INTERVIEW
Monochrome Cinderella
2025.11.18UPDATE
Member:良夢(Vo) Syunta Furuhashi(Dr)
Interviewer:山口 哲生
2024年に結成されたメロディック・メタル・バンド、Monochrome Cinderella。女性メンバー3人を擁し、テクニカル且つ華やかで、多彩でありながらも濃密なメタル・サウンドを轟かせている5人組が、1stフル・アルバム『Beyond The ANSEmble』を完成させた。ゲスト・ミュージシャンとして、Coco(Omelas)と、"鬼滅の刃"の挿入歌「竈門炭治郎のうた」等で知られる中川奈美を招き、メタルを軸にしつつも様々な表情を持った本作と、バンドのこれまでの歩みについて、良夢とSyunta Furuhashiにじっくりと語ってもらった。
-2024年3月にSyuntaさんと良夢さんが中心となって結成されたそうですが、どういう経緯だったんですか?
Syunta:僕の中に、女性3人をフロントにしたバンドをやろうというスキームがあって、前段階でいろいろ試しにやってはいたんですけど、なかなか上手くいかなかったんですよね。そのなかでもうちのスタッフと一緒にメンバーを集めていて。Monochrome Cinderellaという名前こそなかったですけど、曲もいくつか用意していて、こんな感じの世界観でやっていきたいって良夢さんに声を掛けたところ、ぜひ一緒にやろうとなり、そこからメンバーを探していきました。
-良夢さんはお話が来たときにどう思われましたか?
良夢:もともと自分もバンドをやっていて、それこそ激ロックさんのインタビューは今回で3回目になるんですけど、前のバンド(sylph emew)が解散した後は、楽曲制作の仕事をしながら今後どうしようかなって悩んでいまして。そのときにお声掛けしてもらったので、思い切って挑戦してみたという感じでしたね。
Syunta:僕はsylph emewのことはずっと前から知っていたんですよ。前段階でテスト的にやっていたバンドが2つぐらいあったんですけど、ヴォーカルがしっくりこなくて上手くいかずという感じだったんです。これがもう最後の最後、僕が思い当たる中で最強のヴォーカルって誰だろうと思ったときに、sylph emewの良夢さんが強く思い浮かんだんですよ。その流れで良夢さん今バンドやってないし、一か八か声を掛けてみよう......って。
それでスタッフに、ダメもとでいいからお願い! って。男から声を掛けるといやらしいから、うちの女性スタッフに連絡してもらいました。スタッフが音大出身で声楽科だったからそれなりに知見もあるし。ちょっと無謀だよなっていう気持ちはあったんですけど、やってもらえることになって、という感じでしたね。
良夢:私は、初対面の方と音楽をすることは想定していなかったところもあったんです。地元が滋賀で、ローカルだからこそのコミュニティでバンドをやっていたなかで急に連絡を貰ったので本当にびっくりしたんですけど、なんていうか、タイミングが良かったんです。普段だったらもっと怖気付いていたかもしれないんですけど(笑)、こうなって良かったなと思います。
-声を掛けられたタイミングで曲も聴いたんですか?
良夢:最初の時点では、バンドの展望とか、Syuntaさんのバンドに対する理念とか気持ちについて聞いたので、曲というよりは生き様とかバンドのやり方に共感して、その後に曲を聴かせてもらった感じでした。
-特に強く共感した部分というと?
良夢:とにかくバンドをやりたいというモチベーションが本当に高かったんですよね。私もしばらくバンドから離れていて、どちらかというと他の方に楽曲を提供することが多かったので、もう1回自分たちを主役にする音楽との関わり方というのがあってもいいのかなと思って。すごく共感しました。
Syunta:これまで音楽をやってきたなかで、結構厳しかったというか、嫌な思いもたくさんしてきて。でも、チャンスもその時々であったんですよね。結構いいステージに出れたこともあったけど、そこで自分の中で納得できるプレイができなかったとか、そういうことが強く残っていて。だから最後のチャレンジとして、自分が完全に納得のいく状態でバンドをやりたいということを良夢さんに伝えたという感じでしたね。
-良夢さんの次に声を掛けたのはMariya(Gt)さん?
Syunta:そうです。Mariyaさんはミュージック・バーの店員で、PANTERAの「Mouth For War」だったかな? Dimebag Darrellのソロを弾いていて、女性でこんなトーンが出せるなんて! と思って、何度も勧誘しました。あと、もともともう1人ギターの子がいたんですけど、活動ペースが合わなくて女性3人をフロントにする構想がなくなってしまったので、そこでToshimitsu(Gt)さんにサポートをお願いしました。それと、スタジオ・ミュージシャン仲間というか、一緒にプレイする機会が多かった(Rudra)komatsu君に(ベースを)やってもらうことになって、というのが最初でしたね。
-なるほど。Anna(Ba)さんはどういうきっかけで加入されたんです?
