LIVE REPORT
"革命ロジック2025"激ロックSTAGE
2025.05.04 @下北沢RéG
Writer : 西平 歩由、中島 颯士 Photographer:小山田祐介
今年で3度目の開催を迎えた下北沢LIVEHOLIC主催サーキット・イベント[LIVEHOLIC presents "革命ロジック2025" supported by Skream! & 激ロック]。前年同様、下北沢シャングリラに"Skream! STAGE"、下北沢RéGに"激ロックSTAGE"が登場し、Skream!/激ロック編集部プロデュースによる各ステージに、編集部イチオシのアーティストたちが集結した。ここでは全9会場の中でも一際アツいステージが繰り広げられた"激ロックSTAGE"の様子をお届けする。
開演前からほぼ満員の会場にトップバッターとして登場したのは、"関西 大阪のSUPER ROCK BAND"ことnuriéだ。大角龍太朗(Vo)が"この街で一番遊べるやつはどこのどいつだ"と煽り、己の生き方に真摯に向き合い正直でいる大切さを掲げる「自分賛歌」で幕を開けると、続けて披露されたのは「Firebomb」。力強いドラミングと激しく刻まれるソリッドなギター・リフに呼応するようにフロアは拳を上げ、頭を振り乱し、爆弾が投下されたかの如くヒートアップしていく。「眩く青の無影灯」の甘酸っぱい恋模様を綴った歌詞と青い照明、疾走感があり爽やかなサウンドが会場をエモーショナルな雰囲気で包み込む。この日の出演者の中では唯一のヴィジュアル・ロック・バンドだった彼等。自分たちの色で自由に会場を染め上げていく姿は、初めて彼等のパフォーマンスを観たであろうオーディエンスも魅了し、国境や性別、ジャンルの垣根を越えて音楽を届けたいという想いが込められた「Borderless」では、フロアが一体となって声を上げる。セミの鳴き声が響くSEが印象的な「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」で一足早い夏の訪れを告げ、ステージを締めくくった。
凄まじい熱気とクラップに迎えられPaleNeØが現れると、1曲目を飾ったのは「aLiVE」。可憐な姿からは想像できないほほ美のパワフルなシャウトと、そのギャップに一瞬で惹きつけられる。「CRAZY & NOiSY & CUTiE MAGiC!」のおとぎの国に誘うようなキュートな世界観やキャッチーな振付と、激しいヘドバンで会場全体を巻き込み、「ツーステップ☆スクリーミング」では、"ここにはツーステップが得意な人がいっぱいいると私は思っております!(ほほ美)"とツーステを煽り、ノリのいいサウンドとカラフルな照明がお祭り状態に輪をかけていく。"古代"の意味を持つ"パレオ"(Paleo)と、"新世代"を表す"ネオ"(Neo)を組み合わせた造語をバンド名として掲げている彼女たちの、クラシカル且つソリッドなサウンドと、エレクトロ且つポップなサウンドという独自のアプローチや音像で攻め立てるステージは圧巻だ。フロアからは"自分やれます!"という声も上がり、「Moment.」では会場全体が揺れる程の盛り上がりを見せる。「アレグロ」の伸びやかなヴォーカルと「ギルガメシュ闘争記」の力強さにも心を揺さぶられ、彼女たちの多面的な魅力にすっかり虜にさせられてしまった。
続いてステージに姿を見せたのはTweyelightだ。中性的なオーラを放つJunoの、儚さと力強さが共存する唯一無二の歌声でフロアの心を掴んでいく。"最後まで力取ってんじゃねーよ、バーカ! ここで果てろ!"(Juno)と煽ってスタートした「We're not Alone」では、元気が有り余っている様子のオーディエンスも拳を突き上げて力強く"オイ! オイ!"と応える。感情を音に乗せて爆発させるようなパフォーマンスや、鋭く突き刺すようなドラムの激しさが胸を打ち、「Answer」ではシンガロングが起こると盛り上がりは最高潮へ。JunoもMCで"遊び足りないよ"と話していたが、まだまだこの熱気の中に包まれていたいと思わず願ってしまう程、30分間はあっという間だ。最後に披露された「Let it Burn」では、一人一人に語り掛けるように、一緒に空間を遊び尽くすように歌い、サーキット・イベントならではの新たな出会いへの感謝を述べる姿も印象的だった。
