロディック・メタル・バンド Monochrome Cinderellaだ。強靭且つ重厚なメタルコア・サウンドを轟かせるイントロ、獰猛なシャウトから、ヴィブラートを響かせ歌い上げるメロディアスで壮麗なサビへと、バンドの多彩さを見せつける「OUT YOUR SIDE」や「Colorless」に、頭を振り拳を突き上げ応えるフロア。快活なMCでさらに場を温めると、ライヴ初披露のメタル・バラード「RISE」へ。そしてツイン・ギターによる一糸乱れぬ速弾きの"シンフォニー"が圧巻の「Symphony Of Cinderella」では、キャッチー且つアッパーなサビにオーディエンスが沸き立つ。

おどろおどろしい儀式的なSEでMOSAiCをダークな世界へ染め上げたのは、グロかわいい5人組 YA'ABURNEE。「かざして」、「INORI」とエモーショナルなロック・チューンを連発し、初っ端から溢れ出す激情をぶつけていく。「ASOF」ではアイドル・ライヴ定番のコールも飛び出し、ロック・アイドル然としたステージ......かと思いきや、突如警告音が。不穏な"第2章開幕"のアナウンスから、さらにディープで狂気に満ちた世界へ。「シノーゼ」の不気味な行進や「乳獣」での怪演。目を見開き、こぶしやがなりも効かせ、何かが憑依したかのように表情も声色も化ける化ける。最後はゴシック×パラパラ的な劇薬ナンバー「SUKIZOID」で観客を巻き込み踊り、奇々怪々な世界観をまざまざと見せつけた。

同会場で9人組アイドル"闇雲"もまた異空間を作り出す。コンセプトは"生き辛い世の中で悩んでいる皆の救世主"。待ちわびた"救世主"たちの登場に雄叫びを上げるオーディエンスを、"もっと来いよ"とガンガン煽っていく。"跪け"との言葉に皆ひれ伏し、上手へ下手への煽りに大移動、"回れ"の合図にサークル・モッシュが沸き起こり、血気盛んな暴徒たちを扇動。八の字、折り畳み等のヘドバンにデスヴォイスとV系/メタル的な過激パフォーマンスで圧倒する9人に対し、猛烈なコールや掛け声でサイリウム片手に応戦するフロアは異様な熱狂の渦へ。息苦しさを叫ぶ「Howling」や"反逆歌"「憎悪」といった心の悲鳴を代弁する楽曲、傷だらけの日常からの解放を願うような悲痛なシャウトが轟き渡る。

他の会場も巡りつつLIVEHOLICへ到着すると、すでにRED-iのライヴがスタート。エモーショナル・ロックに乗せた力強い歌声と威勢のいいコールが響き渡り、ものすごい熱気に包まれていた。「THIS LIFE」に続き披露されたのは、新体制5人で作詞したという最新曲「赤舞」。命を燃やしアイドル・シーンを生き抜く彼女たちの並々ならぬ決意が歌声に宿る。「IT'S ROCK'N'ROLL SHOW」ではリフトも発生しパッションをぶつけ合い、「DANCE↑DANCE」では飛び跳ねながら右へ左へ、ステージとフロアが一体となり共振共鳴。ファンに向けまっすぐ"愛してるぜ"と歌う「WAR CRY」での大合唱、そして絶叫のラストまで、彼女たちの燃える"赤い情熱"は魂を揺さぶり続けた。

近松のトリに、スパンコールが煌めくトップスを身に着けたARISA(Vo/Gt)が率いるロック・バンド DOLL PARTSが登場。ねぶるような大人な表情で「金曜日のベッド」、「That's enough!」を披露し徐々に会場のボルテージを上げていく。Courtney Love(HOLE/Vo/Gt)等に影響を受けたと過去に語る通り、パフォーマンスはよりロックに、よりパンクに加速。さらに衝動的に駆け抜けた「FAKE」はこの日の白眉だったと言える。MCでは"恋する楽曲を持ってこなきゃと思っていた"と話していたARISA。続く「Wait!!」、「My place」も重いビートに乗せどっしりと歌い上げる、"恋せよ"と言うにはあまりにもロックで胸に突き刺す楽曲だったが、これが彼女なりの恋に落とす手段だったのかもしれない。アンコールの「夢の底」では"恋をする あなただけ"と会場に愛を伝え、ステージを去った。

ステージへのピンスポが、リフトされた観客の後頭部で遮られるという「Elysion」のイントロの時点で、本日最大のカオス空間になる予感がした。ゴシックな衣装やメイクに激しいロック・サウンドで圧倒的な世界観を放つmaleficiumがLIVEHOLICに降臨。この日はリーダーであり、アジテーションでも重要な存在の夜縋ラルムが体調不良で不在だった。だがそれを感じさせない程に、歌唱面で圧倒的な力強さを誇るCHIHO FUKUDAと、パフォーマンス面で支えるアルカード・アリスとセシルが、三位一体となり会場の空気を掌握。「Ragnarøk」ではCHIHOが"頭! 首持ってこい!"とヘドバンを煽り、「DUALIS」ではフロア横の柵が意味を成さぬ程ステージまで観客の雪崩が発生したが、そんなことはものともしない3人。4月の渋谷単独公演では、ラルムが加わった完全体maleficiumによるさらなる絶景が観られることだろう。

このイベントも終わりが近付いてきた。MOSAiCのトリを担ったのはAIBECK。ヘヴィな「TRUE BOUNCE」を挨拶代わりに食らわせると、「AISola」で一糸乱れぬツーステップを披露する。全くもって容赦なしである。狂乱のコールが起こった「CHEKILLER」、シンガロングが渦巻いた「OLEOLEO」と、難なく一体感を生み出してみせる彼女たち。ラウドな楽曲のインパクトの中に、アイドルとしての確固たるプレゼンスがあるからこそ可能な芸当だ。その真髄に触れることができたのがラスト・ナンバー「STEPPER」。大神のんがフロアに降り立ち、馴染みのファンも、初めてAIBECKを観る者も、出番を終え後方で彼女たちのステージを観ていた出演者たちさえも巻き込み、MOSAiCをAIBECK一色に染め上げてしまう。アグレッションとポジティヴィティが調和した、まさにAIBECKそのものと言えるフィナーレだった。

先述の通り、多様なアーティストが集結し、色とりどりのライヴを展開した今回のサーキット・イベント。そこに共通していたのは、愛らしさやたおやかさ、そしてタフネスといった、旧式のステレオタイプとしてのそれでは断じてない、彼女たちの内から放たれる女性らしさの輝きだ。その輝きに触発されたオーディエンスは各会場で沸騰し、その熱を受け取ってステージはますます光を強める......いざ終わってみれば、[LIVEHOLIC presents. "恋せよ男子2026" supported by 激ロック & Skream!]が巻き起こした熱狂の前には、あの大寒波ですら生ぬるい程だった。

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