Syunta:komatsu君が結構忙しくなってきて、活動のタイミングが合わないからどうしようかという相談をずっとしていたんです。であれば、やめるというわけじゃなく、レコーディングや曲のディレクションに携わる製作チームとして関わっていこうといった背景があります。今もクレジットに載っているんですけど、ただ表立ってメンバーとして頻繁に活動できる人は必要だなと思って、自分の知り得る女性ベーシストに声を掛けた感じでしたね。いきなり入っても肌感が合わなかったらお互い良くないんで、じゃあまずはサポートからやってみようかっていう。それがいい感じだったので、今回メンバーに入ってもらいました。
良夢:私もガールズ・バンドをやれることに魅力を感じていて。以前、Gacharic Spinのサポート・ヴォーカルをやらせてもらったことがあるんですけど("Gacharic Spin ワンマンライブ Super ガチャピ~ンチ!! in NAGOYA")、それが自分の記憶的にかなり強烈だったんです。女の子でもこれだけできるぞ! っていう表現の仕方を、いつかは自分もやってみたいなとどこかで思っていたところもあったので、今それがちょっと叶って嬉しいなっていうのもありますね。
Syunta:僕と良夢さんが最初にしていた構想は、弾ける人で、華があって、やる気もあるっていう。この3拍子が揃ってないといけないし、なおかつ足並みが揃う人じゃないといけなかったので、探すのが結構大変だったんですよ。
良夢:大変でしたね。
Syunta:でも、Mariyaさんもちょうどバンドをやりたかったタイミングだったみたいだし、Annaも音楽でしっかり生計を立てられるような地盤が欲しいっていう話をしてたんで、みんな本当にタイミングがめっちゃ良かったです。
-そうやって集まった皆さんが鳴らしている音楽について、1stアルバム『Beyond The ANSEmble』を踏まえながらお聞きできればと思います。良夢さんに声を掛ける際に曲も用意していたというお話をされていましたが、Syuntaさんとしては、サウンド的に打ち出したかったものや、やりたかったことが事前にある程度固まっていたと。
Syunta:そうですね。例えば、TRIVIUMって自分たちのやりたいことの軸はしっかりあるけれども、表現方法としていろんなジャンルを持ち出していると思うんです。もしかしたらそれでブレていると捉えられちゃうかもしれないですけど(苦笑)。でも、そういうような感じで、僕としても自分の表現したいもの、さっき話したような気持ちとか軸はブラさずに、表現方法としていろいろなメタルのジャンルを使っていきたいなと思ってましたね。
良夢:Monochrome Cinderellaはメロディック・メタル・バンドというのもあって、Syuntaさんが持ってくる楽曲は分かりやすくメタルの方向性だったりするんですけど、私はなるべくメタルの枠を挑戦的にはみ出していこうかなと。なので、メタル好きな人にも、メタルを聴いたことがない層にも、どちらにも刺さってほしいなって、ちょっと欲張っているアルバムになっているかなと思いますね。
-作曲はSyuntaさん、良夢さん、Toshimitsuさんがそれぞれ担当されていますが、3人が作ることによって曲の幅が増えますし、それによって全体のバランスが取れているところもありますよね。バンド名に"Monochrome"と付いているけれども、曲のバリエーションが多いなという印象をまず受けたので。
良夢:良かったです。やっぱりメタルというジャンルはすごく崇高で、明確な様式美の中に基盤があるジャンルだと思うので、そこから少しでもはみ出すとメタルじゃないというふうになってしまうことが多々あるんですけど。ただ、そこを恐れてしまうと本当に創作者としての意義を失ってしまうので、なるべく挑戦する勇気を持った形での曲作りでした。難しかったです。
Syunta:Monochrome Cinderellaという名前でありながらも、結構カラフルでいろんな楽曲たちがあると思うんですけど、アルバムの1曲目を「Colorless」にしているところがキー・ポイントになっていて。この曲では無色透明を打ち出していて、そこから有色になっていくみたいな意味合いの構成になってます。
-まさにですね。お話に出た「Colorless」は、「Revenger」と併せて1stシングル(2024年リリースの『Infinite Colors』)に収録されていますが、それこそヴィジョンがはっきりとあるなかで制作されていたと。
良夢:「Colorless」と「Revenger」は最初に作り上げた曲なんですけども、どちらもSyuntaさんが持ってきた曲で。「Colorless」はSyuntaさんとこのバンドをやる上でどういうふうになっていきたいかを話し合って、バンドの方向性を歌詞で打ち出したんですけど、「Revenger」はSyuntaさんの気持ちを代弁するという形で書かせてもらっています。
Syunta:完全に汲み取っていただいた歌詞になっています(笑)。"すげぇ! 俺の心の中を覗いているのか!?"って、スタッフとも話してました。