会話を切り抜いたラフなSEに乗せてWORSTRASHが登場。アクセル音とファンファーレが鳴り響くと、「Teenage Vibes」でフリーダム且つ無邪気にステージをドライブしていく。「Navy blue」の裏打ちのビートが心地よいなかで、Len(Vo)が"Vtuber、アイドル、歌モノ、何観に来たっていい。俺の真似して頭振れ!"とフロアをぶち上げ、「Mane」では"飛んできてもいいよ"と煽りダイバーが続出する。そして疾走感のあるビートと煌めくシンセサイザーが特徴的な「KAGEROU」で、夏への眩い想いを届け、"この空間だけ真夜中に"と「Deep Wet Pink Cave」では、会場をパーティーさながらのムードで包み込んだ。バンドを始める前から激ロックを読んでいたというLenが、"憧れがすぐそこまで来てる"と"激ロックSTAGE"への想いを熱く語り、"こっからは俺等の時代へようこそ!"と披露されたのは「Oh my no mind」。日本語と英語を織り交ぜたリリックの清々しい程のシニカルさと、信念を持って次世代のシーンを担っていくであろう彼等の頼もしさに期待が膨らむ、そんなステージだった。
"よう激ロック! 今日楽しめるやつどんだけいんの!"とKOJI(Vo/Ba)が会場の熱量を確かめ、「misery」でSWANKY DANKのライヴがスタート。結成から15年以上のキャリアを持つ彼等だが、激ロック関連のイベントに出るのは今回が初めて。KOJIの"KO-TA行ったれ!"の掛け声から入るギター・ソロに、途中からYUICHIも参加するツイン・ギターの連携はさすがのパフォーマンスだ。続く「number」ではサークル、リフトが次々と巻き起こり、ステージ上手ではKO-TAがYUICHIのもとに駆け寄り2人でギターをかき鳴らす姿も。80組以上の出演者がいるなか、この場を選んでくれた全員に感謝を伝えつつ、"激ロックぅー! 「革命ロジック」ぅー! くぅー!"とKOJIが楽しんでいる様子が会場中に伝播していく中盤では、原点回帰のメロコア・ソング「Everything」、パンク・ロック・ナンバー「One Sided」、ツイン・ヴォーカルの掛け合いが気持ち良い「Gentleman of Fortune」とライヴ定番曲を投下。いろんな音楽に囲まれるこんな日をこの先も楽しめるようにと「AGAIN AND AGAIN」に続き、ラストにKOJIがフロアの真ん中まで降りてきて披露したのは「Listen to the Radio」だ。ベースをかき鳴らし歌い上げる姿を中心に、観客がサークルを作り笑顔で走り回る、"これぞSWANKY DANK"とも言える最高な空間を演出し、彼等のステージの幕を下ろした。
"Hey guys! Are you ready?"
㮈灯(Ba)が登場とともに吠える。開演15分前から会場は満員でリハからサークル、リフトと大盛り上がり。準備は万端だ。続いて現れた茜(Vo)も"めちゃくちゃ人多いやん! 暴れようぜ!"と煽り、グロウル始まりの「Mr.Coward」でDimraysのターン開始。1曲目から今日一番のダイバーの数だ。続く「Bad Taste」も重厚なブレイクダウンで締める楽曲。今年1月にリリースされたばかりだが、先日の自主企画([Dimrays pre. "G2G!! COUCH POTATO FEST"])でもアンコール含め2度披露され、すっかりライヴ定番曲となる盛り上がりを見せた。ここでサイレンのSEが流れ、"今からやるの新曲やから。全員ステージまで跳んでこい!"(茜)と「Get Over」をドロップすると、それに応えるように多発するステージ・ダイブ。低域のグロウルがメインの茜が、少し高域に寄せたスクリームをさり気なく織り交ぜているのも印象的だった。会場はすっかり夏を感じさせる熱さになり、茜が"見てこれ、バカ汗かいてる! マジでみんな熱すぎる!"と短いMCを挟むと「OVER-CONFIDENT」から終盤に突入。茜は柵の上に乗り出し歌い、㮈灯は"かかって来いよ!"とフロアの盛り上がりを加速させる。ヒップホップ要素も感じられる「Fr」ではサビ前の"I told you so!"の掛け声で再びステダイが連発。ほとんどMCパートなしで駆け抜け、ラストは1st シングル「Pain≒t」で叙情的にライヴを締めた。
"岩手盛岡、SBEです。暴れて帰りましょう!"
