INTERVIEW
Monochrome Cinderella
2025.11.18UPDATE
Member:良夢(Vo) Syunta Furuhashi(Dr)
Interviewer:山口 哲生
社会に及ぼせる影響を意識しながら音楽を作っていきたいし、このバンドならそれがやれるだろうと思っている
-では、良夢さんから見てSyuntaさんはどんなコンポーザーですか?
良夢:バンドマンらしいだらしなさみたいなところがない人なので(笑)、さっき優等生って言ってもらったそれを、そっくりそのままお返しする感じになってしまうんですけど。音楽的な部分はもちろんなんですけど、バンドの運営とかそういうところもすごくきっちりできる、シゴデキリーダーなので、私ものびのびと曲を作ったり音楽活動ができていてすごく感謝してます。
Syunta:ありがとうございます。僕の立ち位置的には、ドラムをある程度叩けるプロデューサーみたいな感じです。
-ある程度のレベルがめっちゃ高いですから。
Syunta:いやいや(苦笑)。僕の師匠が上原 晃(TEAM VERYS)さんなんですけど、あの方に比べたら僕なんて比べ物にならないので......
-Syuntaさんが他に作曲されているものの中で、先程おっしゃっていたメタルの枠というお話でいうと、「Symphony Of Cinderella」もありますね。
Syunta:これは日本からANGRAに向けたアンサー・ソングです(笑)。飛び道具的にメロスピが1曲あるといいかなと考えたんですけど、ANGRAとか、SONATA ARCTICAとか、あとはRHAPSODY OF FIREみたいな"THEメロスピ"みたいなものって、女の子がバンドで演奏してることはたぶんあんまりないと思うんですよ。メロスピを歌っている人はいるけど、演奏までやっている女性たちっていないので、1曲あったらフックになるかなと思って。
-そういう切り口で作りはじめたと。
Syunta:やっぱりこういう曲ってライヴで盛り上がるんですよね。基本的にはメジャー進行なので心地いいし、ツーバスが入るとヴォーカルの音価も長めになってきて、高揚感があって聴きやすい感じにはなると思うんで。そういう曲をアルバムの真ん中に絶対に入れようと思っていたので、それも含めて狙って作った曲ですね。
-あと、収録曲の中で「Progress」は作曲のクレジットがMonochrome Cinderellaになっているんですが、どう作り進めていったんですか?
Syunta:冒頭で話した、今は制作チームのkomatsu君が原案を持ってきてくれたんですけど、そこからみんなでいろいろ作り直して......
-本当にタイトル通り、"Progress"していったというか。
Syunta:そうです(笑)。
良夢:だいたいの曲が最終的な着地を見据えて作ったり、編曲したりするんですけど、「Progress」は、メンバー同士がお互いのことを知るためにも必要だったというか。結果的に、みんなで1つになっていくような形にまとまったと思うので、みんなと意思確認ができたいい機会でした。
Syunta:この曲を聴くとツアーで行った福岡の思い出が蘇りますね。
-何があったんですか? というかそれって書いても大丈夫な話ですか(笑)?
Syunta:書かなくていいタイプの話です(笑)。書いちゃダメなやつ。
良夢:ははははは(笑)。「Progress」の歌詞自体がちょっと青臭いというか、青春に近いような内容なので、余計にそういうところがあって。私たち自身も楽しかった思い出が蘇ってくるような曲ですね。
Syunta:青春ソングでございます。
-歌詞も他と比べて直球といいますか。
良夢:そうですね。自分たちはこうで、こうやっていきたいなというところをどストレートに出してます。
-"夢より大胆に現実よりも繊細に/生きていかなきゃ/消えてしまいそうな世界"というくだりがめちゃくちゃ素敵だなと思いました。
良夢:ありがとうございます。そこの歌詞は自分の凝り固まったところからバッ! と出た感じだったので、そこをピックアップしてもらえてすごく嬉しいです。
-凝り固まっていたものというと?
良夢:自分が大人にならないと、いろんなことを広く受け止められるようにならなきゃいけない、みたいな気持ちがあったんですけど、やっぱりまっすぐに正直な気持ちをっていうところから、バッ! と出せたかなと。本当に芯の部分を上手く言葉にできたかなと思います。
-あと、ゲスト・ミュージシャンとして、Coco(Omelas/Vo)さんも参加されています。
Syunta:はい。「Against The Grey Vortex」と「OUT YOUR SIDE」に。
-「Against The Grey Vortex」はToshimitsuさんが作曲されていますが、Cocoさんが参加された経緯というと?