YUYA(Vo)のMCから、イントロなしで歌い出す「PROMETHEUS」で開幕したSBE。 "まだまだ行くぜEverybody!"と爆発寸前のフロアに火を点けるようなシャウトから「Immortal」へ続き、"いやそれでもまだまだ足りない/俺はここで歌い続けたい"とヒートアップしていくステージにストロボが激しく明滅する。終いにはFUJiTORのギター・ソロで会場は燃え上がるように熱くなった。"激ロックSTAGE、どんなもんかって来たけど、思った以上に激ロックしてますね! 呼んでもらって感謝です。全力ぶつけてくれ!"(YUYA)と感謝を込め「Non-Fiction」をドロップ。Abeken(Ba/Cho)、koccy(Dr)のビートに合わせてジャンプ、ヘッドバンギングと観客も全身で楽しさを表現し、「Hey...」ではこの日最大級のサークル・モッシュが発生した。止まない歓声にYUYAも"動物園やないかい!"とツッコむ程盛り上がるフロア。ラスト1曲を前にYUYAが激ロックSTAGEに立つ仲間への想いを述べていると、観客に押し出される形でSBEのカメラマン(オカベメイ)がステージに上げられ、"メイちゃん"コールまで巻き起こる。"真面目に話そうとしたけど......もういいや! 激ロックが作ったこの最高の空間、楽しんでいけるか!"と「Letter」に繋げた。"愛すべき激ロック、バンド仲間たち――受け取ってくれ!"とメッセージを込めたラスト・ソングに胸が熱くなった。
仲間の想いも受け、激ロックSTAGEのトリを務めるのはWHISPER OUT LOUDだ。RéGをダンス・フロアに変える「Magic」が掛かり"シティ・ロック始めます。行けるか激ロック!"というMotokichi(Vo)の言葉でライヴ開始。音源は都会的/幻想的でクールな印象だが、ライヴとなると観客一人一人と目を合わせ、誰も置いていかない温かさがあった。続く「Save Me」ではBPMが急上昇。フロアの熱量も一気に高めた後、ライヴに対する苦悩と同時に、バンドの意思表示も感じられる「Talking To Myself」へ突入した。"俺伝えるの下手なんでなんて言っていいか分からないんですけど、みんなのおかげでステージに立っています"(Motokichi)と感謝を伝え「STEP」、「Never Grow Up」へ。1stアルバム『CIRCLE OF LOVE』の最後と最初に収録された2曲だが、アルバムを通して聴くのとはまた違うメッセージの美しさを感じた。終盤ではスタンドマイクで魅せるように「Take Control」を披露。サビではハンドマイクに持ち替え、Kanatoのギターも存在感を放って会場の空気を掌握した後、ダークなナンバー「27club」を投下した。Motokichiは巧みなフロウを駆使し、TK(Ba)とKanatoがヘッドバンギングしながらヘヴィなサウンドを轟かせる。Motokichiは"トリだからっていいこと言えないんだけど、心込めて歌います。ありがとうございました"とラスト・ナンバー「Memories」へ繋ぎ、輝かしいロング・トーンを響かせて締めくくった。
ヴィジュアル系、メタル、ハードコア、パンク、ラウドロック等、色とりどりなジャンルのバンドが集結した"激ロックSTAGE"、そしてそんな次世代のシーンを担うアーティストたちが作り出す、熱気に満ち溢れたイベント"革命ロジック"。来年で4回目となる開催も今から心待ちにしたい。
[Setlist]
■nurié
1. 自分賛歌
2. Firebomb
3. illumination
4. 眩く青の無影灯
5. Borderless
6. 夏霞
7. 冷凍室の凝固点は繋ぐ体温
■PaleNeØ
1. aLiVE
2. CRAZY & NOiSY & CUTiE MAGiC!
3. ツーステップ☆スクリーミング
4. Moment.
5. アレグロ
6. ギルガメシュ闘争記
■Tweyelight
1. Monster
2. We're not Alone
3. inside of me
4. We're not Alone
5. Answer
6. Let it Burn
■WORSTRASH
1. Teenage Vibes
2. Navy blue
3. Mane
4. KAGEROU
5. 2AM
6. Deep Wet Pink Cave
7. Beach stage
8. Inst.
9. Oh my no mind
■SWANKY DANK
1. misery
2. number
3. Everything
4. One Sided
5. Gentleman of Fortune
6. AGAIN AND AGAIN
7. Listen to the Radio
■Dimrays
1. Mr.Coward
2. Bad Taste
3. Get Over
4. OVER-CONFIDENT
5. Fr
6. Pain≒t
■SBE
1. PROMETHEUS
2. Immortal
3. Non-Fiction
4. Hey...
5. Letter
■WHISPER OUT LOUD
1. Magic
2. Save Me
3. Talking To Myself
4. STEP
5. Never Grow Up
6. Take Control
7. 27club
8. Memories
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