Syunta:CocoさんはGhost Criesのときから知っていますし、(Omelas/Ghost Criesの)ギターのYouとも結構仲が良くてよく飲むんですよ。バンドとしても距離が近くて話をすることも多かったことと、やっぱりCocoさんのスクリームはこのシーンの女性で恐らく一番だと思っているので、スクリームの入った曲を作ろうという話になったときに、僕の頭の中にはありましたね。でも、やってもらえるのかな......と思いながら一か八か声を掛けてみたら、"全然いいですよー"みたいな感じだったので、じゃあお願いします! って。
良夢:女性でここまでカッコいいスクリームをされる方って本当にいないと思うので、「OUT YOUR SIDE」は、自分がこういうものを作ろうと思っていた以上のものになってすごく嬉しかったですし、感動しました。
-ちなみに、Toshimitsuさんはお2人から見てどんなコンポーザーですか?
良夢:Toshimitsuさんは私と地元が一緒で、もう10年以上の付き合いになるんですけど。一緒に音楽活動の経験もあるし、楽曲制作とかも仕事でお願いしてたりするので、そこらへんの意思疎通もすごくやりやすいです。
Syunta:本当になんでもできちゃう人なんですよ。ソレノイドっていう良夢さんとToshimitsuさんが一緒にやっているユニットではヴォーカルもしていて、しかも上手いんです。さらにコンポージングもできる。
良夢:本当になんでもできてしまうタイプの人なんですけど、今回の曲は結構自分の色を出してきた気概を感じているので、私も背筋が伸びる思いですね。
-Toshimitsuさんが最初にサポートで参加された経緯としては、良夢さんの繋がりからという感じだったんでしょうか。
良夢:そうですね。制作をしはじめたときにちょっと手伝ってもらったりして、東京に行くタイミングによかったら一緒にどうですか? っていうところから、みんながToshimitsuさんを大好きになるという現象が起きまして(笑)。そこから一緒にっていう形になりました。
-なるほど。今後のことについてもお聞きしたいんですが、本作をもってどういう活動を考えていますか?
Syunta:来年以降の展望というと、ツアーの日程もある程度決まってきているのと、アルバムのリリース企画もやります。それと、来年はちょっと海外のイベントとかにも出てみようかなと思っていて。僕の中では海外ウケも意外とするんじゃないかと思っているので、そういった取り組みも考えていますね。あとは動員を確保するためにもとにかくライヴを打って、来年以降はワンマンができるぐらいの規模の動員とか、ある程度バンドの体制を整えて、曲作りができたらいいなとは思ってます。
-良夢さんはここからどういった活動をしていきたいと考えていますか?
良夢:メタルだったり、こういう音楽を聴く人たち、コアな音楽が好きな人の中には、ちょっと抽象的ではあるんですけども、大衆的であることに否定的な気持ちがある人ってたくさんいると思うんですよ。私もその1人なんですけど、そういう音楽は作り手側が聴く人へのリスペクトを持つことが大切で、とにかく聴く人のことを舐めない。だから説得力を持つサウンドや楽曲をとにかくブラッシュアップして、もっと突き詰めて作っていきたいです。それにこういうジャンルだからこそ、今後どうやって社会との関わりを持って、こういった音楽を前に出していけるのかとか、そのあたりもちゃんと考えながら頑張っていきたいかなとは思いますね。
-社会との関わりというと、どんな感じになるんでしょうか。
良夢:今って音楽のヘヴィ・リスナー以外の方も、SNSとか、TikTokなりYouTubeなりいろいろな音楽を聴く機会が多いと思うんですけど、なんていうか、インスタントに曲を聴く形が多いイメージがあって。なおかつちょっと複雑なもの、聴き慣れないものに注目がいきがちといいますか。それを否定するわけではないんですけど、私たちのようなジャンルがもっと社会に及ぼせる影響を意識しながら音楽を作っていきたいと思っていますし、このバンドならそれがやれるだろうと思ってやっているので、そこらへんをもっと磨き上げていきたいなと考えています。
-おっしゃっていた通り、大衆性とどう向き合っていくのかというのは、かなり根底にある課題といいますか。
良夢:相反するものでもあると思うんですよね。キャッチーであることと、ジャンルを突き詰めたカッコ良さって、対極的な部分ではあるんですけど、どうにかその落としどころを見つけて、私たちにしかできない音楽やライヴができるようになれば最強かなと思っています。
-Syuntaさんは、今良夢さんがお話されていた大衆性というものに対して、ご自身の中でどう向き合っていくかとか考えたりされますか?
Syunta:大衆性という意味で考えると、老若男女みんなが聴きやすいようなものを大切にしたいということだと思うんですけど、Monochrome Cinderellaの曲ってそんな感じの作りにはなっているので、ある程度誰でも聴きやすいパッケージにはなっているはずなんですよ。なので、僕は逆にめちゃめちゃ尖った曲を1曲書いてみようかなっていう考えも、一応あったりはします。さっきの良夢さんの話とは逆になっちゃうんですけど、ある程度枠にはめて、さらに尖ったものをどんどん磨いて、めちゃくちゃ尖らせた一撃の曲があってもいいのかなって思ってます。
-『Beyond The ANSEmble』が物語っている通り、各々がしっかりと個性を出すことでバランスが取れていきそうな感じがしますし、この先が楽しみですね。
Syunta:頑張ります!






